1月27日

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

LIGA 第19
1月26日 20:30
BALAIDOS
CELTA
vs
FC BARCELONA

 

2 - 0


判決は下った!

終わった。これで間違いなく終わった。マジョルカ島流しの刑を逃れたバンガールだが、それから1か月後の昨日、ビーゴのバライードスが最終的な彼の墓場となった。今日の午前中に緊急理事会が開かれ、午後にはバンガール更迭が発表されることになるだろう。これまで多くの副会長がガスパーに提案してきた“バンガール更迭”が今日の午後には実現することになる。
アディオス!バンガール!
ブエナ・スエルテ!

22年間の副会長時代を通じてガスパーが我々に示したきたもの、それはクラブが極限状態を迎えたときには冷酷と言っていいほどの“死刑言い渡し人”となることであり、多くの監督や選手を容赦なく切り飛ばしてきた人物だったことだ。そして選手や監督を獲得する際の交渉においては、わずか1万ドルを値切るために朝方まで交渉を長引かせる鉄の意思をもった交渉人でもあった。彼の“冷酷”なまでの数々の行為は、すべてバルサのため、愛するクラブのため、そのクラブの利益になるためなら地獄へも行こう、それがガスパー副会長だった。だが副会長から会長となって以来、彼のそれらのキャラクターはすべて失われてしまった。優柔不断、ひたすら優柔不断が彼のスタイルと化しつある。だがそれでも今日は多くのプレッシャーが彼に“決断”させることを要求するだろう。そして彼はそれに従うことになる。

今年に入ってまだ1回も勝利の味を噛みしめていないセルタ。しかもここ3試合続けて1点も得点を獲得していないセルタだ。スタディアムはバルサが対戦相手だというのに満員になっていない。バルサにとって、アウエーでの試合としては理想的な対戦相手であったといっていいだろう。事実、前半のバルサは快調にボールを回していき、攻撃のチャンスをいくつか生み出していた。そしてその度に地元の選手に対してブーイングが出てくるという悪い雰囲気のバライードス。だがバルサがソン・モイでのマジョルカ戦で遭遇した幸運の女神はバライードスには現れなかった。

ソン・モイで奇跡的に首がつながったバンガール。考えてみれば非常に不思議な試合であった。マジョルカの選手が一人、そして二人とグランドから消えていく奇妙な試合だった。試合内容だけを見ればセルタとの前半45分は、マジョルカ戦とは比べものにならないほど優れていた。ボナノがペナルティーを止めたときに、多くのバルセロニスタが再び幸運の女神を見たとしても不思議ではない。だが幸運の女神はついに最後まで現れなかった。

バンガールにとって最後の試合となるであろう昨日の試合後の記者会見で彼は次のように語っている。
「前半はバルサだけが試合の主導権を握ったものとなった。我々は多くのゴールチャンスに恵まれ、相手といえば我々の2回のミスをついたゴールチャンスだけだった。だが、そう、今シーズンの多くの試合に見られるように、我々はゴールチャンスをいかすことができなかった。しかも相手のゴールがすべて我々の選手の個人ミスから生まれたことも今シーズンの特徴だ。そしてこの試合もそうなった。」

今シーズン、何回も聞かされてきた試合分析。決して相手チームに劣っていたわけではないバルサ。勝てる試合であったのに個人的なミス、それはゴールチャンスをいかせなかったデランテロのミスであり、ディフェンスのミスによっての失点。バンガールはセルタ戦の後もバルサは試合内容そのものは勝利していたのであり、次の試合はミスさえなければ勝利できると信じているようだ。だから彼から辞任することは考えなれない。彼は自らは決して辞めない。なぜなら彼がバルサにとって最高の監督であると信じ続けており、この状況を乗り切る最適の監督だといまだに思っているからだ。

ガスパーは試合後、最も彼の信頼する副会長のクロッサと共に空港に向かった。彼ら二人だけの会話が続く。そしてバルセロナに向かう機内ではバンガールと並んで座ったガスパー。この2時間近い機内でおこなわれた会話の中で、ガスパーは間違いなく“辞任”の可能性を問いただしているだろう。だがその答えも想像がつく。バンガールは辞任はしない。自らは決して辞めない。

先週の1週間を利用して、バルサ理事会はバンガール更迭の場合の“決算”をいかに経済的に済ませるかという検討をしている。2年半残っているバンガールの契約を破棄した場合の“違約金”をいかに安く済ませるか、それが先週彼らクラブ理事会が何回も集まって検討した内容だ。これまでガスパー政権のもとに監督を務めたセラ・フェレールやレシャックなどを解雇する際に、多くの浪費を義務づけられたバルサ理事会だけに、今回は慎重に“違約金”の検討を重ねてきている。だがこの交渉は非常に難しいものとなるだろう。バンガールはヌニェス政権を去るときには大幅の値下げを受け入れた過去を持っている。それは最後の最後まで彼を信頼したヌニェスに対する感謝の気持ちから来ていた。だが今回は事情が違う。常に次期監督候補の噂が流れることを許したガスパー政権に対する恨みをもつバンガール。最後の最後まで自分を守らなかったガスパー政権に対し、譲歩する気持ちはバンガールには一切ない。


真夜中のパーティー

真夜中のパーティー、それはバルセロナのエル・プラット空港に30人ほどのささやかな数のバルセロニスタが集まって、ガスパーの到着を歓迎するために開かれようとしていた。01時30分、ビーゴから飛んできた飛行機がエル・プラット空港に到着する。クラブ関係者や警察官などが、空港裏口にバスを用意することを提案するもののそれを拒否し正面出口から出てくるガスパー。バルセロニスタの用意したパーティーの主役の登場だ。

このパーティー組とは別に統合ディレクターのファルゲールも空港に迎えに来ていた。もし機内での話し合いでバンガールの“辞任”あるいは“更迭”が決定していたならすぐにでも契約書作成の準備をしなければならないファルゲール。だがファルゲールの前に登場したガスパーは彼に語る。
「君は君の仕事をすればいい。私は私の仕事をする。心配はいらない。今は何もすることはない。」

正面出口から出ることになったバルサ御一行をバルセロニスタが暖かく迎えようとしている。
「ディミッション!ディミッション!ディミッション!」
「ディミッション!ディミッション!ディミッション!」
「ディミッション!ディミッション!ディミッション!」
それはバンガールに向けられているよいうよりはガスパーに対するものだった。バンガールは選手たちと一緒にカンプノウへ向かうバスに乗り込もうとしていた。ガスパーはファルゲールやクロッサなどクラブ理事会の面々と一緒だ。

ガスパーに対する「ディミッション!」の叫び声は終わりを見ない。業を煮やしたガスパーがわずか30人程度のバルセロニスタに大声で応える。
「それでも君たちは人間か!我々をそっとしといてくれ!」
だがもちろんバルセロニスタの叫びは止まらない。ガスパーがようやくバスに乗り込もうとしている時、パーティー最後の罵声が彼に飛ぶ。
「バンガールはどうでもいい。お前が辞めなくてはならない!」
こうしてわずか10分のエル・プラット空港でのパーティーは終わりを見ることになる。そして主役のガスパーは、今日こそ何らかの決断を迫られることになる。