4月2

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ユーベ・バルサ(残り7日)

世界最高のキーパーの一人といわれるジジ・ブフォン。3年前に5千万ユーロの移籍料でユベントスに来てゴールの守護神として活躍している。その彼の家族構成を見ると驚くべきものがある。彼の父アドリアーノは砲丸投げのイタリアジュニアークラスのチャンピオンであり、母のマリアは円盤投げ競技のイタリア記録保持者でもあった。さらに彼の妹のベロニカは現在のイタリアバレーボールチームの代表選手である。そしてそのような驚くべきスポーツ家族に育った彼は、今回初めてカンプノウの芝を踏むことになる。

世界最高キーパーの一人といわれるあなたがまだカンプノウでプレーしたことがないというのはなにか不思議な感じがしますが。

そう、俺も不思議なことだと思っている一人さ。噂だけに聞くあのカンプノウ・スタディアム、とにかく素晴らしいところだと聞いている。でもパルマの選手としてもユベントスの選手としてもまだ行ったことないんだよな〜、本当に不思議といえば不思議な話だ。この世界で偉大な選手として認識されるまでには、普通はサン・シロ、デレ・アルピ、オールド・トラッフォード、カンプノウ、ベルナベウあたりでプレーするんだけどね。俺はカンプノウではまだ未体験だ。でも実を言うとベルナベウでもやったことないんだ。ひょっとしたら俺は人々が言うほどのキーパーなんかじゃないのかも知れないね。でも今回は絶好のチャンス。カンプノウを切り抜ければベルナベウにも行ける可能性があるんだから。

ということはユベントスがバルサを敗ると?

いや、いや、そう願いたいもんだけれどそうはっきりと言っているわけでもないでしょ。でも確かなことはこれまでのチャンピオンズでの試合と同じような調子でやっていたら確実に俺たちが負けてしまうことだな。何だかカルッチオでの試合と違うような感じで俺たちは戦ってきていると思う。恐怖感があるというのか、自分たちに自信がない試合展開をしているよね。試合開始の笛が鳴って、いきなりディフェンスから前線へのハイボール攻撃じゃダメでしょ。それはミットモナイ戦い方っていうもんだよね。もしこういう試合展開してバルサに負けたらそれこそ恥の上塗りだよ。

リーグ戦では調子がイマイチのバルサと反対の立場ですね。

リーグ戦のバルサねえ、あれは信じられないね。どうしちゃったんだろうか。バルサみたいなクラブが二つの顔を持つというのがよくわからない。それも両極端な二つの顔だからね。バンガールがなぜ失敗したのかもよくわからないし、リーグでは全然ダメで何でチャンピオンズではあんなに凄いのか、誰かに説明して欲しいよ。チャンピオンズでは13勝1分けだろ?はっきり言って優勝候補だよね。でも俺が思うに、そう、どこが優勝するかどうかは別として、バルサは偉大なクラブだと思っている。それも昔からバルサは偉大なクラブだと思ってきたんだ。小さいクラブや“成り上がり”クラブが何かの拍子で1回優勝してそれから3年も4年も何のタイトルがとれないと忘れられてしまう存在になるけれど、偉大なクラブの偉大さは3年も4年もタイトルを獲得しなくても偉大でいられるこころだよ。わかる俺の言うこと?

前からそうでしたが、いまだにバルサに親近感を持っている選手ですね、あなたは。

そりゃそうだよ、俺は3年前にバルサの選手になれる寸前にいたんだからね。あの時のことを忘れない。まだ22歳でイタリアに残るかバルサへの冒険に旅立つか、さんざん迷ったんだからね。結局ユベントスに入団することになったけれど、とにかく22歳の若造だったからね俺は。しかも俺は今でもよくカタルーニャ地方に旅行にいくんだ。年に2、3回は行ってると思うよ。地中海は良いよね、素晴らしいさ、ああいう街に住めれば。でも人間の一生なんてわかんないものだし、フットボール選手の明日なんて約束されたものでもない。いつかバルサでプレーすることだってあるかも知れないだろ?そんなことは誰にもわからないさ。

バルサで注意しなければなない選手は誰ですか?

誰ですかって、たくさんいるじゃないか。パトリックは俺がパルマにいる頃によくゴールを決めやがったし、彼は素晴らしいデランテロさ。世界中の素晴らしいデランテロの中でもっともエゴがない選手だと思う。それだけにチームの重要な選手の一人として危険な存在。オーベルマルスだって現在のフットボール界では一番足が速い選手だと思う。最近はなにやらゴールまで決めているみたいだからさらに要注意だね。あのちっこくてチョコチョコ動くサビオラっていうのも超危険人物だし、俺の仕事は多いと思うよ。そうそう、リケルメもいるじゃないか。彼とは共通点があるんだ。俺はジジっというんだけれど、その名のおかげで学校に行っている頃はみんなトッポジージョって呼びやがった。だから俺のあだ名は小さい頃からトッポジージョっていうんだ。もしヤツが凄いシュートを放って俺がナイスキャッチしたらヤツがゴールを決めた時みたいにトッポジージョスタイルをやってやろうかと思っているんだ。良いアイデアだろ?


脅迫、恫喝、嫌がらせ

汚職問題や不当解雇問題などで揺れに揺れ動いているスペインフットボールヤクザ連盟。その怪しげな組織のボスはUEFA内での権力を狙うアンヘル・マリア・ビジャール。かつてのビルバオの選手でもある彼が仕切るそのスペインフットボール連盟とバルサとの戦いが深く静かに進行している。それも非常にどす黒いスタイルの戦いであり、脅迫、恫喝、そして嫌がらせ、何でもありだ。

■カンプノウ閉鎖問題
この問題は今に始まったわけではない。バルサが試合前に“PER LA PAU”というスローガンを全世界の人々に訴えてから急展開を見た問題だ。奇しくもというか偶然というか、はたまた予定通りだったのか、バルサがその訴えをしてからわずかな日にちもたたないうちに、スペインフットボール連盟がカンプノウ2試合閉鎖の即時実行を言いわたしてきた。スペインフットボール連盟は彼らの親玉となるスペインスポーツ連盟とは決して無関係でいられないのは当然だ。そしてスペインスポーツ連盟もスペイン政府スポーツ大臣と決して無関係でいられないのも当たり前のことだ。バルサがスローガンを流した翌日、スペインスポーツ大臣は苦々しい表情をしながら、ことの重大さを国営放送を通じて伝えていた。世界平和を訴えたスローガンのつけがバルサに回って来たとしても不思議な話ではない。

“法はすべての人々に平等に”。いかにフットボール連盟に嫌われたバルサであるとはいえ、彼らにもまた法律は平等に施行されなければならい。スペインのスポーツ問題を扱う最高機関であるスポーツ規律委員会が言いわたしてきた2試合閉鎖処置に対して、バルサは30日間という期限内において再審議を要求する権利を有する。そしてバルサはもちろんこの権利を遂行するつもりだ。だがフットボール連盟のボスであるビジャールが言いわたしてきたのは即時のカンプノウ閉鎖命令。つまりコルーニャ戦とソシエダー戦での閉鎖を言いわたしてきている。それはつい昨日のことだ。マドリッドにあるフットボール連盟でおこなわれた会合。バルサからは会長のレイナ、そして統合ディレクターのファルゲール、連盟側からはビジャールが参加している。この席上でビジャールは即時の閉鎖を命じた。だが彼の脅迫と恫喝はこの問題にとどまらない。さらなる嫌がらせもおこなってきた。

■テレビ中継禁止問題
その嫌がらせとは、今日カンプノウでおこなわれるバルサとリビアのチームとの親善試合に関するものだ。18時30分からおこなわれるこの試合をカタルーニャ局であるTV3が生中継する予定でいた。だがビジャールはこの試合中継を禁止する旨をレイナに告げている。その理由は単純明快にして愚かなものだ。なぜなら今日はスペイン代表の試合があるからだという。代表の試合がある日は他のすべての試合の放映を禁止しているからだという。

この理由が愚かなのは、まず代表の試合は21時45分から始まることにより、18時30分に始まるバルサ戦とは時間が被らないということだ。そしてもっとも愚かなことは、ウクライナ・スペイン戦がおこなわれた先週の土曜日には6つの地方局がそれぞれ違う試合を放映している事実があることだ。TVGはエイバル・コンポステーラ戦、CANAL SURはへレス・コルドバ戦、PUNT DOSはエルチェ・レバンテ戦、CMTとTVカタルーニャはラスパルマス・アルバセテ戦、そしてETBはエイバル・コンポステーラ戦をそれぞれ生中継していた。この事実を無視した形で言いわたされた今日の試合の放映禁止。バルサもなめられたもんだ。