2月11

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「会長になるべきではなかった」

3月1日におこなわれるソシオ代表参加のクラブ特別委員会で自ら辞任を発表することを決意したガスパー。ガスパーならではの“辞任予告”記者会見をおこない、すでに残すところ1か月弱の期限付き会長となっている。まだ辞任したわけではなく、いまだに会長ではあるものの早くも“終わりに近い総括”をおこなっている。

メディアを集めておこなわれた金曜日の“辞任予告”記者会見から4日たった。彼はまだ会長であるものの、あと3週間で会長職を辞任する。彼の辞任決議をソシオが認めようが認めまいが、すでにガスパーの心の準備はできているようだ。そしてこれまでのことを回想し何が一番の誤りだったか、それも彼の中では明らかなようだ。
「私が犯した一番の過ち、それは会長になったことだと思う。私ジョアン・ガスパーは副会長という職が天職のものであって、決して会長という地位に相応しいものではなかった。」
これが“辞任予告”記者会見後の、メディアを前にしてのガスパーの初の発言となる。

彼と対立する多くの野党が6月の会長選挙を要求するのに対し、ガスパーは今シーズンが終わるまでは決して選挙はおこなわないつもりだと語る。会長が辞任したとしてもクラブ理事会そのものが解散宣言しない限り、新会長選挙はおこなわれない仕組みとなっている。ガスパーが会長でなくなっても今や第一副会長と昇進したレイナが彼の後を一時的に引き継ぐ。そしてそのレイナ政権は今シーズンが終了するまで続くだろうとも語る。
「我々は今シーズンのバルサを救わなければならない。それがいま一番重要なことだ。そしてそのためにはクラブを取り囲む環境が冷静な状態となっていなければならない。したがって多くの批判があった会長が職を離れることによってその状況が生まれることを期待している。だがシーズン中に会長選挙を始めたら再び周りが騒がしくなり、選手たちに与える悪影響もでてくるだろう。それはどうしても避けなければならない。」

彼の口からは相変わらず“辞任”という言葉は聞かれない。先日の“辞任予告”記者会見と同じように、その言葉が聞かれるのは3月1日のことになる。だがいずれにしても“その後”のことにも触れるガスパー。
「私は最後までバルセロニスタとして、そしてそのことに誇りを抱きながら死んでいく多くの人間の一人にすぎない。そしてそれは会長という職を離れても同じことだ。もしクラブ指導者が私に芝の手入れや観客席の手入れを手伝って欲しいと言うのなら、そしてそれがバルサのためになることなら何でもやるつもりだ。私の人生はバルサというクラブに役立つためにあるのだから。」


バケーロのバルサ分析

クライフ時代の“ドリームチーム”を率いるカピタンとして活躍したホセ・マリ・バケーロ。多くのバルセロニスタにとって、彼は今でもバルサのカピタンとして心の中に残っている存在だ。最近よくガスパーと並んでカンプノウでの試合観戦をしている白髭もじゃもじゃの人物がいる。彼はカタルーニャ州スポーツ大臣のジョセップ・マルドナード。そしてバケーロは現在、彼のもとでカタルーニャ州のスポーツ関係の仕事をしている。そのバケーロがアンティックバルサはまだ1試合だけの段階ではあるとしながらも、明らかに上昇中であるとしてチーム状態を分析している。

■気に入ったところ
1.両サイドを使った攻撃
日曜日のビルバオ戦で最も気に入ったところはバルサらしい両サイドを使っての攻撃がおこなわれたことだ。これまでのバンガールバルサでは決して見られなかった現象である。上がり気味の両サイドディフェンスの裏をついた前半のオーベルマルス、そして後半のソリンの攻撃スタイルは将来必ず好結果を生み出すことになると思う。

2.直線的な攻撃スタイル
これまでの攻撃スタイルと違い、縦の線を重要視しての攻撃。ボールを持った瞬間にすべての選手が攻撃態勢に入り、しかも横へのボールではなく縦へのボールの供給が最優先されていた。デランテロ選手たち、つまり日曜日の試合ではクルイベル、サビオラのスピードをいかした直線的な攻撃スタイルが生きていた。

3.ディフェンスからのチーム編成
強固なディフェンスシステムを構築すること、まずこれがチーム編成の第一歩と考えるアンティックらしさが見られたバルサ。ディフェンスの各選手を的確なポジションに配置することでカウンターアタックを防ぐ発想。そしてこのディフェンスシステムではアンデルソンの復帰が重要なカギを握ることになるだろう。

■気に入らないところ
1.試合を読む能力のなさ
前半の好調さを見せたバルサが後半7分ですでに同点に追いつかれるということ自体が、選手たちの試合の読みの不足さを物語っていると思う。決して経験不足の若い選手だけで構成されているわけではないバルサだ。ベテラン選手たちの試合の雰囲気を読む能力を疑われてもしょうがない。

2.各ラインが開きすぎ
11人の選手たちがコンパクトにまとまっていない印象を受けた。それはまずディフェンス選手たちが下がりすぎていたため、多くの選手が中盤との選手との間にできたスペースを埋めなければならなくなったこと。各ラインが離れていては守備の際にも攻撃の際にも多くのエネルギー消費が必要とされる。後半でのバルサの選手の動きが鈍くなったことと決して無関係ではないだろう。

3.サイド攻撃のバランスのなさ
両サイドからの攻撃スタイルが生まれたことは素晴らしいことだ。だが完全な形でおこなわれたとは決して言えないだろう。前半はオーベルマルスのいる右サイドのみ、後半に入ると左サイドバックのソリンが上がっての左サイド攻撃のみとなった。ディフェンスの選手がこの傾向を研究すれば、それぞれ攻撃サイドに二人のマーカーをつけることが可能となってしまう。バランスのとれた両サイド攻撃をおこなわなければならないだろう。


現カピタンの復帰

ルイス・エンリケの復帰試合はいつになるかは決まっていない。決まってはいないが確実に近づいている。これまで苦しい状態が続いているチームや同僚の選手に対して役に立てない状態でいることが何よりも悲しいと感じる我らがカピタン。そのカピタンが昨日の合同練習に参加してきた。

アンティックにとってバルサの反撃に書かせない二人の選手。一人はアンデルソンであり、もう一人はルイス・エンリケだ。それぞれ“戦士としての魂”を持った選手たち。一人は守備面で、もう一人は攻撃面で、彼らの“魂”が周りの選手に波及していくと考えるアンティック。アンデルソンはとりあえずチームの合流は果たしている。そしてもう一人のルイス・エンリケも昨日やっと復帰への第一歩を踏み出してきた。そしてアンティックは早ければインテル戦での復帰を考えている。

だがルイス・エンリケにしてみればいまだに具体的な復帰試合はプログラムされていない。これまでトレーナーと共に黙々と走り込みだけの練習をしてきた彼にとって試合への復帰はまだ非現実的なことだ。同僚たちと一緒におこなうこれからの合同練習でどれだけリズムを取り戻せるか、そして最も大事なこと、それは痛めていたアキレス腱がプレーする際に何の問題ともならないかどうか、そのことが頭を離れない。
「やっとみんなと一緒に練習できるまでになった。もちろんリズム的には彼らに追いつけない状態。しかもアキレス腱が文句を言わないかどうか、それさえも怪しい状態さ。幸運にも初の合同練習では何の問題もなく、つまり痛みを覚えることもなく終えることができた。その意味で大きな一歩を踏みだしたと喜んでいる。でもいつ試合に出られるか、それはまだ未定だ。」

テレビの前か、あるいはカンプノウ観客席からか、いずれにしてもグランドにたって同僚と一緒に苦境を脱出するための協力ができなかったことが最も気分を暗くしていると言う我らがカピタン。そして1日も早くこの状態を脱出しなければ、そう考える。
「もちろん簡単なことではないだろう。こんな状況を迎えたのは自分がバルサに来てから初めてのことだ。だが我々がこの状況を招いたのであり、我々自信が抜け出していかなければならない。そして、そう、確かに難しいことではあるけれど、勝利という良薬のみがそれを実現してくれることになる。そして我々は勝利を目指して戦い抜いていくだろう。」