11月4日

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LIGA 第8節
11月3日 20:30
SARDINERO
RACING
vs
FC BARCELONA

1 - 1


1ポイント、たった1ポイント

スペインリーグはすでに第8節を終了している。そして我がバルサはこれまでわずか3勝、そして引き分けた数も同じという結果。首位を走るレアル・ソシエダーには8ポイント差と引き離され、「危機」を迎えていると言われるレアル・マドリにも1ポイント差で負けている。
これまでバルサが戦ってきたクラブを見てみよう。そこにはマドリやバレンシア、コルーニャやソシエダー、セルタの名前はない。ビルバオやオサスナ、バジャドリ、ラーシングなどというクラブと戦ってきたバルサ。それでも多分バンガールは次のように語るだろう。
「我々はマドリやコルーニャを敗ったラーシングと引き分けた」
そう、それは確かにそうかも知れない。だが「攻撃的」というバルサが前半につかんだチャンスは何回あっただろうか。ゼロだ。1回もゴールチャンスがなかった前半。そして試合終了間際に奪ったゴールはどういう状況から生まれたのか。それは、いつものようにセットプレーからだった。これがバンガールが言う「攻撃的」なバルサだ。

バンガールノートに二重丸の赤い線に囲まれて書かれていた一人の選手の名前、それはマリオ・レゲイロ。2年前、セラ・フェレール率いるバルサはこのサンタンデールで4−0という大敗を喫したのを覚えているだろうか。4点のうち2点を稼ぎ出した当時のラーシングのゴレアドールがマリオ・レゲイロ選手。バンガールノートにはその彼の名前が「危険選手」として二重丸に囲まれて書かれていた。もちろんバンガールは彼を最重要選手としてマークしていく作戦をとった。そしてそれが実に奇妙な、誰もが納得できない、昨日の選手配置となる。

ラーシングの最も危険な選手をマークするのは、バルサの最も信頼できるマーカー、つまりカルラス・プジョーが選ばれた。その結果どういうバルサ地図が生まれたか、ガブリが本来のプジョーの位置に入り、メンディエタがピボッテの一人として真ん中へ、同時にコクーは左カリレーロへ移る。そしてプジョーは本来メンディエタの務める右カリレーロ、あるいは右ラテラルとしてつくことになった。

個人マークをつけるのはバルサとしては珍しくないことだ。最も危険と思われる選手をつぶしにかかるこの個人マークは昨年のレシャックもおこなっている。パナティナイコス戦では、もう名前も思い出せないナントカというクラック選手にココが個人マークについた。ココにとってももちろん知らない選手だった。そしてバジャドリ戦では、今シーズンはマドリの控えの控えに入っている“クラック”選手トテにやはりココがついている。したがってバンガールがラーシングの“クラック”選手に個人マークをつけたとしても何の不思議はない。

だが我々にとっては、無名のクラック選手に個人マークをつけたレシャックが批判されたように、マリオ・レゲイロにプジョーをつけることにより生まれたバルサ地図の変化も当然なから疑問がつくものだ。ガブリはセントラルの選手ではない。メンディエタはピボッテの選手ではない。コクーにはカリレロをするほどの体力はもちろんない。そしてマリオ・レゲイロはそれほどのクラック選手でもない。この試合が終わって生まれる、誰しもが関心を示す一つの疑問が誕生した。果たしてクラック選手が多いマドリ戦ではどのような歪んだバルサ地図が出来上がるのだろうか。昨日の試合以上に多くの選手が本来のポジションとはほど遠いポジションについているかも知れない。

■怒ったぞ、とバンガール
審判の試合終了の笛が吹かれるやいなや「ロスタイムが短い!」と怒りの表情を顔面いっぱいにわかりやすく示したバンガール。それから20分後におこなわれた記者会見でも怒りはおさまらない。引き分けで終わってしまったことに関して聞かれたバンガール。
「君は試合を見ていなかったのかね。試合は確かに引き分けに終わった。だが我々は出きる限りのことをしたし、選手はすべての力を出し尽くして戦った。我々は勝利に値する試合をしたことぐらい君にもわかるだろう。運がなかった、それだけだ。」
運がなかった、それは試合開始直後に入れられたラーシングの得点を言っているのはだれにも理解できることだ。運がなかった、そう、運がなかった。いつものことながら運がなかった。
「試合開始早々にああいう得点のされ方をするのは信じられないことだ。ましてこれが初めてじゃないんだから。どうしてああいう間抜けな点を入れられるのか、それは私バンガールにもわからない。誰かわかる?」
間抜けな失点の「不運」を嘆くのは別として、ゴールチャンスをものにできない「不運」を嘆くのも忘れないバンガール。
「ゴールチャンスをものにしていれば状況は変わっていた。それに比べ、ディフェンス面では非常に満足している。あの失点以外での彼らがつかんだゴールチャンスといえば、それから60分後に初めて生まれたのだから。だが全般的に語るなら、結果には不満足なものの試合内容そのものには満足している。我々は試合をひっくり返すために出きる限りのことをしたし、試合そのものも勝利に値する内容だったと思う。悔しい、非常に悔しい。私バンガールは非常に悔しい。」

■リケルメ、デ・ボエル、ナバーロ
合格点をあげられる3人の選手、もちろん「いつも合格」のプジョーは別として、それはリケルメとデ・ボエルとナバーロだろう。
バルサの選手として初めて2試合続けてスタメン出場したリケルメ。バンガールシステムに慣れる期間とはいえ、日増しに彼本来の力を見せてきている。後半は特に彼のところにボールが集まり、攻撃の軸として活躍したリケルメ。
「前半はともかく後半はいい試合をしたと思っている。もし自分のシュートやパトリックのが入っていたら試合展開は別なものになっていたと思うと残念だ。個人的には試合ごとに慣れてきている感じ。それでも勝利できなかったことが悔しい。」

攻撃参加という観点からは特別なことをしたわけではないデ・ボエル。だが守備的な観点から見ればプジョーの不在を十分に補う仕事をした。相手選手から奪ったボールの回数は数え切れないほどだったデ・ボエル。
「ラーシングの得点は何と言っていいか。プジョーの足にぶつかって跳ね返ったボールを相手選手がうち、それをまたコクーの足にぶつかって跳ね返りゴール前にきたんだからね。まったくついていない。しかしながら、我々もそれほど多くのゴールチャンスを作れたわけでなかったことも事実だけれど。」

左セントラルという不慣れなポジションを日増しにこなしてきているナバーロ。守備的にはこの試合でもほとんど問題なかった。そして誰もが予想しなかった場面で突然登場したナバーロだ。
「自分のゴールより、ロマンのセンターリングを誉めるべきだと思う。彼のボールに合わせてヘッディングしたというよりは、自分がゴール前に突っ込んだ頭に彼のボールが来たという感じだったからね。それでももちろん個人的にはこのゴールは嬉しい。もう何年もゴールなんて決めていなかったから。」