12月17

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バンガール、島流しの刑に

バンガールにはすでに判決が下っている。クラブまだ会長のガスパーは、バルサまだ監督に対する判決書をすでに懐に収めている。それは来週早々にも日の目をみることになるだろう。そう、マジョルカ島にわたってのソンモーでの試合の後だ。もしこの試合に負けるようなことがあれば、いや、それは引き分けという結果でも勝利という結果でもあり得ることだが、いずれにしてもバンガールはマジョルカ島への島流しの刑となり、バルサまだ監督からバルサ前監督となる可能性が大だ。

バジェッカスでのラージョ戦で敗北した時、バンガールに飛んだ質問を覚えているだろうか。
「バルサはすでに落ちるところまで落ちたのか?」
それに対する彼の答えは多くの人々を驚かすものだった。
「我々はまだ最下位にはなっていない。ということはまだ落ちるところまで落ちていないということだ。」
このセンスのない悪い冗談のような発言は、少なくても土曜日のマジョルカ戦後には聞かれることはないだろう。彼に与えられた最後通告、ドラマチックな最後通告、それは多くのバルセロニスタが納得できるような勝利をものにしない限り、そしてそれは現実的にかなり不可能に近いものだが、そのような勝利が生まれない限り“アディオス、バンガール”となることだ。

これまで何回かの“テストマッチ”を、惨めな敗戦で黒丸に塗りつぶしてきたバンガールバルサ。ベティス戦に始まり、バジャドリ、リアソール、アノエッタ、バジェッカス、それらすべての試合を惨めな敗戦という結果に導き、試合後に聞かれる敗戦分析は常に同じようなものだった。
集中力の欠如、闘争心の欠如、運の悪さ、審判のミス、ディフェンスの選手の個人ミス、等、等、バンガールにとっては、少なくとも彼にとってはこのようなはっきりとした理由があっての敗戦だった。だがセビージャ戦だけは少し違ったものとなっている。試合が終了してから1時間も後におこなわれた記者会見で、彼は敗戦の理由を聞かれ次のように答えている。
「選手と話してみないとわからないし、ビデオを見る必要もある」
監督としての無能さをついに露呈したバンガールの姿がそこにあった。それは彼にとってあまりにも計算外の敗戦というショックもあっただろう。しかもガスパーに誓った結果とはならなかったことへのショックもあったに違いない。

ガスパーに誓った結果、それはラージョ戦の前にガスパーと彼が昼食をとりながら現状分析をした際にだしたものだ。そしてそれは非常に楽観的な内容のものだった。ラージョ戦、ニューキャッスル戦、セビージャ戦、そして年内最後の試合となるマジョルカ戦の成績を予想するバンガール。
「リーグでの3試合で7ポイントを獲得し、もちろんニューキャッスル戦には勝利する。そうすれば我々は楽しいクリスマスを迎えられるというものだ。」
この楽観的な予想はまずこの昼食会がとられた週末にいきなり破綻をみることになる。ラージョ戦の敗北はリーグ残り2試合で7ポイントをとらなければならないことになるからだ。そしてそれはもちろん不可能なこと。それでもニューキャッスル戦での内容の良かった勝利が彼らに再び楽観的見解を生ませることになる。

次の昼食会はこの二人に選手たちを加えたメンバーでおこなわれた。彼ら二人の独特な“捕らぬタヌキの皮算用”論議は続けられる。ガスパーはバンガールに語る。
「もしセビージャ戦に勝利し、マジョルカ戦に引き分けにでも持ち込めれば我々は4ポイント獲得することができる。そうすれば来年からの好スタートを期待することによってどうにかなるだろう。」
これが12月16日付けの“ラ・バンガルディア”紙によってすっぱ抜かれた会話内容だった。だがこの楽観主義者の二人の思惑は再び、そして見事に外れることになる。セビージャ戦での敗北はマジョルカ戦での4ポイントの獲得を要求することになるのだから。

この二人はすでに孤立状態にあると言って良いだろう。バルセロニスタから、メディアから、選手たちから、そしてクラブ理事会を構成する重要なメンバーたちからも孤立している。カピタンの立場としてルイス・エンリケやプジョーがどんなにバンガール支持の声明をだそうと、選手内ではすでにバンガールとの対立関係が存在することはもう隠しようもない。試合ごとに相手チームに合わせてのシステム変化に戸惑いを見せる選手たち。システムの変更と同様に、ポジションの変更も強要される選手たちに100%の実力発揮を要求するのは酷というものだ。ひたすら前線で孤立するクルイベルは、仲の良い同僚に「カッペロ時代みたいだ」と語っているといわれるし、ボールの出しどころがないチャビもそのことをもって批判されるのを非常に不愉快に感じているという。

理事会内部でのガスパーの孤立。昨シーズンが終了する間際に次期監督候補を絞った際、6人いる副会長の過半数がビアンチを推薦した。だがバルサ理事会はヌニェス時代もそうであったように、常にクラブ会長の独断政権といって良い。その慣習がガスパー個人の独断という、アッと驚くバンガール就任という事実を生んだ。その6人の副会長の中でも最も力を持つジョアン・カステールス。彼はセビージャ戦の後に、ついにガスパー会長に対して“最後通牒”を突きつけた。

ジョアン・カステールスはガスパーに対し、緊急な対応と適切な判断を求めている。それはもちろん、ガスパーと彼ら副会長たちとの早急な会合をもって現状打破に関して討議していくことからはじめなければならないと語る。
「バンガール監督就任はガスパーの個人的な判断でおこなわれたもの。もちろん我々副会長を始めクラブ理事会はそれに同意して実現をみることになった。したがって我々は最後の最後まで、そう可能な限りバンガール体制を支持していくつもりだ。だが状況は急を告げていることも確かなことであり、今後の方針を早急に決める必要があると思う。もしガスパーにその意思がないのであれば、私が第一副会長の立場として現状を打破する方針を個人的に打ち出していかなければならないと思う。それが不可能であるならば、第一副会長として理事会に在籍している意味がないから辞任ということもあり得るだろう。」

クラブ会長が孤立し、監督が孤立し、選手間は表向き団結を誓い合っているものの選手内に分裂を生んでしまっている。現状を憂うあまりか、あるいは現状を利用しようとしているのか、多くの会長候補がメディアを騒がしはじめている。ペーニャはガスパー支持派と反支持派に別れ対立している。だがそれでも、すべてのバルセロニスタが望むもの、それは会長が誰であれ監督だ誰であれ、選手がどうであれ、一時も早い現状の打開であることは間違いない。ガスパーもバンガールも、クルイベルも、チャビも、ジョアン・カステールスも、ここに登場してきたすべての人たちが望むこと、それはバルサの建て直しであり、反撃の狼煙を上げることだ。そしてそれはまだ可能な時期にいる。


●ビアンチ
来シーズンからのボカの監督候補として名前が上がっているカルロス・ビアンチ。すでにボカ会長マウリシオ・マクリと彼の間では交渉は始められている。ビアンチが要求している年俸は150万ドル。だがマクリが提示したのは60万ドルにしか過ぎない。そしてマクリがビアンチに要求したのは12月15日までに回答をよこせということだった。今日は17日、ビアンチはいまだにボカに対してなんの返答もおこなっていない。多くのアルゼンチンメディアの予想するところ、それは土曜日のマジョルカ・バルサ戦までは最終的な返答はおこなわれないだろうということだ。そう、ビアンチがバルサと連絡をとっていることはすでに確認されている。その内容がどこまで進んだものかということはどこのメディアも未確認だ。いずれにしても土曜日の試合次第で結論がわかることになるだろう。

●ナバーロ
セビージャ戦でのナバーロの負傷は、残念ながら予想したとおりの重いものだった。左足ヒザ十字靱帯破損、全治6か月。サンクガットにあるアセペーヨ医院でおこなわれた精密検査の結果、ナバーロにとっては今シーズン終了という悲しい結果がでた。この検査を担当したジョセップ・ボレールは検査前にナバーロに語っている。
「フェルナンド、検査の結果はたぶん期待できないものになるだろう。よほどの診断間違いがない限り手術が必要になると思う。」
そして彼らの診断に間違いはなかった。やはり手術が必要なほどの重傷だった。手術は早くて木曜日、あるいは金曜日におこなわれることになる。唯一の明るい材料、それが明るいとしての話だが、ナバーロは来シーズンのプレステージにはどうやら間に合いそうだ。
アニモ!ナバーロ!