12月20日

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来週からのバルサ

すでにサイは投げられた。マジョルカ戦での結果に関わらず、バンガールは更迭、そしてビアンチが新たな監督として就任。これがバルサまだ会長ガスパーによる、彼にとって最大の危機を乗り越えるための最初の一歩となるバルサ改革。ビアンチ監督就任は早ければ日曜日に、遅くとも月曜日にはおこなわれることになりそうだ。

ビアンチはバンガールと違い、試合翌日のビデオ観戦で試合分析をするタイプではない。彼と彼の協力者の“目”を通して蓄積された彼らの頭の中に写された90分の映像をもとに試合を総括するタイプだ。だが今の彼の置かれている状況からバルサを知るために許されることはビデオ観戦しかない。そして驚くことに今シーズンのバルサの試合はすべてビデオを通して彼の“目”に入っている。彼は今シーズンのバルサの試合をすべて見ているのだ。だがそれは昨日や今日に見られたものではない。

カルロス・ビアンチは今年の5月からフリーの状態となっている。その時期は奇しくもレシャックのかわりにバルサベンチに座る人物を捜していた時と重なっている。そしてバルサは、彼がボカを離れた瞬間から連絡だけは欠かさずとっていたふしがある。シーズン開始前から多くのバルサ理事会構成人物が彼を新監督に推したこともあるし、ガスパー個人の意見によって決められたバンガール新体制が出来上がったあとも危機に面した時には彼の力が必要だということも予測していたからだろう。そしてシーズンが煮つまっていき、バルサが調子の波に乗れない状況がはっきりしてきた時期には彼との連絡は頻繁におこなれることになる。

ビアンチによる新星バルサのイメージは明らかだ。それはもちろんビデオを通して観察した“悪いバルサ”の改善からおこなわれなければならない。現在のバルサの悪いところはどこか、ビアンチは次のように分析する。
現在のバルサが抱えている選手の特徴に合わないシステムを採用していること。リケルメやサビオラ、クルイベル、オーベルマルスなどという選手を抱えているバルサであるにも関わらず、現在起用されているシステムでは彼らの持つ良いところを最大に発揮できない。したがって現在のシステムを変えるべきである。システムは選手の特徴にあったものにすべきで、決して選手がシステムに合わせるべきではない。それがビアンチのフィロソフィーだ。

彼はベレスであろうがボカであろうが基本的なシステムは4−3−1−2というものだ。だがビアンチ自身はそのシステム自体には絶対性というものを置いていない。なぜならシステムが機能するもしないもすべて選手次第であると考えるからだ。
「戦術が成功するかどうか、それはすべての選手の行動次第で可能となるか不可能となるかということだ。したがって最も大事なことは一人一人の選手の特徴を活かしたシステムを選択すること。細かい決まりを作りすぎて選手たちを混乱に落とすことほど無駄なことはない。」

そしていかなるシステム以前の問題として、現在のバルサには明らかに選手が不足しているポジションがあると考えるビアンチ。それはセントラル、左ラテラル、そしてゴレアドール。これらのポジションを緊急に埋めないといけないと考えるビアンチだが、すでに何人かの補強選手の名前があがっている。セントラルにインデペンディエンテのミリト、左ラテラルにソリン、ゴレアドールにバティストゥータなどの名前が上がっているが、それは噂の段階を越えるものではないのが現状だ。だが誰が補強選手として来るかは別として、バンガールの代わりに来る補強監督はすでに決定されている。カルロス・ビアンチ、彼が来週からバルサベンチに座ることになるだろう。


そして、明日のバルサ

明日のバルサの指揮をとるのはもちろん我らがバンガールだ。彼にとって余程のことがない限り最後の試合となるマジョルカ戦。この試合を前におこなわれた昨日の練習風景を見る限り、彼は彼の信頼するすべての選手をスタメンに起用する“バンガールチーム”をもって戦おうとしている。そしてその11人の中には、サビオラはもちろんリケルメも見つからない。

レイジゲルは負傷していることによりオランダ選手で起用可能なのはデ・ボエル、コクー、オーベルマルス、そしてクルイベルの4人となっている。バンガールが信頼する選手の中にはもちろん彼らの名前が上がり、明日のスタメン選手となる。昨日の練習を見てみよう。バンガールは彼の信頼する11人の選手を次のように配置している。キーパーにはこれまでどおりボナノ。ディフェンスラインは4人システムと3人システムを試していた。4人システム、それは二人のセントラルとしてデ・ボエルクリスタンバール、左ラテラルにコクー、右にプジョーメンディエタ)を起用。そして彼らの前の二人のピボッテとしてチャビイニエスタを配置。ガブリのポジションはマジョルカのエトー次第となり、彼がシャワー室に行くならガブリもシャワー室までついていくことになる究極のマンツーマン。左カリレーロにはモッタが入ることになる。二人のデランテロにはバンガールが最も信頼するオーベルマルスクルイベル

3人ディフェンスのテストではクリスタンバール、デ・ボエル、コクーがセントラルとなり右カリレーロにプジョー(メンディエタ)が入る。3−4−3というシステムとなる場合、中盤にはプジョー、モッタ以外にチャビとガブリにより構成される。そしてイニエスタはリケルメの最も自然なポジションとなるエンガンチェに配置。デランテロは同じだ。

セビージャ戦に敗れて以来、バンガールは練習場を普段おこなうマシアからカンプノウへと移動していた。理由は簡単、ファンからの罵声を避けるためだ。だが昨日の練習では再びマシアに戻ってのもととなった。予想どおり多くのファンがバンガールに対して批判の声を上げる練習場周辺。緊張感あふれる練習風景だ。

バンガールによって最後に選ばれた11人の選手と対戦した11人の相手選手。それは次のようなメンバーで構成されているチームだ。キーパーにエンケ、そしてオレゲール、ロッケンバック、ペーニャ、ダビ・サンチェス、ジェラール、サビオラ、リケルメ、ジェオバンニ、ナノ、ダニの11人。そう、サビオラとリケルメは控え選手メンバーとして練習させられている。バンガールが最後に打ってでたこの賭けが彼の将来を救う奇跡を呼ぶことになるかどうか、すべて土曜日の夜中に結果がわかることになる。