2003年
7月
2004年

中国三千年の歴史をなめちゃあいかんよ

ベッカムがメレンゲの選手となったとき、金がない金がないと騒がれているクラブが何で2500万ユーロとも3500万ユーロとも言われている移籍料を支払うことができたのか、それはもちろん銀行からのクレジットなわけだけれど、それを簡単に返せる方法があるからだとメレンゲ会長のフロレンティーノが偉そうにおっしゃっていた。
「ベッカムのユニフォーム販売による利益だけを考えてもじゅうぶんに採算がとれる取引だ。」

しかしながら、それはとんでもない“捕らぬベッカムの皮算用”であったのであった。

中国遠征をしているメレンゲサーカス団御一行の遠征目的は、もちろんメレンゲマークをアジアに浸透させ、できる限りのゼニを稼ぐこと。遠征ともあれば多くのベッカムユニが売れる、そうフロレンティーノがウハウハとヨダレ垂らしながら考えたとしても不思議ではありません。そう、確かに彼の予想通り、ベッカムユニは爆発的に大売れときたもんだ。でも残念ながら“売れる”ことと“儲かる”ことはイコールの関係にはならないこともある、ということに気がつくべきでしたね会長さん。

アジアでのメレンゲマークの販売を担当しているASD (Asia Sports Development)という会社の社長さんであるダビッド・アルターラスさんという人がSOS発信をだしました。
「現在、中国で売られているメレンゲユニの95%は偽物。20枚中本物は1枚しかないのが現状と言える。我々はユニ1枚を60ユーロで売り出したが町中で売り出されているのはわずか4ユーロだ。」

中国人の平均給与は70ユーロということらしく、いったい誰が60ユーロもするメレンゲのユニを買うと思ったのでありましょうか。いずれにしても対応策として60ユーロのユニを近いうちに10ユーロに値下げする意向ということです。これだともし本物が売れたとしても、といってもやはり4ユーロのものでじゅうぶんと思う人がほとんどでしょうが、六分の一に値下げしてしまった関係上、当初の思惑を達成しようとすると六倍売らなければならないというオチまでついている愉快なメレンゲストーリーでした。
(03/07/28)


アイ、アイ、アイッ、リケルメ〜

まあ、それにしても、なんというか、リケルメという選手はツキのない人だ。南米大陸からはるばるやって来てやっとバルセロナの地を踏んだと思ったら、監督という選手にとってもっとも重要な人物から「この選手は私が望んだわけではない」なんて言われちゃうし、練習が始まるやいなや外国人枠の関係でいきなりレンタル移籍の噂が流れたりしちゃうし、他の選手が練習に遅れてきても大して問題にならないのに彼だけは、たった3分の遅刻でも大げさな騒動となってしまうし、さて2年目だ、頑張ろう!と思ったら、本当に出されることになっちゃった。それも今シーズンやって来たサンドロ・ルセーとチキという“現場”には関係ない連中の手で追い出されてしまった。

そもそも、彼のことをそれほど評価していないサンドロ・ルセーやチキが、ルストゥなんていう外国人キーパーを獲得したことからして、もうシナリオはできていたんだろうと疑ってみる。困ったことに今のところフラン・ライカー監督なんて置物みたいなもんだ。ルストゥ加入やデ・ボエル放出は彼の知らないところでおこなわれたことだし、マルケスやクアレスマ獲得にしても彼はかかわってもいない。マルケスではなくてアヤラ、クアレスマなんていうどこの馬の骨かわからぬ経験のない選手じゃなくて、そう例えばエチェベリアみたいな計算できる選手、それがフラン・ライカーがメディアを通して要求してきた選手たちだ。そして守備的にはもう一人のセントラルと左ラテラル、攻撃的には20ゴール以上を約束してくれる点取り屋。

でもルセーとチキが連れてきたのはもっとも人数的に余っているポジションであるメディアプンタの選手。しかもこれまで一シーズンに10ゴール以上決めたことのない選手だ。ルセーやチキやラポルタが認めているように、ロナルディーニョというのはメディア的クラック選手。バルサというクラブをさらに有名に、ユニの売り上げをさらに伸ばしてくれる選手だし、なによりも子供たちのアイドルになる何かを持っている選手であることは確か。

リケルメのレンタル移籍はもう運命というやつと思って諦めるしかない。ルセーやチキは外国人選手枠問題が片づけばいつでもリケルメを呼び戻すというような調子のいいことほざいているが、それはバルセロニスタにショックを与えないような“大人的”な言い回しに過ぎない。今年は4人、来年は3人の外国人選手枠となるスペインリーグ。サビオラやルストゥがEUパスを取ろうが、リケルメはもう呼び戻されないだろう。なにゆえこんなに幅を利かすようになったのかよくわからないルセーとチキに変わって、本当の主役とならなければならないフラン・ライカーがもっともっと強い発言権を持つようにならない限りリケルメの復帰はない、と疑ってみる。
(03/07/24)


焦げつきメレンゲ

(カナルチキートの7月1日〜3日にかけて連載したもの)

マドリッドを本拠地とし主にスペインの経済問題を扱うウエッブページ“エウロ・エコノミー(www.euroeconomia.com/)”が、6月にレアル・マドリの経済問題を取り上げ特集を組んでいる。5週間にわたってマドリの経済問題を鋭く分析しているが、その量は膨大となるので要点だけを取り上げた方がわかりやすいだろう。それは大体以下のような内容だ。

メレンゲクラブのソシオたちによって構成されている“ソシオの権利を守る協会”というのがある。クラブ会長やクラブ理事会委員が誰になろうとも、クラブの財政や財産に関して独自に調査をおこないクラブ経営の健全化を試みようとする真面目なソシオによって構成されている組織だ。彼らが先月、クラブの経済問題を分析した結果を分厚い報告書にして発表している。元マドリッド市の経営学士会の長老であり、現在は会計検査役として権威を誇るヘラルド・オルテガという人にクラブ財政を1年間にわたり調査してもらった結果を発表したものだ。

その結論は単純にして明快なものだ。
「このままでは近いうちにクラブ崩壊が訪れる」

フロレンティーノ・ペレスが会長に就任するまで、レアル・マドリの抱えていた借金は3億ユーロとも4億ユーロともいわれる額だったが、例の政府との癒着問題として知られている“マドリ・スポーツ都市”売買の結果、それがすべて精算されているとフロレンティーノは語る。
「クラブの赤字はすべて解消された」
それが少なくてもマドリ現会長の繰り返してきた発言だ。ところがこの報告書によれば、これまでの赤字が解消されたどころか現会長が就任する以前よりさらに借金が増加し、現在の赤字は5億4480万ユーロにものぼるだろうと推定している。

財政問題の悪化についていくつか理由をあげ分析をしている。何年間にもわたる税金未払い問題、これまでの“スター選手”獲得の際のいかがわしいコミッション問題と高額な違約金問題、テレビ放映権料の何年も前からの前借り問題、銀行に借りているクレジットの利子支払い問題、そして一番大きい問題として選手の高額な年俸支払い問題だ。

ビッグクラブが抱える選手の高額な年俸。メレンゲの場合は“大スター選手”獲得作戦が続いているため、他のどこのクラブよりも深刻な問題となっている。選手を獲得する際に支払われる“違約金”はこれまですべて銀行のクレジットとなっており、その総計額は天文学的な数字となっている。そして“大スター選手”獲得作戦のさらなる問題は彼らに支払われる高額な年俸だ。クラブ年間予算の8割を占めるという選手の年俸問題を解決するのにユニがいかに売れようが焼け石に水となる。

クラブ財政を健全な状態にするあたって最大のネックとなっているのは、選手の高額な年俸問題。イタリアを始め多くのビッグクラブが1、2年前からこの点に注目し、財政建て直しのために選手の年俸引き下げ作戦をおこなってきている。だがメレンゲに関しては未だに実行に移されていない。他の多くの問題解決もさることながら、まずこの問題を真剣に考えない限り「このままでは近いうちにクラブ崩壊が訪れる」どころか「明日にも崩壊が訪れる」としても不思議ではないだろう。

“エウロ・エコノミー”が5週間にわたって特集を組んだ内容を要約すると以上のようになる。ただ財政問題がうまくいってようが深刻な状態になっていようが、成績的に“結果”が出ているいる間は表面化してこない。現在のバルサの状態を見ることによってそれは明らだ。

そして来シーズンは“結果”がでないであろうメレンゲに待っているのはこれらのスキャンダラスな財政焦げ付き問題だ。かつてロレンソ・サンスがクラブ会長をしていたとき「この会長がいる限り、メレンゲの所有する敷地には雑草さえ生えない」と言われたものだが、現会長のフロレンティーノが会長を更迭されるときには「その土地さえなくなっている」状態となるだろう。
(03/07/21)


無駄に金は使えない

ヨーロッパのほとんどのクラブが、そのクラブの最大株主が会長となったりあるいは大手株主たちの話しあいで会長を決めたりするのに比べ、バルサの場合はソシオによる選挙を通して会長が決められる。なぜならクラブの所有者は10万人のソシオであり、会長は彼らを代表して4年間にわたり運営を“任せられる”だけの存在だからだ。しかも任期期間中、彼らクラブ理事会メンバーは無給で、1ユーロもクラブからは収入を得られない。いや、収入がないどころではなく、かなりの資金を用意しなければならない。

ヌニェス政権は20年以上続いたけれど、その終わりが近づいた頃に一つの法律ができた。よくわからないけれどナントカスポーツ法というやつで、とにかくスポーツクラブの運営を任される人々は年間予算の15%分をそのスポーツ協議委員会に提出しなければならないというものだ。90年代に入り各クラブの年間予算が膨大な数字となり、もし赤字経営になった場合にその穴埋め用に準備をしろというものだ。

その法律が制定されてから生まれたガスパー政権は、その15%デポジットをフットボール協議会に提出していない。なぜならガスパー政権はヌニェス政権の“延長”として認められたからだ。つまりガスパー政権は新政権ではなく継続された理事会であるため15%のデポジットは必要ないものとされた。

一人として旧政権メンバーがいないラポルタチームはどういう観点から見ても“新政権”だ。したがって彼らは莫大な資金をフットボール協議会に提出しなければならなかった。現在の理事会メンバーは約20人。彼ら全員がほぼ同じ金額を用意しあっている。一人頭150万ユーロだ。

クラブからは4年間1ユーロも収入がない上に、もし運営がうまくいかず赤字にでもなったらその150万ユーロの存在さえ怪しくなってくる現在の理事会メンバー。それに比べ、赤字になってもクラブ所有の財産からその穴を埋めることで済んだガスパー政権。この違いは今の慎重な金の使い方を見ているとよくわかる。やっぱし人のふんどしで相撲をとっちゃあいけねえってことか。
(03/07/19)


ラポルタ、ヌニェスに救われるの巻

3月1日付けのこのコーナー「ヌニェスの遺産」の中で触れられているテレビ放映権が今シーズンからいよいよ実行に移される。それは2003−04シーズンから5年間にわたって続くもので、放映権料がトータル3億6000万ユーロ、つまり年間にすると7200万ユーロというもの。

1999年に結ばれたこの契約は、チャンピオンズやUEFAに参加しようがしまいが関係なく、しかも二部に落ちようが契約そのものに変更は許されないという、ヌニェスならではのバッチリと防護された契約だった。まるでヌニェスが、昨シーズンのバルサの状態が訪れることをすでに見通していたかのような契約内容だ。

3月1日には知らなかったので触れていないこと、それはバルサはこの契約を結んでから毎年1000万ユーロ近くの前借りをしていることだ。資金繰りに困って仕方なくということではなく、それも契約内容に含まれていたらしい。したがって今シーズンから5年間にわたってバルサが受け取るテレビ放映権料は6200万ユーロ前後ということになる。クラブ年間予算の約三分の一という貴重な資金だ。

ヌニェスの一存でこの契約が成立したとき、どでかい反対の運動があった。反ヌニェス派のエレファント・ブラウという組織が先頭になっての激しい反対運動だった。反対理由の一つは、当時会長のヌニェスの任期が切れてからも更に続く契約期間であったこと、そしてもう一つは、そんな安い金額で放映権を売ったことに対する非難だった。そう、あの頃はフットボールバブルがプカプカしていた時代だからして4年後にはもっとインフレになるのでは、という読みだった。その反対運動の中心人物が今の会長というオチまでついている。

そしてそれから4年たち、誰もが想像しなかったことが現実となる。ヌニェスと犬猿の仲だったラポルタがクラブ会長に選ばれ、そしてこのテレビ放映権による収入がラポルタ・バルサを救うことになることだ。
(03/07/15)


天罰でござる

キウエルという選手は、バルサが獲得を狙っているといわれる選手の中では珍しく見たことある選手だったけれど、彼はどうやら500万ポンドでリバプールに行っちゃうらしい。500万ポンドっちゃあ700万チョイユーロ、まあまあのお値段のようで。

それでも何やら胡散臭い話しがあるようで、リーズが受け取る金はたった300万ポンド、そんでもって彼の代理人が200万ポンド持っていっちゃうという。こんなバカな話しが本当にあるのかいなと思っていたらどうやら本当らしい。ベッカムの代理人といい、この選手の代理人といい、ポルトガル人やブラジル人の代理人ばかりが滅茶苦茶なわけではないようだ。

その代理人で思い出したけれど、チキートコーナーで「FIFAエージェント - 魑魅魍魎の世界」と題したコラムに登場したロナルドの悪徳代理人シルバ・マルティンとロッチャ・ピッタ。ヤツらは今や牢屋の中にいる。バルセロナの街で平和に暮らしバルサで楽しそうにプレーしていたロナルドお坊ちゃんを、インテルの大金持ちとつるんで無理やり連れて行っちゃったこの二人だけれど、ついに天罰が下ったというわけであります、チャン、チャン。

捕まった容疑はすべて金がらみらしいけれど、中でも脱税容疑、スイス銀行秘密口座内に隠されている膨大なブラックマネーが問題となっている。6月の最初に逮捕されてからもう1か月以上臭いメシを喰っている計算になるけれど、これまでの調べで、容疑とは関係ない収入関係の調べとかでも面白い事実がいくつか出てきている。

ロナルドの収入の20%を未だに徴収する権利があるという。インテルからメレンゲに移った際の違約金の15%は選手のものとなるけれど、その15%のうちの20%も彼らの収入。ロナルドの年俸は1320万ユーロと言われているけれど、その20%の264万ユーロも彼らの収入。スポンサー契約の20%ももちろん彼らの収入。ロボットが稼ぐゼニの20%は全部牢屋に入っているヤツらのところに行く仕組みだ。今度生まれ変わったら、やっぱり代理人業、それもうまいことやって天罰を逃れ、絶対牢屋に入らなくてすむ代理人を目指すっちゃ!
(03/07/13)


バルサのセントラル

あの天下のクーマンがセントラルをやっていたとき、カピタン・アレサンコと若手ナダールというメンバーが控えていた。当時は何と言ってもセントラルは一人しかいないシステムだから、トータル3人いればじゅうぶん。そのあと、ナダール、アベラルド、ポペスクという時代に入り、さらに彼らに加えてコウト、ロラン・ブランという豪華なメンバーとなっちゃう。5人のセントラル、しかも全員が代表選手、それでも、そう、それでもセントラルに対する批判には事欠かなかったバルサ。

バンバンがやって来て、セントラルはナダール、アベラルド、コウト、ボガルデ、そして時々レイジゲル。どれもこれも代表選手。それでも批判は止まない。そしてその翌年、コウトは追い出されるものの、デ・ボエルが加入。おまけにペレグリーノなんて選手まで加入して来ちゃう。つまりナダール、アベラルド、ボガルデ、デ・ボエル、ペレグリーノ。それでもザル守備への批判は尽きない。

次の年はナダールが追い出され、なぜかペレグリーノもサヨナラされ、それでもフランス人のデウーなんて選手が来る。アベラルド、ボガルデ、デ・ボエル、デウー、もちろんみんな代表選手。でも批判は続く。その翌々年にはヨーロッパチャンピオン男アンデルソンや将来のフランスチャンピオン男となるはずのクリスタンバールがやって来る。もちろん、思いっ切りの批判が続く。

バルサはこれまでどこにも負けない顔ぶれのセントラルを集めながらも、批判だけは止んだことがないクラブ。これはもうチームの特色の一つと言っていい。というわけで、マルケス君、はっきり言ってよく知らない選手だけれど、これまでの習慣どおりなら君にもそのうち強烈な批判が襲ってくるだろう。でも、まあ、そんなことを気にせず、それなりに頑張りなっさい。
(03/07/11)


不思議

会長選挙が盛り上がってきた時期に“ベッカム獲得も可能”として鼻息がグ〜ンと荒くなった会長候補ラポルタ。その彼が会長に選ばれてからわずか48時間後に、それがまったく不可能なことがわかることになる。なぜならメレンゲがベッカム獲得を突如として発表するからだ。これがいまだに不思議なんだなあ、な〜んであの時期にメレンゲが発表したのか。

メレンゲにとっては優勝がかかった大事な最終戦が週末にあり、ベンチ内に面倒くさいことを持ち込んではいけない時期。もうすでに獲得が決まってたんなら発表は最終戦が終了してからでもいいわけで、それまで待てなかった、あるいは待たなかった理由がよくわからない。

かつてイングランドのジャーナリストにベッカム獲得の可能性を聞かれたフロレンティーノが7回も「ネバー」と繰り返したり、やはりロナルドがメレンゲになる前にその可能性を聞かれたバルダーノが「絶対ない」と70回も繰り返したように、とにかくこの二人は大の大の大嘘つきだからを彼らの言うことは信用できない。というわけで彼らが言うところの「バルサが急接近してきたから我々は急がなければならなかった」というのもどうもな〜、まゆつばものだ。

とうの昔にすでに両者間での合意は済んでおり、それを知っていたラポルタが選挙前に発表されるのを嫌ってフロレンティーノに「発表しないでちょっ」というお願いをしたという説にしても、この時期に発表しなければならない必然性を説明していない。いずれにしてもこのクラブ発表に不満をもらしたヒジ鉄が、最終戦が終わったあとも問題を起こしてクビになってしまうという予想外の効果を生みだしてしまった。

ところで、ペセテロ獲得に関して彼の悪名高き代理人ホセ・ベイガに6億5千万ペセタ、フトレなどの協力者に2億ペセタ支払ったというのはもう既成の事実として知られているけれど、ジダーンやロナルド、そして今回のベッカム獲得にはどれくらいのコミッションが支払われたのか。バルサの選手の年俸にはやたらと詳しいマルカだけれど、そのマルカの言うところによれば700万ユーロということらしい。つまり代理人に10億円近い金が支払われていることになる。良い商売です。
(03/07/09)


レンタル

バルサBという“入れ物”から落ちこぼれちゃう選手もいれば、“入れ物”そのものが小さくなりすぎてこれ以上成長が望めない選手もでてくる。もちろん前者の方が圧倒的に多くて後者の方が少ない。今シーズンを終了して、もういい加減バルサBは卒業すべきだと思うのはナノとトラショーラスだ。

のってる時のトラショーラスは“凄いじゃん”選手となるけれど、普段の彼は2、3年前の彼とそう大して変わらない感じを受ける。ナノはバルサBでテレテレやっている時よりも、短いプレー時間とはいえ時たま一部でプレーしている彼の方が冴えている。来シーズンからバルサ一部でプレーできれば理想的、それが無理だったらやはりレンタルなり買い取りオプション付きの移籍がいいと思う。とは思うものの、どんなスタイルではあれ一度クラブをでてしまうとハッピーエンドで終わることがナカナカないのも事実。

バルサをレンタルなり買い取りオプション付きで移籍していった選手が、そのあと成長して戻ってきた試しがほとんどない。少なくても記憶にあるのは、少々古い話しだけれど、フェレールとゴイコエチェアぐらいしか思い当たらない。ジェリーとかクリストバルも成長して戻ってきたが、成功するところまではいかなかった。

そして最近では誰もいない。ちょっと思い出すだけでもキッケ、クアドラード、マリオ、サンタマリア、ベルムード、ババンジーダという選手が何らかの形でクラブをあとにしているけれども、バルサ一部に戻ってくるほどの選手にはなってないようだ。ミニエスタディで見る限り、控えのナバーロより圧倒的に良かったと思ったベルムードが何でテネリフェあたりで控えとなっているのか、そこら辺の事情もよくわからない。

アルテッタやルイス・ガルシアという、今のところ活躍を見せそうな選手もいるから一概には言えないけれど、できればバルサBで活躍した選手はそのまま一部に上がれるといいんだ。ダビ・サンチェスやラモン・ロス、そしてセルヒオ、早く上にいらっしゃい。
(03/07/07)


獲得作戦

来シーズンでの外国人選手登録は4人までで、グランドで同時にプレーできる人数は3人まで。それが来々シーズンからは3人登録で同時出場3人となってしまうことが決められている。そんなことはとうの昔にわかっているのに何で外国人選手であるタダダヨンをとってしまったのか、そこがよくわからない。

何かの間違いでビクトルじゃなくてタダダヨンがゴールを守るとすると、グランドを走り回れる外国人選手はわずか2人だ。1人はサビオラだろうからあと1人だけということになる。ベンフィカにもう1年レンタルが決まったジェオは別として、現在のところバルサが抱える外国人選手はロッケンとロマン。これからの選手獲得作戦の複雑なところは誰もが知っているように、噂に上っている多くの選手が外国人選手だということだ。

ディフェンス面での補強を見るだけでも、名前が上がっているのがアヤラとマルケス。どちらかが来るとして、今のところこれで5人目の外国人選手ということになってしまう。オーバーブッキングもいいところだ。

こういう状況を利用して“男”となる良いチャンスなのがサビオラだ。女の子ちゃんだけじゃなく、同姓からも人気を得る良いチャンス。ガスパー(ああ、もうこの亡霊ガスパーだけは、できることなら触れたくもないんだけれど、どうしてもでてきちゃうんだなあ。しぶといやっちゃ)と約束した“ヨーロッパ国籍取得ボーナス100万ドル”という美味しい話をなかったことにして、自らの意志でスペイン国籍なりイタリア国籍なりとったら、そう、それだけでさらに人気がでること請け合い。これまでのように、若くてキャピキャピした女の子だけにサインする色気づいたガキ精神も許してやろうってことになるかも知れないぜ。
(03/07/05)


放出作戦

“ルセー・チキ”コンビによる放出作戦が着々と進行中。まずデ・ボエルに続き、メンディ、ソリンが追い出された。メンディファンの人は残念だろうけれど、3千万ユーロなんていう違約金は時代がかったものだし、彼の高額な年俸もネックとなっているから、まあこれはしょうがない。ソリンにしても1千万ユーロなんて違約金は払うのはもったいないだろうから、ソリンファンの人は残念だろうが、まあこれもしょうがない。デ・ボエルの場合は“旬の選手”となっていたしこれまでの年俸分だけを支払えばいい問題だけれど、彼はチョイと特別な選手。ヌニェス・ガスパー・バンバン時代の代表的な“顔”としての選手だ。文字通り過去を代表しているような選手だから、変革をモットーとして誕生した新政権には“切らなければならぬ、ご免”選手だった。

これからライカーが加わって“ルセー・チキ・ライカー”トリオによって更に進むであろう放出作戦。普通の体制であれば監督が大きな発言力を持っているが、新体制はどうもそうじゃないようだ。ルセー、チキ、ライカー、それぞれが1票ずつ“投票権”を持っている。放出・獲得の際の交渉役であり、そして同時にマーケティング専門家としての立場からルセーが1票、セクレタリア・テクニコとしてバルサの戦いのフィロソフィー確立の立場からチキが1票、そして現場の最高責任者としてライカーが1票。

アルフォンソ、ジェオ、ロッケン、クリスタンバール、エンケ、ボナノ、ジェラールファンの人々は残念だろうが、彼らがその対象になっている。そしてもう一人、ブラブラと危なっかしい選手が一人、ロマンだ。

外国籍選手であることのマイナス面はどうしようもないけれど、特別なキャラクターを持っているからとか、周りの選手とスッキリいかないとか、ヨーロッパスタイルに馴染まないとか、そういうことで批判されるのはどうも納得できん。“遅い”とか“ボールを持ちすぎ”なんていうのは問題外の批判。グアルディオーラは間違っても早い選手ではなかったし、ラウドゥルップが玉切れのいい選手であったわけではない。

ドデカイ期待で迎えられたクーマンの1年目よりも、あるいはペセテロの1年目よりも遙かに良かったと思っているロマンの1年目。何試合スタメンで出場したか知らないけれど、チームでは1番のアシスト数まで記録しているじゃあないか。そんな選手をだしちゃあいけないよ、スコッティに一生グチグチ言わせないためにも、ここは一つ、ロマンだけは出すのは辞めましょう委員会でした。
(03/07/03)


ラポルタ旋風

ガバァーと吹きまくったラポルタ旋風が落ち着いてきて、今はルセーとチキコンビによるそよ風状態。決して急ぐでもなく、しかし決して休むことなく地道にそして確実に動きまわっている。全国メディアが伝える“人工的”なスパイス・ボーイ旋風の影に隠れながらも、まるで亀のごとき一歩一歩という感じだ。

ラポルタ旋風の勢いは、スパイス・ボーイがマッチロケになってしまったあとも衰えを見せなかった。クーマンやヒディングやロナウディーニョとの交渉がうまくいかなかったルセーに対しても批判はまったくでない。多くの獲得候補選手がメディアを騒がせながらも、今のところ“選手追い出しサヨナラ作戦”のみというチキに関しても批判はない。それどころか何をやっても評判がいい。そこら辺が気持ち悪いと言えば気持ち悪い。

ガスパー時代のイメージがまだ鮮明に残っているバルセロニスタだ。メディアやバルセロニスタ受けのする“早急”な選手獲得がここ何年間どういう結果を生みだしてきたか、そのことを忘れていない。み〜んなとは言わないまでも、ほとんどがイマイチだった補強作戦。今回は時間をかけてゆっくりと慎重にいきましょう、そういう感じかも知れん。もっともかつてのようにガバガバと好き勝手に選手をとれる台所事情じゃあないから当然と言えば当然。

“ラポルタ・ルセー・チキ“トリオが考えている補強作戦は“T作戦”と呼ばれている。自陣を下にしてグランドを上から見た“T”の字。左右のデランテロ二人が“T”の上の横棒で、そこからキーパーまでの縦の線。ベンチに入るキーパーはとりあえず獲得したから、あとは守りの要と中盤の選手と点を入れる選手だ。

獲得作戦の予算は5千万ユーロ。もちろん銀行からのクレジット。このクレジットを可能にするためと、来シーズン年間予算の赤字を作らないために選手たちの年俸引き下げ作戦がおこなわれている。その犠牲となっているクルービーだけれど、この問題だけはラポルタ旋風もただの空っ風となってしまう。ガスパーがやらかしてくれた空前絶後の契約内容は誰にもどうしようもない。ガスパー家孫の代まで“おじいちゃんがやったトンマな契約”として伝えられることになるだろう。
(03/07/01)