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LIGA 第13節
12月7日 20:00
TERESA RIVERO
RAYO VALLECANO
vs
FC BARCELONA

 

1 - 0


深く静かに果てしなく潜行

わずか一発の打撃を受けただけで、たったそれだけでブクブクッ、ブクブクッ、ブクブクッと、反撃も抵抗もおこなえず海底深く沈み込んでいったバンガールバルサ。深く静かに果てしなく潜行していくバルサに対し、バジェッカスに集まったバルセロニスタはガスパーとバンガールの辞任を要求する。
「辞めろ〜、ガスパー!」
「オランダに帰れ、バンガール!」
だがこの日の試合をここ何試合かでの最高の試合と総括するバンガールの耳には届かない。
「奈落の底まで落ちたって?冗談じゃない、我々はまだ最下位になってないじゃないか!」
そう試合後に語るバンガール。ユーモアが似合わない男から発せられる言葉だから、彼は真面目に考えてそう語っているのかも知れない。我々はまだ最下位にはなっていない。そう、確かにその通りだ。だが我々バルセロニスタは、リーグ最下位になるまでこの二人とつき合わなければならないのだろうか。マンマ・ミーア!!!!!!!!

バンガールノートにはサイド攻撃という発想はないようだ。この試合に両サイドインテリオールに起用されたロッケンバックにしろコクーにしろ、彼らは一度たりともサイドからの攻撃参加を見せることはなかった。だがそれでも前半の30分近く、バルサには今シーズン最高のプレーを見せるリケルメが存在した。すべてのボールが彼の足下に集まり、そこから生まれるゴールチャンスが何回か見られた。クルイベルに出された絶妙なパス、そして自らもシュートを放つリケルメがバルセロニスタに「ひょっとしたら」という勝利の予感を与えてくれた。だがバルサはこれまでと同じように、ゴールチャンスをものにすることができないまま前半を終了することになる。

状況を的確に判断して作戦を練り直す、それが監督の仕事の一つであるとするならば、この日にその仕事をこなしたのはラージョの監督のみだった。フェルナンド・バスケスはハーフタイムを利用してオノプコにリケルメの密着マークを命じた。彼の完璧なマークがリケルメの存在を後半には消し去り、同時にバルサの攻撃をも消すことに成功する。ノート作りにせいを出すのみで状況分析を怠ったバンガールに対して、状況を読んだフェルナンド・バスケスの完全な勝利だった。

たった一発の打撃、それはラージョのキーパーから生まれた。彼から放たれたバルサゴール近くのボールをボリッチがヘディング、それを受けてアスコイティアがデ・ボエルとボナノをからかうよう交わして一瞬のゴール。このわずか一発の打撃でバルサを沈めるのにはじゅうぶんだった。ここ6試合で1分け5敗というラージョに待望の勝利が訪れる。なぜならハンディ戦となると反撃の雰囲気も感じられないバルサが相手だ。そしてバルサにとってはいたずらに時間がすぎていく。深く、静かに、そして果てしなく沈み込んでいくバンガールバルサ船。そしてついにこの試合でも浮かび上がろうと舵を取る選手は現れなかった。

今からちょうど4年前、1998年12月20日、バルサはバジャドリとの試合をチャビのゴールによって勝利する。この勝利によって危機を迎えていたバンガールバルサは生き返り、バンガールも辞任をすることなしにシーズンを終了するばかりではなくリーグ優勝まで飾った。多くのメディアが「チャビがバンガールを救う」とうたったのに対し、バンガールは「選手としての義務を果たしただけ」とそれを否定する。そして同じような状況で迎えた昨日のラージョ戦では誰もバンガールの首を救うこともなく、義務を果たすこともなく勝利の3ポイントを獲得することなしに90分を終えた。その結果、バルサは果てしなく沈んで行こうとしている。

■ 私バンガールはこう考えます
バンガールの言動や行動にはもう驚ろくことはないだろうと思っていたメディアやバルセロニスタだが、それは非常に甘かった。まだまだ計り知れない「懐の深さ」を持つバンガールが昨日の試合後に登場した。
「この試合はここ最近の5試合の中で最高の内容をもったものだった。90分にわたって選手たちは非常に高いモチベーションをもって戦ってくれた。この点に関して私バンガールは非常に満足している。」

ハリーポーター・バンガールはさらに我々を驚かしてくれる発言を続ける。それは一人の記者がバルサはすでに落ちるところまで落ちたのだろうか、という質問に対する答えだった。
「我々が奈落の底まで落ちたと言うことは、そりゃあないだろう。いいかい、それは我々がリーグ最下位になった時に言う言葉だ。そしてその可能性はあるものの、我々はまだ最下位にはなっていない。わかるかね、私バンガールの言うことが。」
わからない。誰にも理解できない。バルセロニスタの一人として彼の言葉を理解できるものはいないだろう。そしてその理解できないバルセロニスタの援助を頼むバンガール。
「確かに我々の抱えている状況は決して良いものではない。それは私バンガールが認めよう。だがこういう状況だからこそ、バルセロニスタの助けが必要なんだ。そしてその援助さえあれば、我々は確実に前進していける能力をもっている。この試合にしても選手たちは素晴らしいプレーを見せてくれた。敗戦のショックだけが心配だが、いずれにしても彼らを責めるわけにはいかない。全力を出し尽くしての敗戦なんだから、私バンガールとしては彼らを責めるわけにはいかんのだ。」

全力を出しきっても敗北という結果に終わったラージョ戦。ではなぜ負けたのか。最下位近くを走り、ここ6試合で1ポイントしか獲得していないチームになぜ負けたのか。
「やはり運がなかったというのが正しい。我々の方がゴールチャンスは多かったし、彼らの方はたった1回のゴールチャンスしか生み出せなかった。それも普通では考えられないようなゴールだ。我々がゴールチャンスをものにできなかったことも不運だが、彼らのゴールを生み出したのは恐ろしいほどの幸運が彼らにあったからだ。我々は試合を支配したし、ボールコントロールもうまくやっていた。この小さいスタディアムでボール支配することは決してやさしいことではないにも関わらずだ。」

来週の火曜日にはカンプノウでのニューキャッスル戦が待っている。バンガールはこの試合でのバルセロニスタの応援を要請する。
「もしこの火曜日の試合がなければ長くて厳しい1週間となるところだったが、我々は幸運にも3日後には試合がある。我々が再び調子を取り戻すのに絶好の機会となることを願うばかりだ。非常に大事な試合となるこのニューキャッスル戦に多くのソシオやシンパなどが我々を応援しに来てくれるといい。」
つまるところ彼バンガールは、何年バルサにいようが、あるいはカタルーニャに何年住もうが、バルセロニスタに関して何の理解もできていないということだろう。バルセロニスタがいかに苦しみ、いかに悲しみに落ち込んでいるかさえも彼バンガールは理解していない。3日後、カンプノウを埋めるであろうバルセロニスタが、彼バンガールをどのように迎えるか、それさえも想像できないほどの貧しい想像力をもった人物、それが我々の監督である。マンマ・ミーア!!!!!!!!!!!!!