4月2日



チャンピオンズのトリデンテ

バルサにとってすべてをかけた戦いとなるパナシナイコス戦。レシャックはリバルドの復帰と共に、新たなトリデンテで戦おうとしている。クライハート、リバルド、そしてオーベルマルス。その戦いの場はアポストロス・ニコライディス、またの名を「地獄」と名付けらえた熱狂的なファンが集まるグランドだ。

クライハート、リバルド、オーベルマルス、このトリデンテが登場するのは去年の12月1日以来のことになる。アラベス相手にこのトリデンテで戦ったバルサは2−0と敗北し、それ以来レシャックはこのトリデンテを起用していない。まず最初にこのトリデンテが出場したのは開幕戦のセビージャでの試合。苦しみ抜いた90分だったが、バルサは1−2と勝利をおさめている。だがその後、オーベルマルスやリバルドの負傷が度重なりトリデンテの再登場はマドリッドでのクラシコ戦までまたなければならない。この試合は2−0と敗北。そして最後がアラベス戦だ。

リバルドにとっては負傷の多いシーズン。明日の試合も2週間以上のリハビリを経過してのものだ。そしてオーベルマルスにとっても決して良いシーズンとは言えない。イレギュラーなプレーが多かった上に、負傷による欠場も相次いだオーベルマルスは今シーズン1得点しか獲得していない。そう、あのアンフィールドでの歴史に残る試合での得点だけだ。リーグ戦が残り6試合、チャンピオンズがうまくいけば5試合残しているバルサにとって、オーベルマルスのこれからの好調維持が必要となっている。そして今シーズン絶好調といっていいクライハート。これまでリーグ戦においてもチャンピオンズにおいてもバルサの得点王となっている。

■リバルドの出番
今日の朝、召集された18人のバルサの選手がアテネに向かって飛び立つ。その中にはもちろんリバルドの姿も見られるだろう。ラス・パルマス戦での引き分けという否定的な結果、リーグ戦はほぼ絶望的となったバルサに残された唯一の成功への道、それが明日から再開されるチャンピオンズだ。そしてその試合にグッドタイミングでリバルドが戻ってくる。2週間以上のリハビリを終え、ほぼ完全な体調で復帰してきたリバルドの登場は、二つの意味で大きな現象となっている。

まず、バルサの中に「クラック」が戻ってきたことにより、チーム内に与える肯定的な現象。それはリバルドがこれまでヨーロッパの戦いでおこなってきたことを総括すれば明らかだ。彼は5年間のバルサの選手生活で、バルサ歴代トップの得点をあげている。これまで彼は31ゴールを決め、バルサクラブ史における最高得点王となっているのだ。2位にエバリストの27ゴール、3位にレシャックの25ゴール、そして4位にストイチコフの22ゴールが歴史に刻まれている。

そしてもう一つは相手チームに与える恐怖感だろう。リバルド一人の加入によって相手チームに与える緊張感は、元バレンシアの選手であり現在パナシナイコスでプレーするブラオビックもそれを認めている。しかも今回のリバルドの復帰は、今までのもの、負傷箇所をごまかしごまかしプレーしていた今までの復帰とことなり、ほぼ完璧な形で戻ってきている。余りにも遅いスタートとはいえ、リバルドの新たなシーズンが明日から始まる。

■中盤は戦闘的な選手で
チャンピオンズのリーグ戦はもう終わりを告げた。明日の試合からはホーム・アンド・アウエー方式による180分の戦いとなる。相手チームの観衆がプレッシャーをかけ続ける90分と、12番目の選手が押し上げてくれる地元での90分の戦い。したがって明日のアテネでの戦いは苦しいものとなることはじゅうぶん予想される。しかも多くの愛国主義者が集まる「地獄」と呼ばれるグランドでの戦いだ。そしてバルサはガラタサライ戦ではカード制裁によりコクーを失っていたように、明日の試合はルイス・エンリケがやはりカード制裁で出場できない。

バルサが準備しなければいけないことは明らかだ。一つのミスも許されない鉄壁のディフェンスを構成すること。そして中盤は、戦いの精神が旺盛な「戦士」により相手中盤選手を封じ込めること。

ルイス・エンリケの代わりにロッケンバックが登場するだろう。彼の登場はこの「戦士」たちによる中盤の、重要なキーポイントとなるかも知れない。イスタンブールでの戦いに重要な役割を果たしたロッケンバックは、マドリ戦でも後半に登場しリズムを変えることに成功した。だがその後の負傷でこれまで戦線をはなれることを余儀なくされていた。コクーの復帰とロッケンバックの復帰により中盤に厚みを生み出すことが期待できる。またベンチにはいざという場合に備えてガブリとモッタが控えることになるだろう。

■歴史はバルサに味方
バルサはこれまで6回のチャンピオンズ準々決勝を戦ってきている。統計的には非常に希望がもてるバルサだ。なぜならこの6回のうち敗退したのはただ1回のみ。94−95シーズンにルイス・フェルナンデス率いるPSGにクライフバルサが敗れたのみだ。最近の記憶に新しいところでは、バンガールが監督をしていた99−00のシーズン。チェルシー相手の準々決勝でスタンフォード・ブリッジで3−1と敗北したバルサは、カンプノウでの試合で5−1と歴史的な勝利をものにしている。

ギリシャのクラブ相手のバルサの最近の試合は去年の2月、AEKアテネとの試合。この日、ルイス・エンリケのゴールにより0−1と勝利したバルサは、それまでの否定的なスペインのクラブの記録をついに塗り替えた。その記録とはいかなるスペインのクラブも37年間にわたってギリシャでは勝利できなかったというもの。ホームのカンプノウでの試合は5−0と圧勝してギリシャのチームを敗っている。



アヤックスは勝利した

バルサの4人のオランダ人選手、レイジンハー、クライハート、デブー、そしてオーベルマルス。彼らはアヤックスの選手としてすでにパナシナイコスを敗っている。

95−96シーズンのチャンピオンズセミファイナル。前年、ミランを決勝戦で敗り久しぶりのヨーロッパチャンピオンに輝いていたアヤックスが、セミファイナルで当たった相手がパナシナイコスだった。それは4月3日、明日のバルサが試合をする日と奇しくも同じ日だ。この試合、アヤックスは大方の予想を裏切り地元のアムステルダムで0−1と敗北している。パナシナイコスの思わぬ勝利だった。この敗北は同時に19試合負けを知らずに快進撃を続けていたバンガールアヤックスにとって、ショックなものだった。なぜなら次はアウエーでの試合。それも「地獄」と呼ばれるアテネのグランドでのハンディー戦となったからだ。

4月17日、1点のハンディーを背負ってアテネに到着したアヤックスは、底力を見せてスペクタクルな勝利をものにする。0−3という結果だった。このうちの2点は元バルサ選手のリトマネンがあげている。それから6年たった今でも彼らの脳裏にはこの試合が鮮明に残っている。

レイジンハー「アテネのグランドの雰囲気はトルコのそれと同じ。グランドと観客席が非常に近く、人々が我々の真上にいる感じなんだ。でもあの年、我々はトルコで2試合して2勝していた。だからあの試合も勝てると思っていた。とにかくよく覚えているよあの試合は。どうしても勝たなければならない試合だったから。でも今回はチョット事情が違う。まずあちらで最初のゲームをするわかだらね。勝利するにこしたことはないけれど、引き分けでもじゅうぶんな試合だ。」

クライハート「本当はね、俺はあの試合には出ていないんだ。手術したばっかりでグロッキー状態だったからね。あの試合で覚えていることは、とにかく試合にでられないで悔しい思いをしたことだけ。でも今回は違う。オレ達はどんな雰囲気でも勝てる。もうすでにトルコでそれは証明済み。」

デブー「パナシナイコスの試合まで我々はほとんど負けるということを知らないチームだった。それが地元で思わぬ敗北をしてしまって本当にショックだった。しかも我々は前年のヨーロッパチャンピオンだったんだからね。でも幸運なことにアテネで良い試合ができて決勝戦までいけたんだ。あれから何年もたって、我々はさらに多くの経験を積んできているから、今回もじゅうぶんいけるだろう。」