4月3

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ユーベ・バルサ(残り6日)

バルサの“旬”の選手がデ・ボエルだとすれば、ユベントスではパベル・ネドベがやはり“旬”の時期をむかえている選手だ。大きな瞳と長いサラサラした髪を肩まで垂らして走り回るその姿は、まるで日本のフットボールコミックに出てくる選手のよう。だがその彼から受ける爽やかなイメージからはほど遠い、限りない闘争心とエネルギーを持った選手でもある。ラッチオからユベントスに移籍し、今やチームを引っ張っていく重要な選手となっている。

ユベントスの多くの選手がチャンピオンズ抽選前にバルサと対戦することを望んでいましたが、あなたもその一人ですか?

そう、監督をはじめ多くの選手やメディアまでもがバルサと当たるのが一番と言っていたけれど、俺はそれが理解できない数少ない選手の一人さ。確かにカンプノウで試合をしてみたいという思いはあるけれど、一番大事なことは決勝戦まで勝ち抜くことだ。そういう意味で言えばバルサはもっとも難しい対戦相手だと思う。彼らがリーグ戦で苦しんでいようと、というか俺はよくリーグ戦のことはよく知らないんだけれども、とにかく俺たちが対戦するのはユーロバルサだ。これまで負け知らずで連勝記録まで作っているユーロバルサだ。

あなたの言葉は、バルサを油断させようという魂胆と見ましたが。

俺が心配していることは彼らの立場と俺たちの立場がまったく逆になっていることなんだ。俺たちは国内の試合では首位をいっているわけだが、ユーロユーベとしては誰もが認めるように良い試合をしていない。少なくてもこれまでほとんど納得できる試合をしていないだろ。こういう大事な試合には“ノリ”がものを言うんだ。彼らはヨーロッパでの試合ではノリまくっている。でも残念ながら俺たちはそうじゃない。

バルサ戦をどう予想しますか?

いま言ったように、ユベントスはリーグ戦とチャンピオンズという二つのものを戦い抜いていかなければならないのに比べ、バルサに残されたものはチャンピオンズだけ。これはある意味で彼らの強みとなっていると思う。シーズンを救う唯一の道がチャンピオンズ制覇だからね。これまでのチャンピオンズの試合での調子の良さや、クラブが抱えている状況を考えるとバルサは非常に難しい相手であることは間違いない。しかも俺たちは2戦目をあのカンプノウで戦わなければならない。あの難攻不落と言われているカンプノウでだ。

でもバルサのディフェンス陣は弱点が多いと言われているのに比べ、ユベントスには固いディフェンス陣がいると思いますが。

そう確かにユベントスのディフェンス陣はうまく機能している。でもそれはカルッチオでの試合のことであり、チャンピオンズではかなりのゴールを決められている。しかも俺が思うに、バルサのディフェンスが弱いなんていうのは間違いだな。あのチームは攻撃面が非常に目立つから、どうしてもディフェンス面の評価が低くなるんだと思う。彼らの持ち味は、クルイベルやオーベルマルス、そしてサビオラやリケルメなどの素晴らしい選手たちによる攻撃スタイルだからね。

あなたはどんな調子ですか?

非常にいい感じでここまで来ている。非常に満足していると言えるだろうね。フィジカル面では何の問題もないし、ゴールまで決めるようになったからね。俺は背が高いというわけでもないし小さいというわけでもない。でも決して肉体的に恵まれた選手というわけでもない。今の自分があるのは他の選手以上にフィジカル面の練習をしてきた成果だと信じている。常に原点に戻って自分を見つめることも知っている。俺は決してスター選手ではないからね。でもチームブロックを形成する重要な駒として活躍していきたい、そう思っている。とにかくバルサ戦は非常に楽しみだよ。


●カンプノウ、1万5千人
リビアリーグの首位チームとの親善試合に1万5千人の観衆がカンプノウに集まった。試合は圧倒的にバルサペースで進められ、ジェラールのハットトリックに加え、セルヒオとモッタのゴールも決まり5−0でバルサの勝利となった。スタートメンバーは次の通り。
エンケ、ガブリ、アンデルソン、クリスタンバール、ソリン、ロッケンバック、ジェラール、モッタ、ナノ、リケルメ、サビオラ。そして途中交代で出場した選手は、フラン、オレゲール、セルヒオ、メンディエタ、オーベルマルスの5人。

この試合のハイライトは79分に訪れた。アル・サアディー・ガダフィー選手が右手をあげて交代を要求する。監督はそれを受けて選手の交代を第四審判に告げた。カンプノウに集まった1万5千人の観客が一斉に拍手を送る。その拍手は、決してガダフィーの息子に対しての“尊敬の念”からのものではなく、良いプレーをした選手に対する“尊敬の念”の拍手でもなく、バルサに30万ユーロのギャラを払ってくれた人に対する“尊敬の念”でもなく、何か“珍しいもの”を見せてくれたことに対する拍手だったようだ。アル・サアディー・ガダフィー選手はバルサの選手一人一人と握手を交わしてベンチに引き上げる。大歓声に対する挨拶も忘れない。こうして彼の夢は達成されたことになる。カンプノウでプレーすること。それはすでに実現した。

●バルサに“黒い魔の手”が忍び寄る
スペインフットボール連盟が一昨日バルサに言いわたした“テレビ中継禁止”という事実が、すべてのことを明らかにしているようだ。これまで前例のない“テレビ中継禁止”要請、それは昨日のバルサとガダフィーチームの試合に関するものだ。先週土曜日におこなわれた代表選では多くの地方局が違う試合を中継していた事実があるにも関わらず、「代表選がある日は他の試合の中継を禁じる」というフットボール連盟の発言。いかに矛盾したコメントであろうが、バルサに対してプレーシャーがかかればそれでいい。

3月23日、バルサはラーシング戦が開始する前に“PER LA PAU”という平和へのメッセージを世界中の人々に送った。スペインフットボールに所属するクラブとしては初めての試みであった平和へのメッセージ。だがこの行為を気に入らない一部の人がいたとしてもおかしくない。政府与党である民衆党はもちろん不快感を覚えているだろうし、同じ党に所属するスポーツ大臣も気分が悪いだろう。そして彼の指揮下に入っているスペインフットボール連盟もバルサのおこないを決して喜んではいない。したがって“黒い魔の手”があの日の翌日から動きだしたと考えるのも無理なことではない。

平和へのメッセージが送られた日から二日もたたないうちに、カンプノウ即時閉鎖の通達がフットボール連盟から送られてきた。そして昨日のテレビ中継禁止要請。何かおかしい。カタルーニャ州スポーツ大臣であるジョセップ・マルドナードが語る。
「非常に悲しく同時に怒りを覚える出来事だ。どうして中央からこのような攻撃があるのか理解できない。我々は誰しもが平和を望んでいると思っていたが、実際はそうでもないのだろうか。」
そしてカタルーニャ州議会も公式声明としてメッセージを送る。
「フットボール連盟がテレビ局の仕事に関して制限を加えること自体、納得できないし許されることでもない。もちろん法律的に、彼らがそのような権利を持っていることなどあり得ない。今回の事件は非常識なことである。」