2月2日

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LIGA 第20
2月1日 21:30
CALDERON
AT. MADRID
vs
FC BARCELONA

 

3 - 0


準備はいいか、アンティック

昨日のAt.マドリ戦を自宅のテレビで観戦したラドミール・アンティック。これまですべてのバルサの試合を見たという彼にとって、たいして参考になる試合ではなかったに違いない。昨日の試合がおこなわれる前からバルサは限りなく奈落の底に落ちてしまっているチームであり、今まだ息をしているのかどうかも怪しい雰囲気を感じさせていた。そして少なくてもAt.マドリ戦で示したものは、すでに“仮死状態”にあるということだろう。

彼がしなければならない仕事はそれこそ山のようにある。いや、監督としての仕事としてというより、祈祷師とか魔術師の仕事が必要なバルサではある。前監督が残していったこのバルサには、チームとしてたどり着かなければならない方向が見つからない状態であり、グランドに立つ選手に果たして“魂”が存在するのかどうかも怪しい状態だ。少なくとも二人のオランダ人選手、レイジゲルとデ・ボエル、彼らにはバルサ選手としての“魂”のカケラも存在していないことを再び証明した昨日の試合だった。

バンガールの遺産は計り知れなく重いものがある。似合わない赤と白のユニを着込んで左サイドを走り回っていたセルジ。彼がかつてのセルジでないことは明らかだろう。
だが果たしてレイジゲルとかデ・ボエルという選手がセルジ以上の選手として活躍しているのだろうか?
セルジのようなプロ選手としての自覚と誇りを持ち続けているのだろうか?
少なくとも、そう、少なくともセルジには“魂”が息づいている。二人のオランダ人選手よりも遙かに強くしたたかな“魂”が息づいている。そして昨日のバルサの敗戦をこの二人のオランダ人選手よりも嘆いているのがセルジであることも間違いない。チームが勝利したにも関わらず悲壮な表情で記者に答えるセルジだった。

「試合後に元同僚の選手たちを励ましに控え室に入ったとき、自分の心臓がいたくなるような感じだった。彼らが苦しんでいる状況を見るのは辛い。とにかく辛い。これが本当に、最後の敗戦になってくれることを祈ることしか俺にはできない。果てしなく辛い瞬間だった。」

アンティックにとってこのような状況を抱えるのは初めてではない。彼にはすでに過去に置いてこのようなチームを見てきているからだ。モリーナ、バラッハ、バレロン、ハッセルバイン、キコという選手を擁したAt.マドリを率いたアンティック。あの時の誤りを正しく総括していることを願うしかない。あれだけの選手を抱えながらもAt.マドリを二部に降格させてしまった誤りをキッチリと総括していることを願おう。バンガールがいない今、バルサはこれ以上落ちることもないだろうことも願っておこう。


アンティック監督就任記者会見

今日2月2日(日曜日)12時、ラドミール・アンティックの監督就任記者会見がおこなわれた。バルサ居座り会長のガスパーが真ん中に座り、右にアンティック、左にスポーツ・ディレクターのレシャックが記者団を前にする。厳しい顔をしてブツブツと語り始めるガスパーをよそに、アンティックはニコニコ顔でそれを聞いている。ガスパーの戯言が終わり、アンティックが語り始める。「ブエン・ディア」という間違ったカタラン語の挨拶で語り始めるアンティック。だがその心意気は良しとしよう。

ラドミール・アンティックの監督就任挨拶

ブエン・ディア、ブエノス・ディアス、まず最初に会長のガスパーに対して私にバルサの監督を務めるチャンスをくれたことを感謝したいと思います。バルサのようなビッグクラブを指揮することはプロとして一つの目標を達成したことを意味するし、ましてスペインリーグだけではなくヨーロッパの中でも最大のクラブの一つであるバルサを指揮することは名誉なことであります。

まず監督に就任して最初に約束できることは、すべての労力をこれからのバルサの反撃のために尽くすこと。確かに難しい状況ではあるけれど、決して今の状況を切り抜けるのは不可能なことではないと信じている。これから我々が戦うすべての試合を、それはリーグ戦であろうとチャンピオンズであろうと、親善試合であろうとカタルーニャカップであろうと、すべての試合に勝利していくために努力していきたい。

今日に至るまでの間にガスパー会長をはじめとして現場の責任者とも話し合い、どういう問題をチームが抱えているか分析してきている。個人的にはこのような状況を脱出する大きな期待感でいっぱいだ。決して驚いてもいないし、もちろん恐怖に震えているわけでもない。これからの試合を通してバルサがバルサらしいチームとして、つまりファンと選手が一体となりファンタスティックな雰囲気を作り出すことを目標として頑張っていきたい。繰り返すことになるが、私は今の状況を抜け出す自信がある。多くのバルセロニスタに笑顔を取り戻すことができれば最高だ。

記者たちの質問

●今のバルサの現状をどのように分析しているのか?

多くの負傷選手を抱えている上に、出場可能な選手も肉体的・精神的にかなり落ち込んでいる状態だと思っている。細かい分析はこれからおこなっていくとして、とりあえず明日から始まる私の仕事は選手のリアクションを可能とするためにどうすればいいか、そこから始まるだろう。そして具体的にこれからの試合で私がしなければいけないことは、一人一人の選手の長所を最大限に活用していくこと。もちろん今のようなチーム状態では選手の精神的な面での問題も重要なものだ。それらを踏まえた上で、チームブロックを形成していくこと、それを早急におこなわなければならない。

●デランテロセントロの獲得は必要なかったのか?

今のバルサが抱えているデランテロでじゅうぶん戦い切れると信じている。クルイベルをはじめ、ダニ、サビオラ、そしてルイス・エンリケ、肝心なのは新たな選手を獲得することより、彼らを100%の状態にすることだろう。彼らが完璧な状態になれば何の問題もないだろう。

●どのようなシステムで戦うつもりでいるのか?

私が考えるシステムというのは、4−4−2とか4−2−3−1とか数字で表すものではない。もちろん基本的なスタイルはあるが、それ以上に大事な要素、それは“ボールを所持している時”のスタイルと“相手がボールを所持している時”の我々の戦いのスタイルをはっきりすることだ。それは毎日の練習で作り上げていかなければならないから時間は必要だ。だが私は早急なリアクションは可能だと思っている。我々はそれだけの選手を持っている。

●あなたを何と呼べばいいか?

私はユーゴスラビアの生まれ。したがってユーゴスラビアパスポートにはアンティッチとなっている。だがスペインパスポートではアンチックだ。好きなように呼べばいい。

●これまでバルサという歴史的なクラブを外から見てきて、どのような印象を持っているか?

バルサはいつの時代でも偉大なクラブであることは間違いない。それは今でも同じだが、現在のバルサは明らかに悪い時期をむかえていることは誰もが否定できないことだろう。だが私は残りのリーグ戦18試合、そしてチャンピオンズの戦いを通じてかつての“栄光あるバルサ”へ戻れると信じている。今シーズンのバルサは苦しみと悲しみしかなかったが、大きな喜びをファンに与えるのが私の仕事、そしてそれがこれから可能になると信じている。

●あなたは“救世主”となれる自信があるでしょうか?

まず第一に私は救世主ではない。だがこのような状況を切り抜ける自信があることは確かだ。それは今までの経験から生まれる自信であり、これからの練習を通じて選手たちがリアクションを可能とする自信に基づいて語っている。

●現実的に考えてこれからのバルサの目標はどこにおくか?

選手たちのメンタリティーを変えていくこと。一人一人の選手が引き受けなければならない責任感を今まで以上に感じさせること。彼らの良いところを最大限に引き出していくこと。すべての選手が自ら納得できるポジションでプレーすること。そして、すべての試合に勝利していくこと。