Lionel Andres Messi
メッシー


メッシー、バルセロナ到着
(07/02/04)

2月2日金曜日の午後、予定到着時間より約1時間半の遅れながらも、レオ・メッシーは久しぶりにバルセロナに戻ってきた。彼と仲の良いロナルディーニョやデコが1日半の遅れでクリスマス休暇から戻ってきたことを考えれば、このアルゼンチン発の飛行機の遅れはたいしたことはない。空港から自宅に寄ることなくカンプノウに直接向かった彼は、まず15分程度の記者会見を済まし、そしてその後、ラ・マシアの練習場で軽く汗を流している。テレビ画面を通して久しぶりに見る彼の顔が、何かすごく大人の顔となっているのにビックリ。そして、彼の故郷であるロサリオからバルセロナに向かう直前、アルゼンチンジャーナリストによるインタビューを受けているレオ・メッシー。

試合に出場してプレーすることは別として、一人のバルサの選手として懐かしく思うことがあるとすれば、それは何ですか?

試合が開始される1時間半ぐらい前から始まる楽しい時間帯かな。試合に招集された仲間たちとああだこうだとどうでもいい話をしたり、つまらない冗談を言い合ったり、あるいはボールを蹴ったりして遊ぶあの時間帯が大好きなんだ。

具体的には誰と一緒のことが多い?

ロナルディーニョ、デコ、そしてモッタ。

ブラジル人ばっかりじゃないか?

そう、困ったもんだ(笑)。

ロナルディーニョとは試合前何をしているの?

サンバかなんかの曲を聴いていることが多いから、自然と自分もその曲を聴くことになる。だって、いつも隣同士にいることが多いからね。そうだ、サンバを聴くこの瞬間も懐かしく思うね。またその瞬間がやって来るかと思うと楽しみだ。

つまり試合開始前にはサンバを聴いたり、仲間としゃべったりして集中力を高めるようにしているということ?

集中力を高める?他の選手のことは知らないけれど、自分はそんなことをしたことがない。試合前に相手チームや選手のことを考えたこともないし、自分がどうプレーするかも考えたこともない。そんなことはグランドの芝を踏んでからすべて始まることさ。

ユニフォームは貯まりましたか?

ユニフォーム?ああ、試合後の交換するユニフォームのことだったら、もうたくさん貯まっている。特別なものは2枚。最も大事なのはアイマールのそれさ。もうバルサAチームでプレーする前から欲しいユニフォームだった。もちろん今でも特別大事にしている。そしてもう一枚はジダーンのもの。自分にとって最初のクラシコとなった試合で手に入れた。これも大事なユニフォーム。

クラシコでの思いではそれだけ?

ロナルド。何と言ってもロナルド。
「オラー、レオ!」
試合前の練習で彼とすれ違った時、笑顔でこう声をかけてきてくれた。自分のことなど知らないだろうと思っていたからビックリしたよ。笑顔を絶やさない感じのいい人だった。

でも、今では誰もがあなたのことを知っている。

そう、でも自分は昔どおりのレオ・メッシー。感謝の気持ちを絶対忘れてはいけないとしつけられて育ったレオさ。しかもバルセロナの街では私生活の時間に介入してくるファンはほどんどいないから生活しやすい、アルゼンチンは別の話で、どこに行ってもサインや写真を頼まれる。家族や友達とどこかで買い物でも楽しもうなんてことはほぼ不可能なことになってしまった。でもバルセロナは違うんだ。旅行者以外は誰も介入してこない。そこがあの街のいいところだと思っている。

「こちらカピタン」より


メッシーの復帰
(07/02/02)

2000年の夏にバルサにやってきたレオ・メッシーという少年を初めて見たのは2002年、ようやくカデッテカテゴリーでプレーするようになってから。明らかに周りの選手より10センチは小さく、しかも線の細い少年だった。今で言えば、そう、セバージョスみたいな感じと言える。あれ以来メッシーを見続けているが、ライカーチームに加わってくるまでほとんど負傷がない選手だった。その彼が昨シーズン、今シーズンと何回かの負傷をし、そしてようやく2月の2日に戻ってきて合同練習に参加できるまでリハビリが進んでいるという。順調にいけば1週間程度でドクター許可が下りる可能性があるというから、早ければラーシング戦での出場もあるかも知れない。だが、それでも。メッシーのフィジカル的な問題が解決したわけではないようだ。

メッシーを最もよく知る人物の一人にバルサAチーム医師のドクター・プルーナ氏がいる。
「誰もが知っているように、メッシーは何年間かにわたってホルモン注射が必要だった少年。その治療のおかげで彼の骨は順調に成長することが可能となり、現在のようにエリートスポーツ選手の一人として生活できるようにまでなった。だが、普通の生活をしている人には問題とならないことが、エリートスポーツ選手には問題となってしまうことがある。それは骨の成長と筋肉の成長がピッタリとバランス良くとれていないため、無理をするとどちらかに疲労が必要以上にたまってしまう恐れがあるからだ。今回の足指の骨折も疲労蓄積という現象から来ている。これからも何らかの筋肉問題などが起こらないようにするためには、普通の選手以上に細心の注意をしながら練習メニューをこなしていく必要があるだろう。」

だが、どうしても変えられないものがあるという。それはメッシーの持つ筋肉質だ。彼が持って生まれた筋肉繊維は典型的な陸上短距離選手のそれだという。
「デランテロ選手の中でも瞬発力を武器とする、典型的な筋肉繊維を持っている選手といえる。そういう意味では非常に恵まれた筋肉繊維を持っていることになる。だがその反面、こういうタイプの選手は他の筋肉繊維を持っている選手よりも疲労がとれにくい特徴がある。例えば、普通の選手が週2回の試合が可能だとすると、彼のようなタイプの選手は週1回が理想的といって良い。もちろん週2回の試合をこなすことはできるだろうが、2試合目の効率性はかなり低いものとなるのはしかたがない。」

そして結論づけるドクター・プルーナ氏。
「フィジカルトレーナーとはもちろん、物理療法士などと共にメッシー専用の特別練習メニューを作成し、筋肉の増強と回復運動を綿密におこなうこと。理想的には30試合のスタメン出場と15試合の45分だけの試合、つまり年間トータル45試合出場となれば常に100%のフィジカルでプレーできることになる。」
そう言うことらしい。もっとも、こういう“問題”は別にメッシーだけが抱えているものではないようだ。ジュリーにしても1試合70分がベストタイムだということはバルサ入団時から言われてきている。

年間トータル45試合が理想的、そしてこの試合数は決して少ないものでもない気がする。リーグ戦38試合、決勝戦までいけばチャンピオンズ13試合、合計51試合。国王杯などはどうでもいいとして、リーグ戦とチャンピオンズに出場を絞れば9割近い試合に出場することが可能となる。したがってメッシーの問題(問題だとすればの話だが)解決は、それほど複雑なことではないと思う。練習メニューを着実にこなし、オーバーワークによって生じる余計な疲労を避けること、それだけ。常にメンタル面の問題を抱え残念ながらバルサで成功できなかったオーベルに比べれば、まあ、なんだ、メッシーの将来はピカピカ明るい。

そのピカピカ明るい将来をつまずいたものとしないように、ここはじっくりと姿勢を低くし、すでに人生を悟ってしまったエドゥミルソン牧師の言葉に耳を傾けるべし。
「我々はできる限り夜遊びを避け,明日の練習のために体を休ませることを心がけなければいけない。もしフィジカル的に満足できる状態でないと感じたのなら、5人もいるフィジカルトレーナーと相談すれば良いし、ジムで体調を整えることもできるし、練習時間以外でもラ・マシアの練習場は使用できる恵まれた環境だ。我々はもっとプロ精神を持つべきだと思う。」
誰と誰と誰に向かって吐かれた言葉か、それは一目瞭然。

「こちらカピタン」より