10月27日

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LIGA 第7節
10月26日 21:00
CAMP NOU 65,738人
FC BARCELONA
vs
ALAVES
 

6 - 1


「夏時間」最後のフィエスタ

どんなシーズンでも1年に1回は訪れるカンプノウでのフィエスタ試合。大量得点と圧倒的なゲーム支配による楽しい試合、それが昨日のアラベス戦だ。ノート(システム)を変更したからか、あるいは試合前日にクラック選手に最初の「通告」をしたからか、あるいはルイス・エンリケの復帰がチームにガッツを入れることになったからか、はたまたデ・ボエルに対するブーイングをやめたからか、いずれにしても結果的にバルサは久しぶりの圧勝を飾った。試合が終了してから4時間後に「冬時間」となったスペイン。「夏時間」最後のフィエスタとなった昨日の試合だ。

ベティス、オサスナ、そしてバジャドリ戦で不甲斐ない内容と結果を残したバルサにとって、このアラベス戦での圧勝はとてつもなく大きい。バンガール個人にとっても非常に大きい。なぜなら彼のノートに多くの疑問の声が日増しにあがり、システムの変更や冬のマーケットでの再補強までささやかれていたのだから。だがクルイベルのハットトリック、久しぶりのルイス・エンリケのゴール、ガブリ、サビオラ、チャビ、リケルメの活躍などにより勝ち取ったこの勝利によって、バルサに久しぶりの静けさが戻ってきた。

ある意味で言えば「元バルサキーパー」の日でもあった。カンプノウでの試合が始まる少し前、早くから観客席に陣取ったバルセロニスタはラジオを通してベルナベウでのレイナのナイスセーブを確認していた。ロベルト・カルロスの強烈なシュートをファインプレーで弾いたレイナ。そしてカンプノウでの試合が始まると、相手ゴール前にはドゥトゥエルがいる。かつてバルサに所属しながらも、成功と言う名から遠ざかっていたドゥトゥエルだ。そしてこの試合、彼がかつてカンプノウで示したように相変わらず成功を収められないドゥトゥエルを確認することになる。

試合開始の笛が吹かれ、最初の15分間のバルサはいつものバルサだった。ボールを支配することもなく淡々と時間が過ぎていく。ボールを持ったかと思えば3回以上のパスが続かないバルサ。だがそれもクルイベルの先制点が一挙に状況を変えることになる。ドゥトゥエルの「協力」もあったことも付け加えておこう。そしてこの最初のゴールから約10分後、コーナーからのボールをクルイベルが頭で合わせて2点目。非常に難しいゴールであったとはいえ、ここでもドゥトゥエルの「協力」に感謝しなければならない。

2得点をあげたクルイベルのモチベーションは、天にも届くほど高いものとなっている。バルサ3点目もかれが絡むことになる。クルイベルからのパスを受けたルイス・エンリケがゴール前に怒濤のごとく突進。カバーに入ったアベラルドがペナルティーエリア内でファール。このペナルティーをメンディエタが決め3点目。だが前半のフィエスタはまだ終わらない。サビオラだってフィエスタに参加したい。彼からの絶妙なパスを受けて今度はルイス・エンリケがゴールを決める。前半で4−0と試合を決定づけたバルサ。

ハーフタイムに練習を始めたリケルメに大きな拍手が起こる。そのリケルメは後半開始と共にルイス・エンリケと交代して登場。彼の一挙一動に拍手が起こる後半が開始。だが前半の開始と同じようにバルサのペースはゆったりとしたものとなった。デ・ボエルの弾いたボールをアラベスが決めて「名誉の1点」を獲得。だがバルサは再び攻撃を開始する。サビオラからチャビにわたったボールをキッチリ決めるメディアプンタ「6番」のチャビ。そして最後は何回にもわたってスペクタクルなラストパスを出していたリケルメからのボールをクルイベルが決め6点目。もうカンプノウの観客席は波打っている。後半途中からどこからともなく起こったウエーブは誰にも止められない。もういい加減、バルセロニスタが試合そのものを楽しむ瞬間がやって来てもいい頃だった。

■システムの変更
バンガールは試合後の記者会見で認めないものの、この日のバルサのシステムはこれまでと違ったものとなっていた。先日の記者会見でバンガールは次のように語っている。
「これまでの試合の80%は4人ディフェンスで戦ってきている」
それが事実かどうかは別として、この日のバルサの基本的なディフェンスシステムは二人のセントラル(デ・ボエル、プジョー)と右ラテラルにメンディエタ、左ラテラルにナバーロという4人ディフェンスだった。そしてガブリとコクーの二人ピボッテ。3人のメディアプンタス、右にサビオラ、真ん中にチャビ、そして左にルイス・エンリケ。プンタとしてクルイベル。つまりスペインの各チームで大流行の4−2−3−1というシステムを採用したバンガール。

■クルイベルの「完璧な夜」
スペクタクルなボールタッチやラストパスを送る「9番・クルイベル」としてだけでなく、ゴールまで決めてしまうデランテロ・クルイベル。この日は彼にとってゴールポストが大きく見えたことだろう。普段より倍以上のスペースがあることを感じたに違いない。バルサに入団して3回目のハットトリック。だが彼の場合はゴールを決めるだけではない。この試合でも多くの素晴らしいパスをだしているのだ。そして試合後におこなわれたテレビ番組のインタビューでカタラン語でしゃべり始めたクルイベル。
「これでバルサの選手として98ゴール。次のラーシング戦で100ゴールを達成したいね。多分ブルッハス戦は俺は出場しないだろうから、リーグ戦まで待つしかない。それにしても楽しい試合だった。ゴールも決まったしね。今日の俺はハットトリック・クルービーだやー。」


■ボナノ(6)
ほとんど仕事のなかったボナノ。アラベス唯一の得点もキーパーとして特別することもなかったゴール。豊富な経験からかチームに冷静さを与えている。

■プジョー(7)
いつものようにディフェンス「要塞」の要となったプジョー。守備陣にパワーを、チームに固いブロックを。常に相手デランテロの前を走り込んだプジョーだ。
オッレー! プジョー!

■デ・ボエル(6)
特別なエラーは見られなかったこの日のデ・ボエル。観客席からもブーイングよりは拍手が多かった。久しぶりに安定した守備を疲労、じゃなくて披露。

■ナバーロ(7)
13回にわたってボールを奪ったことに見られるように、ほぼ完璧なマークをしたナバーロ。試合ごとに成長しているのがわかる。この試合では攻撃にも何回も参加。
オッレー! ナバーロ!

■メンディエタ(7)
4人ディフェンスの右ラテラルでありながら、ほぼエストレーモとしてプレー。彼本来の活躍が見られた。安心して任せられるペナルティー要員。
オッレー! メンディ!

■チャビ(8)
相変わらず彼へのマークは厳しい。スペインリーグではもうそれが常識となっている。だがこの日は普段より上に位置をずらしてのポジションということもあり、かない自由に動くことができた。
オッッッッッレェェェェー!チャビ!

■コクー(6)
コクーの仕事に10点をあげるのは難しい。どんなにいい仕事をしても派手なプレーを要求される仕事ではないので彼には気の毒だ。だが地味ながら目的達成。
6点でも、オッレー! コクー!

■ガブリ(8)
疲れを知らないガブリ。グランド狭しと走りまくり相手ボールを奪う。今シーズン最高のガブリが90分間にわたって見られた。だがガブリ、カードには気をつけよう!
オッッッッッレェェェェー! ガブリ!

■サビオラ(8)
この日のサビオラはゴールを決める選手ではなく、チャンスを作る選手として活躍。試合ごとに大きくなってきているコネッホだ。次はゴールも決めてしまおう!
オッッッッッレェェェェー! コネッホ!

■ルイス・エンリケ(9)
グランドにでれば親友も何もない厳しいプロの世界。幼なじみのアベラルドを翻弄。32段変速のビシクレッタでアベラルドをノックアウト。そしてゴールまで決めてしまう。
オッッッッッレェェェェー! ガッツ!

■クルイベル(9)
この日はクルービーの夜。もっとも簡単なゴールを外すところもクルービーならではのスペクタクル。100ゴールまであと2つ。おめでとうハットトリック。
オッッッッッレェェェェー! クルービー!

■リケルメ(8)
後半から出場したリケルメ。わずか45分だけだったとはいえ、彼らしいスペクタクルなラストパスが何回も見られた。
オッッッッッレェェェェー! リッキー!