11月12

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

Champions League
11月13日 19:15
CAMP NOU
FC BARCELONA
vs
GALATASARAY

「わっ、わっ、悪かったよ」

ビクトルの反乱は終わりを見た。報道陣を避けるためにバルサオフィスではなく駐車場から直接入れる選手控え室でおこなわれた4者会談(ガスパー、ファルゲール、ガスパー、そしてビクトル)で、ビクトルは自分の非を認め処分をクラブに一任、それを受けてクラブ側は「罰金処分」ということで問題を解決した。クラブ側は「罰金」の額を発表していないが、EFE通信が伝えるところによれば2400ユーロ、エスポーツ紙が6000ユーロ、ムンド紙が1万2000ユーロとしている。

クラブ首脳陣からガスパー会長、ファルゲール統合ディレクター、バンガール監督(推定トータル年齢170歳)、そして「被告人」であるビクトル(ピッタシ20歳)の間で話し合いがもたれた。場所は選手控え室。この隣の部屋にはビクトルの父親と彼のマネージャーが控えている。この約1時間続いた話し合いの席で、ついにビクトルは自分の非を認めることになる。
「わっ、わっ、悪かったよ」

先週の金曜日にバンガールからではなく間接的に二部落ちを言いわたされたビクトルは、翌日の二部の練習に参加してこなかった。彼からの何の連絡もなく心配する関係者をよそに、彼はひたすら自宅に引きこもって「反乱」を実行する。もちろんこの日のビジャレアル戦を観戦するためにカンプノウにも足を近づけていない。召集されなかった選手はすべてカンプノウに来ることがほぼ「義務」づけられているにも関わらずだ。もちろんクラブ関係者はビクトルの自宅に連絡をとっている。当人とは連絡がとれなかったものの電話では父親とは話し合いが持たれている。

翌日の日曜日、いよいよガスパーの出番となる。彼は密かにビクトルと連絡をとり彼と対面している。
「どんな問題があるにせよ、クラブに出てこなくてはダメだ。そこで言いたいことを言えばいい。」
クラブ会長と言うよりは一人の人生の先輩としての意見。これが若輩ビクトルを動かすことになる。金曜日、土曜日、そして日曜日と一歩も自宅をでなかったビクトルが月曜日の会合に参加することに了承する。もちろんビクトルにも言い分はある。二部落ちをバンガールから直接言いわたされたわけではなく、この事実を知ったのはメディアを通じてのものだったこと。そのことが彼の心を非常に傷つけていた。
「なぜ監督が直接に言ってくれないのか
これが彼の言い分だ。

昨日の4者会談の後にファルゲールがクラブとしての正式コメントをおこなっている。
「この件に関しては、彼の父親だとか代理人とかには一切の関係がないようだ。ビクトルが一人で決断し、一人で実行に移してしまったこと。若さからくる誤りは誰にもあることだし、問題はその誤りを起こした後にどのようなリアクションするかということだろう。私個人にしても、あなたがた記者諸君にしても20歳という時期があったわけだし、その頃に犯した誤りを思い返してみるのもいいかも知れない。いずれにしてもビクトルは反省しているようだ。これからも彼を暖かく見守ってあげて欲しい。」

ビクトルは今日の午後に記者会見場にあらわれることが予定されている。そして今日と明日は二部の練習に合流し、木曜日には一部の合同練習に呼ばれることになるだろう。週末にはバルサBの試合がある。もしバルサBの監督であるキケ・コスタが必要と考えれば二部の試合に出場することになるだろう。ビクトルの新しい挑戦がこれから始まる。ボナノ、エンケ以上に才能があるといわれるビクトルの新たな冒険の開始だ。


●6年ぶりの一人デランテロ
ビジャレアル戦での攻撃がお粗末なものであったのは、クルイベル一人のデランテロというシステムが原因ではないだろう。4−2−3−1というシステムでは中盤の左右の選手がウイングとしての働きを見せて初めて攻撃面では機能することになる。その左右に配置された選手であるモッタとメンディエタは奥行きのある攻撃をおこえなかったし、チャビやコクーのピボッテ選手もクルイベルトとの縦の線を生み出すことができなかった。だがそれにしてもこれまでのバンガール第一次政権でも、そして今回のバンガール政権でも一人デランテロというのは初めてであることも確かだ。
クライフの監督就任以来、バルサは常に3人、あるいはそれ以上のデランテロを配置して戦ってきた。少なくてもリーグ戦におけるカンプノウでの戦いでは常にそうしてきた歴史をもつバルサだ。たった一人のデランテロという超保守的なシステムでバルサが最後に戦ったのはロブソン政権までさかのぼらないとならない。1996年11月9日、カンプノウでおこなわれたAt.マドリ戦。ロナルド、ストイチコフは負傷しており、フィーゴは代表に召集されて不在の試合だった。そこでロブソンがとったシステムはピッチ一人をデランテロにしたものだった。先日のビジャレアル戦はそれ以来の「保守的」な試合だったと言える。

●チャビとルーケの再会
バルセロナから車で30分いったところにあるテラッサ地区。バルサのチャビも、そして今シーズンからコルーニャの選手となったルーケもここで生まれている。2歳違いの彼らは(ルーケが2歳上)子供の時からバルサの選手だ。チャビは9歳で、ルーケは11歳でバルサ選手となっている。練習が終わればどちらかの父親が迎えに来て一緒にテラッサに帰る仲だった。だがこの2歳の年の差が同じカテゴリーのチームで一緒にプレーすることを不可能にした。しかもルーケはジュニアーカテゴリーでバルサを離れなければならなかった。誰一人として彼の将来に期待するコーチがいなかったからだ。
そんな彼らが初めて同じカテゴリーで一緒になったのは韓国・日本ワールドカップでのこと。スペイン代表選手としてのカテゴリーで初めて同じチームに入ったことになる。
そして今週末は彼らがお互いにライバルとなって試合をおこなう。彼らにとっては非常に個人的に特別な試合であることは間違いない。

●さて、明日はガラタサライ戦
明日のガラタサライ戦はブルッハス戦と同じようにクラブとしてのプライドと経済面での重要性だけの試合となっている。しかも試合開始は19時15分。モスクワでの試合と同じ時間におこなわなければならないため、平日であるにも関わらずこのような試合開始時間となってしまった。まだほとんどのサラリーマンは仕事をしている最中に審判の笛が吹かれるこの試合には多くの観客数は望めない。1万人、あるいは2万人が入るかどうかという予想のもとにおこなわれる試合だ。そしてブルッハス戦と同じように「お子さまランチ」チームを準備するバンガール。多くの絶対スタメン選手に休養を与えたいバンガール。したがってバルサBからの選手が多く出場することが予想される。イニエスタ、ナノは負傷中であるため出場は難しい。だがブルッハス戦でデビューを飾ったトルトレーロやセルヒオ、ダビ・サンチェス、そして新たにオレゲールやアルナウなどが召集される可能性がある。