11月5日



絶好のチャンスを逃す

試合後のバルセロニスタの思いは皆同じだろう。失望と憤慨と悔しさ。

失望、それは結果に対して感じるもの。
憤慨、それは3ポイントを勝ち取れなかった結果からではなく、マドリが決して優っていたとはいえない試合だったことからくるもの。
悔しさ、それはベルナベウでのマドリ戦に勝利できる絶好のチャンスをものにできなかったこと。

前半のバルサは、明らかにマドリを上まわっていた。だが90分にわたって、そのリズムは続かない。しかも肝心のゴールを呼ぶシュートチャンスが少なく、熱いものを感じさせるパンチも現れなかった。カシージャスのファインプレーを幸運と呼ぶか、試合の流れと見るか、それは人によって分かれるところ。だがバルサに幸運の女神がなかったことは誰も否定できない。

マドリにとっては勝利の必要性という意味で言えば、遙かにバルサのそれを上まわっていた試合である。その必要性が、幸運なモリエンテスのゴールを生み出す。この瞬間からバルサは、ゴール近くまでの奥深い攻撃に欠けはじめてくる。リバルドはまるで右ウイングかのようにラインにくっつきゴールに背を向け、クライハートは中盤に釘付けとなっていた。オーベルの復帰は肯定的要素を見つけることができなかった。デランテーロの3人がこのような状態であれば、ゴールチャンスが少ないのも納得できるというものだ。今となって、サビオラのことに触れるのは結果論というものだろう。それでも我々はもう少し多くの時間、彼がプレーするのを見たかったという印象を残してはいるが。

いずれにしても、バルサが失ったものは何もない。勝ち取れなかったもの、それはベルナベウでの3ポイントということに過ぎない。



バルサに唯一欠けていたゴール

マドリはバルサより幸運が優っていた。地元のベルナベウで明らかな優位さを証明できなかったマドリ。試合内容がバルサより優っていたとは決していえないマドリ。だが、デブーの背中に当たったボールがモリエンテスの頭に行く幸運さと、時間切れにやってきたフィーゴのだめ押しゴール。マドリにとって、のどから手が出るほど必要だった3ポイントの獲得。だがそれでもバルサを沈めることはできない。

フットボールを楽しむファンにとっては、ベルナベウでの試合はそれほど文句を言うほどのものでもなかったであろう。決して最高の試合とは言い切れないものの、前半のバルサのゲーム支配は明らかだった。だが結果を求めるファンにとっては、何とも納得のいかない試合ではある。そう、多くのバルセロニスタは試合内容がどうであれ2−0で負ける試合より、リヨンでの2−3の試合を望むかも知れない。

もしマドリが敗北していたなら、メレンゲは確実に沈んでいただろう。だが、バルサの昨日の敗北は悔しさが残るものの、失ったものは3ポイントに過ぎないではないか。我々はまだマドリに3ポイントも上をいっている。しかもカンプノウでのクラシコを残している。シーズン開始当初にこれらのことが予想できたら、もちろん我々は満足していただろう。



FIGOL

この試合のハイライトシーンは最後の最後にやってきた。それまでの90分近い試合内容は、普通の対戦相手であればマドリにとっては何て事のないつまらないものではあった。だが相手はバルサだ。最後の最後まで楽しみを待つのも悪くはない。

マドリは要所要所できっちりと仕事をした。試合内容では明らかに優っていたバルサの、肝心な所でのパスをほぼ完全にカットしていたマドリ。そして終わってみれば2−0という、ほぼ完璧な結果を勝ち取ることができた。

モリエンテスの幸運なゴールが決まるまで、バルサはまるで地元での試合かと思われるような試合展開。チャビが、コクーが、ガブリがタイミングよくパスまわしをし、マドリの選手は常にボールを追いかけるハメとなる。
後半にはいると、クラシコはまさに伝統的なクラシコとなる。情熱や感動はあふれかえるほどあるものの、時間の経過と共に試合内容はお粗末なものと化していく。バルサは次第にチームブロックとしてのまとまりが分散していく。一方のマドリは、地元の試合だけにまとまりがなくても目立たないという幸運があった。

そしてハイライトは、フィーゴのゴールでやってくる。このゴールで、2−0という悪い試合内容をオブラートしたものとなった。そう、結果が示すようにマドリが全般的に見ればバルサを優っていた試合といってよいだろう。ただ、歴史には残らない試合ではある。



マドリ2−バルサ0

多くのファンは違う試合内容を望んでいたに違いない。昨日のベルナベウで我々が見た試合はカルッチオのそれかと思わせるようなものだった。テクニックを忘れたかのように、走り込む二つのチームの選手たち。自ら創造的にチャンスを作るのではなく、相手のチャンスをつぶし合う二つのチーム。危険を犯そうとは決してしようとしない、臆病風に吹かれた二つのチーム。だが決定的に異なったこと、それはマドリが2度のチャンスをものにしたことであり、バルサは2度のチャンスを逃したということだ。
それ以外、何を特別に書き加える事があろうか。そう、例えばカンテラ選手の登場とか、マクマナマンの最高の試合だったということぐらいだろう。