3月27

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敵将は語る

マルチェロ・リッピー、2001−02シーズンでインテルを退団した彼はバルサの監督となるチャンスがあったイタリアの老将だ。だが運命はユベントスへの復帰という形をとり、バルサへの監督就任は幻のものとなった。ユベントスを再びエリートコースへと軌道修正することに成功したマルチェロ・リッピー。今から約2週間後、彼が率いるユベントスはチャンピオンズ準々決勝でバルサと対戦する。

青い目に金髪、そして典型的なラテン民族らしい彫りの深い顔を持つ女性、それがリッピーの娘ステファニア。彼女はファッションデザイナーを目指してバルセロナで勉強をしていた。今では結婚して父のマルチェロを“おじいちゃん”としている。彼女がバルセロナのファッションデザイナー学校で勉強に励んでいる最中に父のマルチェロは何回となくバルセロナの街を訪れている。もちろんバルサを見るためではなく、娘の元気な姿を見るためだ。だがそれでもやはりフットボールとは無縁ではいられないマルチェロ・リッピー。すでにバルサファンとなっていた娘にカンプノウへ連れられていかれている。

彼がカンプノウで見た試合のなかに、バルサの監督がロブソン時代のものがあった。リーグ戦でAt.マドリと対戦した試合が非常に印象的だったと語る。その試合のAt.マドリの監督は奇しくもアンティックだった。
「3−3の引き分けで終わった試合だったが、非常にインパクトの強い試合だった。カルッチオにはないスペクタクルな感じの試合だ。スタディアムの素晴らしい応援風景も印象的。試合後に娘と海岸沿いにあるレストランに夕食をとりにいった。その時に娘と話したんだが、バルセロナの人々はいい環境のもとで素晴らしい人生をおくっているのだろうとね。」

そのバルセロナの街にあるバルサとの対戦が決まった。チャンピオンズ準々決勝での第2戦がカンプノウでおこなわれる。
「抽選がおこなわれる前に自分としてはバルサと当たるのが一番の望みだとコメントした。それには二つの理由があるんだ。その一つは、プロの監督となって20年たったが私はこれまで一度もバルサと対戦した経験がないこと。したがってカンプノウを監督として訪れたことがこれまで一度としてないんだ。一度でいいからあのベンチに座って、そしてカンプノウの芝の香りをかいでみたいと思っていた。そして二つめ、それは素晴らしいバルセロナの街と同じように魅力的であるバルサとの対戦をしてみたかったからさ。」

カンプノウへの“訪問”もバルサとの対戦も初めてとなるリッピーにとってバルサとはどのようなクラブと認識されているのか。
「伝統と権威あるクラブの一つで、しかも他のクラブとは違う何か特別なクラブだという印象をもっている。リーグ戦で何でこのような状況を迎えているのか外部にいる人間には理解できないことだが、いずれにしても我々が対戦するのは快進撃を続けているユーロバルサだ。それは手強い相手という言葉ではあらわせられないほどの快進撃を続けているユーロバルサが相手だ。」

チームブロックを大事にするカルッチオの中でも、リッピーが率いるチームは常に最大のチームブロックを持って戦いを挑む。かつてバッジオとの問題が指摘され“クラック選手”嫌いが話題になったことがあるリッピーだ。
「こういう大事な試合では常に偉大な選手によって勝負が決められることを忘れてはいけない。そして我々にもバルサにも試合を一瞬のうちに決めてしまう“クラック選手”がいる。バルサはどの選手を見ても素晴らしい選手が揃っている。個人的な趣味でいえばロッケンバックは好きな選手。だがもちろん彼以外にも気に入っている何人かの選手がいる。いずれにしてもバルサは素晴らしい選手によって構成されているチームさ。」


●ガッツ、コクー、最後のリハビリ段階に
ベテラン選手の彼らのことだから具体的な復帰時期については触れない。リハビリ調整がおこなわれていくなかで何らかのアクシデントがある可能性も知っている彼らだ。だが、すべて順調にいけば、そしてかなりの確率で計算できるところによれば、彼らの復帰はいよいよ近くなってきている。ルイス・エンリケはベルナベウでのマドリ戦、コクーはカンプノウでのユベントス戦に復帰する可能性が大きい。

ラドミール・アンティック、ドクター・プルーナ、そしてルイス・エンリケやコクーも、要するにすべての関係者は具体的な復帰時期について語ろうとしない。だが彼らのリハビリ状況を見ている限り、復帰の時期は予想されたものよりも早くなりそうだ。ドクター・プルーナはもちろんはっきりとしたことを語りたがらない。だが彼の表情は非常に明るいものとなっているのも事実だ。毎日1日も欠かさずこの二人と接触し、リハビリ状況を観察しているドクター・プルーナ。彼はコメントを避けるものの、非常に近くなっている復帰時期を否定することもしない。ルイス・エンリケはマドリ戦、コクーはユベントス戦、彼は肯定もしないが否定もしない。そして最後に「大きな可能性がある。」とだけ語るドクター・プルーナだ・

●メンディの残留は難しい
今日はメンディエタの29歳の誕生日。その29歳の誕生日はバルセロナで迎えることができた。だが来年の今日、彼はどこで30歳の誕生日を迎えることになるのか、それは彼だけではなく誰も知らないことだ。
「もし自分の意志で物事が決められるのであれば、もちろん来シーズンもバルサに残るさ。それはたくさんの理由があってのもの。まずバルサというクラブが気に入っていること。バルセロナという街がとても気に入っていること。そしてもっとも大事なこと、それは家族がこの街に住むことを望んでいるからさ。」
だが残念ながら、彼の意思だけではバルサ残留という結論はだせない。彼の権利を有するラッチオとの問題が解決されない限り、彼は一つの“商品”として彼を必要とするクラブへ移っていかなければならない。そこに彼の意思は存在しないことになる。
「普通のクラブならともかく破産寸前となっているラッチオとの問題だから、余計複雑なんだ。クラブ側としてもどうしていいかわかっていないようだし、この経済的に苦しい状況を迎えている多くのクラブがある状況でバルサだって例外ではないだろう。ラッチオが要求している膨大な移籍料なんか払えるクラブなんてもう存在しないからね。だから、はっきり言って宙に浮いている感じさ。」

●ヤゴ、ベッカムと対面
バルサ・インファンティルBに所属する“明後日の星”ヤゴ・ファルケ。彼はまだ13歳だが確実に“クラック選手”への道を走ろうとしている。スポンサーも彼の可能性を疑いもしないし見逃してもいない。ウンブロ、それが彼のスポーツスポンサー会社だ。そのウンブロのプロモーションにヤゴはイギリスにわたる経験をつかんだ。その日は奇しくもイングランドナショナルチームの新しいユニフォームの発表会がおこなわれていた。ヤゴはベッカムを取り囲む二人の私設ガードマンのスキを見て彼に近づく。
「次のマドリ戦で5点入れてちょうだい」
それに応じるベッカム。
「わかった。そうするよ。」
ヤゴはさらに突っ込む。
「約束を守ってバルサと準決勝を戦おう」
ベッカムもノリがいい。今度はヤゴに質問する。
「君のアイドルは誰?」
即時に答えるヤゴ。
「もちろんリバルドとリケルメさ。」