2月8日

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LIGA 第21
2月9日 20:30
CAMP NOU
FC BARCELONA
vs
ATHLETIC BILBAO

 


ガスパー式辞任の仕方

1時間20分にわたっておこなわれた昨日のガスパーの記者会見は会長としての最後のものではなかった。なぜなら3月1日におこなわれるクラブ特別委員会をもって“辞任”を発表することになるからだ。ソシオ代表が集まっておこなわれるこの委員会で、彼は彼の決断をソシオを前にして語ることになる。したがって昨日の記者会見では“辞任”という言葉は1回もでてこない“ガスパー式”辞任記者会見となった。

記者会見場にあらわれたガスパーは普段より穏やかな表情だった。試合観戦中の苦虫を噛みつぶしたような表情ではないし、普段の記者会見でジャーナリストたちに鋭い質問をされたときに見せる鉄のような表情もこの日はない。そしてこの1時間20分前後続くことになる記者会見で彼は“辞任”発表をしたのではなく、3月1日のソシオ代表が集まっておこなわれるクラブ特別委員会で、すでに自ら下した“決断”を語るということだった。
「すでに決断は下された。だが私はまず最初にソシオにその決断を知って欲しい。ジャーナリストたちが最初に知るのではなく、ソシオが会長の決断を最初に知らなければならない。」

したがってガスパーの“辞任”問題はいわゆる“暗黙の了解事項”として認識され進められていく記者会見。辞任する側が一度も“辞任”という言葉を発しない辞任記者会見となる。
「私の下した決断は午前中に開かれた緊急理事会でクラブ責任者たちにすでに伝えてある。クラブがむかえているこのような状況の最高責任者はクラブ会長である自分にあるという認識の下に今回の決断を下した。クラブにとって最良の決断となることを祈っている。なぜなら私ガスパーのバルサに対する思いや愛情は、すべてを越えたところに存在するからだ。私個人の問題さえ越えたところに存在する。生まれたときにはすでにバルセロニスタであり、死んでいくときもバルセロニスタである私にとって、クラブのためになる決断なら喜んでしていく。」

バルサのために、すべてはバルサのために良かれとと信じ“決断”を下したガスパーにとって、この“暗黙の了解事項”をきっかけにクラブを取り囲む環境、とりわけチームが良い方向に向かってくれることを期待するのは当然だ。
「我々にとって最も重要なことはチームがどのように反撃してくれるかということだ。すべてのソシオ、シンパ、そして世界中のバルセロニスタにお願いしたい。もし可能ならカンプノウにかけつけ、できる限りの応援をして欲しい。もしカンプノウに行くことが不可能なら、心の底からの応援をして欲しい。新たな監督のもとに始まる新たなチームを精一杯応援して欲しい。日曜日の試合に勝利し、そして次の試合に勝利し、さらなる戦いに勝利するために応援して欲しい。」

1時間をとうに過ぎた記者会見がようやく終わろうとしている。ここまで苦々しい表情一つ見せることなく淡々と語るガスパー2月まで会長。最後に心の底からの言葉が飛び出す。
「私が心配しているのは個人のことではなくてバルサのことのみだ。これまで会長として多くのミスをしてきただろう。だが50年間のソシオとしてのバルサに対する愛情は誰にも負けないという自負は消え去ることはない。そして私の“決断”が少しでもクラブのためになればいいと思う。」

3月1日のクラブ特別委員会でガスパーは辞任を表明する。そして委員会に参加するソシオの審議をはかることになる。彼らがガスパーの辞任を投票にかけて可決するか否決することになるか、いずれの結果になってもガスパーの辞任は間違いない。シーズン終了次第おこなわれることになる新会長選挙までの間、臨時会長として第三副会長のエンリク・レイナが務めることになる。第一副会長のシスタ・カンブラはガスパーに近すぎる立場として臨時会長を務めることを拒否、また第二副会長のクロッサはガスパーの従兄弟であるため当然ながらガスパーと一緒に辞任することになる。


そして明日は大事な試合

バルサに厳しい現実が戻ってくる。二部降格ラインまで3ポイントと迫っているバルサは、カンプノウに好調ビルバオをむかえての試合だ。ベンチには初の公式試合デビューとなるアンティック、そしてグランドには彼の信頼を得た11人の選手たちが必死の戦いを繰り広げなければならない。

ガスパーの辞任でクラブ理事会そのものの危機は去ろうとしている。だがクラブにとって最も重要なものである一部チームの危機、その危機から去るにはこれからの試合に勝利し続けること以外に方法はない。監督就任が決定してから多くのメディアに登場し、バルセロニスタに大きな希望を与えようと楽観的なコメントを残しているラドミール・アンティック。ビルバオ戦を前にしてもそれは例外とはならない。
「バルセロニスタの人々は試合ごとに我々が助けを求めているのに飽き飽きしていると思う。12番目の選手としてグランドにかけつけ我々を応援してくれと言う言葉にいい加減ウンザリしているのではないだろうか。だから私アンティックは違う呼びかけをしたいと思う。ひたすら楽しむために、我々のプレーや試合での勝利を祝って楽しむために、そのためにカンプノウにかけつけて欲しい。」

二部降格ラインまで3ポイントという状態でありながら、残りのシーズンに関してバルサはまだまだ多くの可能性を秘めていると語るアンティック。
「我々はまだ何も失ったわけではない。多くの可能性を失ったことは認めるが具体的に失ったものはまだないのも確かだ。これから12週間、そう、これからの12週間でバルセロニスタはこれまでと違うバルサが見られると思う。これまで私が経験してきたこと、学んだことすべてのアイデアをバルサに注入したいと思う。まずビルバオ戦に勝利することから我々のスタートが始まるだろう。」