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Champions League
11月27日 20:45
BAYARENA
LEVERKUSEN
vs
FC BARCELONA
 

1 - 2


才能 戦術

この試合に勝利した原因を正直に、プライドにこだわることなく、頑固にならず、そのままノートに書き留めることをバンガールに勧めよう。だが彼にとって大事なこと、それは次のことだろう。
“ノートを捨て街に出よう!”
そうバンガールは街に出てファンの声を聞くことが大事だ。バルサソシオは決してフットボールに無知ではないということを知ることができるだろう。彼らは何十年間もカンプノウで試合を見てきている人たちだ。彼らの意見を聞くことも決して時間の無駄ではない。

フットボールというゲームの魅力はゴールにあることは歴史が証明している。相手チームより一つでも多くのゴールを獲得しようとする意図から生まれるスペクタクル。そして今から100年前近くに生まれた“監督”という職業につく人々は、時代と共にそのゴールを奪うためのフットボールスタイルを変化させてきている。かつて5人のデランテロというのが常識であった時代もあったし、それがいつの間にか4人になり3人になり2人となり、あるいは1人に、あるいは0人にと色々なスタイルに変化してきている。だがデランテロの数がどうであれ変化していない部分ももちろんある。それは輝かしい歴史を持ち、多くのファンに支えられている“ビッグチーム”と呼ばれるクラブでは常に才能あふれる最高の選手がプレーし続けてきていることだ。

最近のバルサはそのフィロソフィー、つまりクラブの存在を輝かしいものにしてきたフィロソフィーを否定してきている。レバクーゼンの前日、バンガール監督は「この試合には負けられない」との意味深なコメントを残している。「勝たなければならない」ではなくて「負けられない」試合としてレバクーゼンとの試合に臨もうとしていた。その監督の意図はスタートメンバーを見ればさらに明らかなものとなる。「負けられない」試合は「引き分け」の試合を狙うというのと同義語であった。そしてこの試合に用意された選手たちは“11人の戦士”であった。

勝利することへの意欲に、負けることへの恐怖感が勝ってしまったのだろうか。黄金のユニフォームに身を包んだ“11人の戦士”たち。体力消耗戦を持って相手をつぶしていく戦いにアーティストの出番はない。ゴールを決めることを狙うというよりは明らかにゴールを入れられないバルサの戦いが繰り広げられる。引き分け狙いの試合、それは少なくてもバルサというチームにとって、狙い通りの結果が得られないで終わることはシロウトでも理解していることではなかったか。案の定、「集中力の欠如」によるものかあるいは「運が悪かった」のか、レバクーゼンが1点を獲得しリードする前半。相手ゴール前に一人たたずむクルイベルは、当然のことながらシュート一つ撃てるわけではなかった。

せっぱ詰まった状況がバンガールの恐怖感をうち破ったのか、あるいは試合後に彼が語るように当初のシナリオ通りなのか、後半にはベンチに控えていたクラック選手たちが登場する。まるで45分しかプレーできないかのような扱いを受けての登場だ。ガブリ、メンディエタに代わりサビオラとリケルメがグランドに現れ、しばらくしてからオーベルマルスも出場することになる。多くのバルセロニスタが望むバルサが登場することになる。後半開始早々、まずサビオラ・リケルメの壁パスがつながり最終的にリケルメからのパスをサビオラが決め同点。プラセンテがクルイベルに対してペナルティーエリア内でファールを犯しPK。だがリケルメはこれを外し、期待された逆転には至らない。それでも試合はほぼバルサペースとなっている。そして試合終了間際、オーベルマルスがゴラッソを決めてついに逆転するバルサ。

勇気あるものにこそ勝利が訪れる。卑怯者、臆病者には勝利のチャンスは少ない。勝利を追及するものにこそ幸運の女神は訪れ、それを探さないものには訪れない。バンガールノートに、細々とした戦術だけでなく戦う姿勢が描かれることになるのはいつのことだろうか。

■予定通りだ!
試合後の記者会見場にあらわれたバンガールによれば、すべて計算通りに試合が展開されたようだ。彼を除いて、彼一人を除いてすべての人々が感じたスタートメンバーのミス。過ちを犯したことが一度もないというバンガールにとって、この日の試合ももちろん例外ではない。
「すべて予定通りにことが運んだ感じだ。レバクーゼンはドイツの典型的なチームだから前半から全力で走りこんでくる試合展開が予想できた。だから私バンガールは二人のボールを奪う選手をピボッテとして置いた。ガブリとロッケンバックがその役目を見事に果たしてくれた。したがってメディアプンタにチャビを置くかリケルメを置くかという選択が残ったが私バンガールはチャビがいいと思って彼を選んだ。メンディエタとモッタはマドリ戦でもいい感じでプレーしていたからそのまま続けさせてスタメン出場となった。そして試合は私バンガールの予想通り、相手を完全にコントロールする形で進んだ、が、セットプレーで得点を奪われたのは残念だ。そこまでは私バンガールでも予想できないことだ。」

それでは後半に入ってのサビオラ、リケルメ、オーベルマルスの投入も予定通りだったのだろうか。もちろんそうだ。
「彼らの投入は予定通り。前半にレバクーゼンの選手を疲れさせてからの彼らの投入は私バンガールが当初から考えていたことだ。オーベルマルスは当人が認めるように30分しかプレーできない状態だ。彼はこの試合で20分プレーすることになった。もっともサビオラとリケルメの投入は予定だともっとあとの方だったんだが、状況が彼らの早めの投入を要求していた。」

チャンピオンズ予備選を含めると9連勝という驚くべき活躍を見せているバルサ。バンガールはこの記録以上にこの日の試合内容そのものに満足しているという。
「マドリ戦のあとに私バンガールは試合そのものには非常に満足していると語った。少しの運があれば勝てる試合だったし、これまでの度重なる不運を考えればもうじき幸運がやって来るだろうとも思っていた。そして今日、我々はついにその幸運をつかんだといってもいいだろう。先制されたゲームをひっくり返すのは簡単なことではないからね。それには幸運が必要だった。私バンガールは何回も言ってきているようにテクニック的に優れている選手が好きだ。難しい試合はチョットした個人プレーで試合が決まることがあるからね。だからといって前半の我々の試合展開に不満足というわけではない。ただ前半には運がなかっただけだ。」

■クルイベル
前半の45分間、限りなく一人で相手ディフェンスと戦わなければならなかったクルイベル。メンディエタもモッタも、そしてチャビも下がり気味だったから一人孤立の戦いを強いられることになった。前半にバルサが勝ち取ったゴールチャンスはわずか1回。それもコーナーキックからのものだった。
「ロマンとコネッホの登場が勝利するための決定的な要素となったね。彼らが入ってきたことにより奥行きのあるゲーム展開ができるようになったし、試合そのものを支配することが可能となった。前半では自分一人で3人も4人もいるディフェンス陣を相手に戦うことになった。俺に勝ち目があるわけがないよ。個人的にゴールが決められないということは全然心配していない。入るときが来ればドドッと入るさ。そんなことより俺たちは前半からフットボールをすべきだと思うよ。それが勝利への近道なんだから。」

■サビオラ
リケルメと一緒に後半が始まると共に出場したサビオラ。結果的に彼ら二人の登場がバルサ勝利への道へとつながった。攻撃的な面で前半にはまったく見られなかったパワーを注入したサビオラ。試合の最中に軽い痛みを左足に感じながらも全力を出しきったサビオラの表情は明るい。
「後半に入ってチームに新たな空気を注入できた感じ。それが勝利につながったんだと思う。後半開始早々に得点できたのが大きかったね。あれでグングンいける感じになった。個人的にもゴールを決めたことが非常に嬉しいけれど、やはり何といってもチームの勝利が一番の喜び。ただ残念なのは次のソシエダ戦に出場できるかどうかわからないことだね。ドクター・プルーナは慎重な人だから、いまのところ出場が可能かどうかわからないと言うし。」

■オーベルマルス
後半25分あたりから登場したオーベル。モッタに代わっての出場だった。マドリ戦では10分程度のプレー時間だったから少しは時間が増えてきている。彼本来の左エストレーモという位置でプレーし、1年ぶりに奇跡のゴールも決めたオーベルだ。
「いや〜、嬉しいなボクちゃん。試合にも勝っちゃったし入らないと思ってうったシュートも入っちゃったし。身体のほうはだいぶ健康になってきたし、階段なんかで転ぶこともなくなったよ。次の試合では35分ぐらいはプレーできるんじゃないかなボク。90分はまだ無理だな、疲れやすい身体だから。」