10月14日

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サビオラ、中南米人最優秀選手!

スペインリーグでプレーする中南米人最優秀選手を讃える「EFE通信トロフィー」がサビオラに贈られる。2001−02シーズンに最も活躍した中南米人選手に贈られるこのトロフィーの授賞式は今日マドリッドでおこなわれる。

サビオラの将来は明るい。ハビエル・サビオラ、昨シーズン「将来を背負ってたつシンボル的な選手」としてバルサが獲得したこの若者は、期待通り順調に成長し続けている。昨シーズンは1年目ということもあり、カンプノウ以外のスタディアムでのスタメン出場が少なかったサビオラだが21ゴールという期待を裏切らない活躍を見せた。それを認められてかつてロマリオが、ロナルドが、そしてリバルドが、バルサの選手として「EFE通信トロフィー」を獲得したように、彼もまたその賞を受け取ることになる。

2年目を迎えるサビオラの目標は高い。昨シーズンを上まわるゴールの獲得、絶対のスタメン選手となること、そしてもちろんタイトルを獲得することだ。フットボールに国境はないとはいえ、中南米から来た選手がヨーロッパスタイルに慣れるのに時間がかかることはこれまでの多くの選手が証明している。もちろんサビオラとて例外ではない。アルゼンチンフットボールとヨーロッパフットボールの違いはそのスピードにあるとよく言われる。
「バルセロナに到着して最初に言われたこと、それはヨーロッパスタイルの特徴であるスピードに早く慣れることだった。ボールが足下に届いてから先のことを考えていたら、相手ディフェンスが悪魔のように襲ってくる。だから長い時間にわたって一人でのボールコントロールをするのは非常に難しい。ワンタッチあるいはツータッチでボールを処理していかないと、そのうち食べられてしまう。」

選手に可能な限りの「自由」を与えていた1年目のレシャックバルサ。2年目にサビオラのボスとなった監督はまったくレシャックと違うスタイルで戦おうとしている。しかしながら、もちろんその違いはあるとは言え、バンガールシステムでもなんの問題ないというサビオラ。
「1年目のプレースタイルと2年目のそれはまったく違う。レシャックは選手に自由を与えるのが好きだったし、その自由の中で基本的な約束事さえ果たしていれば良しとする監督だった。でもバンガールはまったく違う。多くの選手にとって初めてのポジションであろうと、そのポジションがその選手に合うと思ったらそこに置いてしまう監督。言ってみればゼロからの出発となる選手が多い。常に100%の集中力を要求してくるし、それは練習でも同じこと。非常に厳しい監督だと思う。」

そして「厳しい監督」であるバンガールが彼に要求したことは、彼にとって生まれて初めて要求されたこと、そう、ディフェンス面でのチェックを厳しくしろということだった。
「バンガールは練習中にマークをもっとしっかりやれと言う。つまり自分をマークしている選手を逆にマークしなければならないということ。こんなことは初めての経験さ。相手選手からボールを奪うこと、それが今の自分に課せられている改良しなければならないことのようだ。もちろん初めての経験だけれども、将来の自分にとってはいいことかも知れない。」

昨シーズンは21ゴールを獲得。今シーズンには、その数を上まわるにこしたことはない。マドリに移籍したロナルドが25ゴール獲得を宣言。サビオラはいくつのゴールを目標とするのだろうか。
「いくつのゴールを決めるという宣言ができるのはロマリオとかロナルドみたいな選手だけさ。自分にはまだそんなことはできない。言うことは簡単、でも目的を達成するのは難しいことだからね。だからあえていくつのゴールを獲得するかという宣言はしない。できる限り、と言っておこう。」


リケルメは成功する!

リケルメの持っている才能を少しも疑わない一人の人物。それはリーベルという、ボカとはライバルのチームからではあるものの、ヨーロッパにわたってきた同じアルゼンチン人であるエルナン・クレスポだ。リケルメがバルサに入団してからはボカ時代のような「スター選手」扱いを受けていないことを知っているクレスポ。だが彼をよく知り彼の才能を疑わないクレスポは、リケルメにひたすら「忍耐」という言葉を贈る。

今から6年前、つまり1996年にリーベルを離れイタリアはパルマにわたったクレスポ。初めての経験となる異国の地での生活は彼にとって厳しいものであったようだ。その経験を決して忘れることのないクレスポ。パルマでのホテル生活が長かった彼は、いま同じような生活をしているであろうリケルメに忍耐と言う言葉を贈る。

「オレ達はヨーロッパ人ではない。アルゼンチンから想像をも超える距離を経てヨーロッパ大陸に到着したんだ、オレもリケルメもね。だから最初の何か月かはヨーロッパ人には理解できないほどの困難さがあるんだ。1日の練習が終わってホテルの自分の部屋に帰る。そこには自分のものなんてなんにもないんだ。毎日ながめる退屈な壁掛け、同じカーテン、小さな机と小さなテレビ。自分のものなんか何にもない。かつての自分の世界と交流できる唯一のもの、それはナイトテーブルの上にのっている電話だけなんだ。リーベルに残してきた友人たち、家族たち、練習が終わったら気の合う仲間と一緒にレストランへ行っていたあの時代を、電話だけがかろうじて取り戻してくれる。本当に辛い時期だった。だから同じような生活をしているであろうリケルメに、忍耐という言葉を贈りたいと思うね。新しい生活にすべての意味で慣れるまで、それまでひたすら忍耐だよ。もちろん新しいクラブでの環境にも慣れないといけない、新しい監督や選手にもなれないといけない。今彼の置かれている状況に不満があろうとひたすら我慢しろと言いたい。才能ある選手ならどんなクラブであろうと成功する、そうオレは信じている。そしてリケルメには有り余るほどの才能があるんだ。ヤツは凄い選手だよ。」

そして一人のアルゼンチ人として、遠く離れた自国で起こっている深刻な問題にも決して無関心ではいられない。それはリケルメにしてもそうだろうというクレスポ。ましてリケルメは大事な弟を誘拐された経験をもっているのだから。

「リケルメの辛さは、新しい環境のもとでの生活に順応していくこともあるだろうが、何よりも弟を誘拐されたという経験も持っていることだ。その大事な家族は彼と遠く離れたところで住み続けている。1日も早く家族がバルセロナに来れればいいと本当に思うよ。それで彼の精神的問題はかなり楽になるだろうからね。いまのアルゼンチンという国が抱えている問題は深刻だ。仕事がない、食べ物がない、子供に対する教育施設が徹底されていない、数え上げたらきりがないほどの問題を抱えている。だから我々アルゼンチン人には、アルゼンチン人としての誇りを取り戻すもの、それは何でもいい、とにかく誇りを取り戻すことができるものが必要なんだ。我々フットボール選手にしても、個人としてのプライドの問題以上に、飢えに苦しんでいる祖国の人々に心温まる知らせをおくることが使命だと思っている。自分のためだけじゃなく、アルゼンチンの村に住む人々に、都会に住む人々に、すべての祖国の人々のためにだ。オレはもうアルゼンチンを離れてから6年もたっている。リケルメはまだ1年もたっていないだろう。今は自由のきかない生活をしているだろうが、そのうち慣れてくる。すべてのものに慣れてくる。そして才能あるものはいつも生き残ることができるとオレは信じている。彼も間違いなくバルサというビッグクラブで成功するだろう。彼のために、彼の家族のために、そして祖国で期待している人々のために。」