2003年
2004年
1月

こいつはハンパじゃねえぞ

とある一般紙のスポーツ欄で、アランダという選手のことを見開き両面を使って紹介していた。アルバセテの白ゴリラ似のデランテロ、カルロス・アランダ選手、まだ23歳だけれどその人生は濃い、とてつもなく濃い。

非常に長文なのでかいつまんで紹介すると、彼の父親は彼が物心つく前にどこかえと消えちゃってる。親戚の人が言うにはフランスあたりにいるらしいが、まあ、そのことはアランダにはまったく興味がないことのようだ。そして彼の愛した母親は、彼が9歳の時に他界している。生前はヤク漬けの生活に明け暮れ、結局は薬とサヨナラできずに癌で死亡。その後、アランダは親戚にあずられて今日まで来ている。

マラガ生まれでマラガ育ちの彼は、海岸でボールを蹴って遊ぶ毎日をおくる。学校にはもう行かないで海にばかり行っているアランダは、ボールを蹴るだけではなく海に潜ってタコをとり、それをレストランに売って生計をたてるしっかり屋でもあった。もちろん普通の子供みたいに単純な生活とはならない。ドラッグも待ち受けているし、喧嘩も待ち受けている毎日。それでもグイ〜ンとは曲がらない人生でもあったようだ。15歳の時にできた彼女に送りものをしたい一念でバイクを盗み、それを売り飛ばそうとするが、そこでお巡りさんにガッチンコ。盗んだ動機を説明し、一晩臭いメシをくっただけで解放。これが唯一の警察沙汰だという。

そしてマラガの地方クラブでプレーしている彼を見つけたのがデル・ボスケ・スパイマン。さっそくマドリッドに連れて行き、メレンゲカンテラとなる。ちなみにメレンゲカンテラにはバルサみたいなマシア寮というのがなく、売春婦が多い地区の一角にあるペンションを利用して子供たちを泊めさせている。したがって彼もこのペンションで過ごすことになる。メレンゲカンテラのお坊ちゃんたちは、この目の鋭いドスの利いたしゃべり方をする青年には一目を置いていたらしい。同年代の人でありながらどうも違うな、そういう感じだったんだろう。

何年か前にバケーションでマラガに戻ったとき、仲の良かった友達たちが作るグループと対抗グループとの喧嘩に遭遇し、彼の目の前で幼少の時からの親友がドスで刺され死亡するいう経験も持つ。いずれにしても喧嘩は強そうだ。彼と仲のよかった友達はほとんどが刑務所暮らしをしている。それでも彼だけがグレずにすんだのは母親を愛していたからだし、そしてフットボールがあったからだと語るアランダ。
「もし今でも母親が生きていたら自分の力で絶対にクスリをやめさせることができたと思っている。それだけが残念でしょうがない。自分が母親にできる唯一のこと、それはゴールを決めたときにそれを空にいる彼女に捧げることだけ。それだけだけど、そのためにフットボールをやっているんだ。」

なかなか、いい話し。でも次の試合ではお母さんへのプレゼントは休んでもらっておこう。
(04/01/31)


久々のレシャック

「ラポルタは、本職である弁護士としての客であったクライフを今回の新政権の“頭脳”として雇った。その“頭脳”であるクライフは自分からは動きたくないので彼の“手足”としてチキ・ベギリスタインを指名した。監督にはフラン・ライカー獲得を“助言”することも忘れなかった。チキは選手としてはクアレスマを獲得、コーチとしてエウセビオを口説き落とした。そのエウセビオは実践的な選手としてマリオを獲得することを要求した。ラポルタの親友であるサンドロ・ルセーはロナルディーニョをメディア的クラックとして連れてきた。そして会長のラポルタも負けていない。会長選挙前からルストゥ獲得を公約してんだからな。そして最後にクライフに戻り、今度はダビッツ獲得を“助言”し結局そのとおりになってしまった。つまり今のバルサはスポーツ・ディレクターとかスタッフ・テクニコが話を煮詰めての将来のチーム作りのための補強選手獲得路線というのはなく、それぞれがそれぞれの趣味で集めているようなもんだ。だがね、それでもラポルタ政権は大勢のソシオの投票によって誕生したんだから、彼らには時間を与えると共に周りのバルセロニスタも暖かく見守っていかなければならないよ。」
と語るレシャック。

そして元FIFAエージェントにして前会長候補でもあるミンゲージャも黙っていない。
「ラポルタが会長選挙のときに公約したことはほとんど実行されていないじゃないか。ベッカム獲得なんて言っていたが実際は来るはずなんかなかったんだ。ルストゥの代理人とベッカムの代理人は同じ人物で、ルストゥを獲得する際の条件としてベッカム獲得を臭わせる発言の許可を得ただけの話しさ。ユニに1千万ユーロ以上提供する会社を見つけてどうのこうの言っていたが、それも実現していないどころか候補会社も現れてはいない。結局、クラブが抱えている借金を返済する方法としては、選手の年俸引き下げやアボノソシオの会費を40%も値上げしたぐらいのものだろう。それだったら誰が会長になってもできることさ。まあ、それでもラポルタ政権は大勢のソシオの投票によって誕生したんだから、彼らには時間を与えると共に周りのバルセロニスタも暖かく見守っていかなければならないよ。」

「彼らには時間を与えると共に周りのバルセロニスタも暖かく見守っていかなければならないよ。」
そう思うんだったら少し静かにした方がいいんじゃないかい、と思うのはシロウト。バルサはいつでも外野が楽しめるクラブ、これは会長がかわろうが監督がかわろうが誰がかわろうが関係なく存在し続けるバルサ名物。時にはカンプノウでのフットボールよりスペクタクルで面白い。1月のこの時期に流れる来シーズンからの加入選手の噂、例えばラファエルだとかトーレスだとかレージェスだとかエメルソンだとか、そういうメディアの“願望予想”も楽しみの道具の一つにしか過ぎないし、それで楽しめる人は思いっ切り楽しんだ方がいい。フラン・ライカー・フットボールはちっとも楽しくないからね。
(04/01/27)


やはりアナキーかな

グチャグチャな状態になっている本棚から足下に一冊の本が落ちてきて、それを拾い上げたら“私のフットボール選手と私クライフ”というタイトルの本だった。これは今から10年前に出版された本で、クライフが一緒にプレーした選手や監督として起用してきた選手、あるいは他のクラブの興味ある選手に関して触れている内容。それをペラペラとめくっていたらフラン・ライカーに関して分析しているページがでてきた。クライフがアヤックスの監督をしている頃の選手フラン・ライカー、そしてミラン時代の彼に関しても触れている。これがなかなか面白い。

「アヤックスからなぜ彼を追い出さなければならなかったか、それは簡単な理由からだ。フットボールチームを11人で構成する場合、それぞれ一人一人の選手が最低の約束事を守らなければならないことは当然のこと。だが彼は監督の私が要求することには聞く耳を持たず、常にアナーキーなプレー態度を見せていた。何回も対話を持ち、いつも同じ要求を繰り返さなければならない。それでも彼は馬耳東風という感じで聞く耳を持たないんだな。彼の契約を破棄する前に最後の会話を持ったときに言ったこと、それは、もし良い選手と呼ばれたいのならボールを奪うのを同僚の選手がやってくれるのを待つのではなく、自分でそういう仕事を進んでしなければダメだ、そういうことだった。だが彼のプレー態度は相変わらず身勝手なものだった。したがって我々は彼を退団させることに決めたんだ。」

「ミランを退団になったときも決して驚いたりしなかった。彼がチームからでていくことで喜んだ選手も大勢いただろうと思っている。チーム内の規律や結束をどこよりも要求するミランのようなチームだし、彼のプレー態度に不満を抱いている選手が何人かいたという話は前から聞いていたからね。それでも彼と私のグランド外での関係は今も昔も変わっていない。彼は私を尊敬し、私も彼を尊敬している。言ってみれば、仲のいい古い友人という感じかな。」

フムフム、監督から見るとアナーキータイプだったフラン・ライカー選手。現役時代に一匹狼のような存在だった選手が監督という立場になるとフツーに変身しちゃうことはよくあることだけれど、フラン・ライカー監督にしても、クラブに対する“忠誠と献身”や“チーム一丸”となっての戦いを要求しちゃったり、常に“相手のボールを奪う”プレー態度を要求しちゃっていたりして。もっとも、チームそのものは非常にアナーキーな戦いをしているし、そういう彼を分析している著者だって、選手時代と監督時代では相当の違いがあるようですが。フッシギ!
(04/01/24)


シロウトはクロウトに厳しいのです

うちの掲示板によく書き込んでくれる方が「掲示板では長くなる」というのでメールにしてある人が書いた文章を送ってくれました。それはスポーツナビというHPの中で木村さんという人が書いている「誘惑と憂いのスペインサッカー」というコラム。ビルバオ戦に関するバルサを題材としているものでした。

彼の感想に関しては、まあ、どうでも良く、例えば10万ソシオが10万個の感想を持っているのと同じようなもので、それはそれで尊重しておりますので文句をつける所存は御座いません。でも事実と事実経過が違っちゃうのは問題。うちみたいなシロウトが勝手にやっているHPなら何をしようが何を書こうがどうでもいいことでしょうが、コラムを書くとことでお金をもらっている人は正確な事実と事実経過には気をつけなくてはいけません。

ダビッツをなぜとったのかという質問に沈黙してしまったフラン・ライカーについて書かれている。木村さんという方はどうやらサラマンカ在住の方だから全国テレビのスポーツニュースでそのシーンを見たのだと思われるが、たぶん嫌らしい“編集”に騙されてしまったのだろう。あの記者会見は最初から最後まで30分間見ていたけれど、フラン・ライカーはあの質問の意味がわからなくて最初沈黙してしまっただけで、その意味がわかってからは「バルサの必要な選手だから」とはっきりと答えていた。でもこれはマドリ系全国放送に騙されたのだろうからしょうがないと言えばしょうがない。

またビルバオ戦でのバルサは4−2−3−1じゃなくて4−3−3。この試合どこでご覧になったのかは分からないけれど、少なくともカンプノウの上の方から見ていればすぐわかる4−3−3システム。しかもダビッツは右側にいたんではなくて左側です。どちらかというと左インテリオールという感じかな。

ダビッツのプレゼンテーションがおこなわれたのが先週の初めで、ビエリの話しがでたのはその週の木曜あたり。しかもビエリがバルサに来たがっているというコラムをムンド・デポルティーボに掲載したのはクリスティーナ・クベロという女性ジャーナリストで、イタリアとアルゼンチンに強い記者だけれど、逆にそれだけその国のメディアにも影響されやすい記事を書く人で知られている。しかも、ビエリを断ったあとにダビッツを獲得したわけではないんだなあ。

ある暇人のソシオが去年1年間にバルサ移籍の噂に上がった選手数を毎日毎日チェックしたそうな。新聞、テレビ、ラジオ、すべてをできる限りチェックしたという暇なその人によれば、その数なんと186人。ビエリはその186分の1の選手にしか過ぎなかっただけということを、木村さん、ご存知でしたでしょうか?

今日は久しぶりにカピタン言いたい放題コーナーでした。
(04/01/21)


102試合連続勝利

インファンティルAというカテゴリーはヤゴだとかボージャンという子供たちがいるカテゴリー。今シーズンも快調に飛ばしている彼らは先週の土曜日にエスパニョールと対戦するまで14試合14勝利、107ゴール、4失点という驚異の数字を残している。しかしエスパニョール・インファンティールAも負けておらず、彼らもまた14試合14勝利。だが得失点差でバルサが1位をいっていた。一試合だけ風邪をひいて休んでいるボージャンは13試合で47ゴールを決め、今のところリーグ戦の得点王にもなっている。

インファンティルAの監督を務めているのはまだ青年といってもいい感じのセルジ・ロベラ。たぶん、20歳チョイといったところだろう。彼はシーズンごとに、まるでカンテラ選手のようにカテゴリーをあげて監督を務めてきている。つまり早い話が、これまで今のメンバーであるヤゴやボージャンたちと常に一緒のチームにいるということになる。そして彼の残している成績、同時にヤゴやボージャンたちが残してきている成績、それは102試合連続公式戦勝利というものだ。ヤゴもボージャンも、そして監督のロベラも102試合続けて勝利している。

だが記録は常に終わりをみるものである。エスパニョール・インファンティールAとのこの試合、彼らは1−2という結果で敗戦した。同じ年齢の子供たちとは思えないほどフィジカル面に優れているエスパニョール・インファンティールAの選手たち。ほとんどすべての選手たちがバルサの選手より大きい。テクニック的には優るバルサだがフィジカル面では圧倒的な差があった。ヤゴのスペクタクルはゴラッソがあったのがせめてもの救い。さあ、また記録を作り直そう。

この試合がおこなわれたミニエスタディはバルサBやCの試合でもなかなか実現しない4千人という観客で埋まっていた。子供たちの試合とはいえ、エスパニョールの子供たちがでてくると容赦ないブーイングが飛び交う。汚いファールをする選手にはそれこそいい年した大人からの罵声が飛ぶミニエスタディ。すでにこの時代からライバル意識を体に染みこませる子供たちだ。ただ大人たちのチームと違う微笑ましい光景は試合終了の笛が鳴ると、選手全員とコーチングスタッフ全員がグランド中央に集まってそれぞれを讃えあうところだ。ライバル意識はあっても憎しみなんぞはないという、いい光景。これだからミニエスタディの試合はたまりません。
(04/01/19)


バルサは調整工場か

オランダ人選手にとってバルサというクラブが“カタール化”しているとまでは言わないものの、ユーロ2004に向けた調整工場となってしまっていることは確かだ。ジオがバルサにレンタルで来たときに彼ははっきりとユーロ2004の代表に選ばれたかったからと発言しているし、今回のダビッツにしてもユーベで出番がない現状では代表にも選ばれない可能性が出てきたから、それが少なくてもバルサに来た理由の一つとはっきりと発言している。

マリオという、いまだにマシアの練習場通いより病院通いの方が多いレンタル選手が将来どうなるのかは別として、ジオにしてもダビッツにしても今シーズン限りのレンタル選手。ジオは来シーズンにはアーセナルに戻る可能性の方が多いだろうし、ダビッツにしてもバルサに残る可能性は非常に少ない選手だと思う。ユーベとの契約が今シーズン限りで切れる彼にとって、来シーズンからプレーするクラブは現役選手最後をかけた“年俸を最も多く支払ってくれるクラブ”でなくてはならない。そして彼とバルサが結んだ契約は次のようなものだ。今シーズンが終了した段階でレンタル契約が切れることになるが、もしバルサが来シーズンも計算内の選手として考えた場合、他のクラブからのオファーと同じ額を提供すればダビッツは残らなければならない。もし同じ額でありながらも他のクラブに行く場合は多額のペナルティーをバルサに支払わなければならないというものだ。ローマとの仮契約がすでに済まされているという噂はかなり前からあったし、インテルも彼に興味をしめしているという。彼の年齢を考えれば次の就職先がすでに決められていると考えてもおかしくない。果たしてバルサがイタリアのクラブのオファーと同じ年俸を支払うことができるかどうか。もし経済的に可能だとしても“変革”を目指しているラポルタチームのフィロソフィーが高額な年俸を31歳の選手に支払うことを許さないはずだ。

それでもバルサのためにしっかりと残りのシーズンだけでも仕事してくれればいい。ジオのどこがナバーロやオスカー・ロペスより良いのかいまだにわからないけれど、それでもこれまでの彼を見る限り決してケガを恐れて手抜き(足抜き?)するタイプの選手ではないようだ。それはたぶんダビッツにしても同じだろう。彼らにしてみれば、全力をだしてプレーしなければユーロ2004の代表にも呼ばれないという事情もあるだろう。いずれにしても半年だけの選手とはいえ、バッチシ仕事をしてくれればいい。ワールドカップ開催年シーズンのかつてのロマリオやリバルドのように、年が明けた途端に何だか中途半端な選手に変貌してくれなければいい。とりあえず半年だけバルセロニスタになってくれればいい。
(04/01/16)


ユニがよくお似合いで

サンドロ・ルセーが最後まで一人反対したダビッツ獲得案だが、やはり彼もまたバルサ理事会という組織の中の一人の人間であり、しかも親友であると同時にクラブ会長でもあるラポルタを全面的に支持していかなければならない立場にもある人物、したがって最後にはことを丸くおさめる形で折れてしまった。決まったあとはさすがに行動は素速く、ダビッツ獲得交渉役となってトリノに行っている。彼の交渉術は副会長時代のガスパーのそれに優るとも劣らないらしい。

ヨーロッパのクラブの中ではチェルシーに続いて2番目の資金額を投資し、と言うことはスペインのクラブの中では一番と言うことだが、7人の補強選手を獲得したラポルタ新政権。同じシーズンのその冬に、再び補強をするということは夏の補強作戦に大きな誤りがあったことを認めるようなもの。だから当初、ラポルタも冬の補強はないと言い続け、チキもそれに従っていた。だがマーケットが解禁となってから少々事情が変わってきてしまった。チームは散々な成績であり、もし今の監督がフラン・ライカーという名前ではなくバンバンという名前だったらとっくのとうにサヨナラとなっていてもおかしくない状況。でもラポルタ新政権の目玉商品の一つであるフラン・ライカーだからして、そうは簡単に首は切れない。

「会長就任時の約束通り、二人目のメディアクラックを獲得することに成功した」と、まあ、冗談のようなことを平気で語るラポルタであり、またオランダ人選手が増えましたが、という質問に対して「国籍は問題ではなく入団する選手の質の問題だ」とまで語るにいたっては笑止千万。この人、よほど記憶力がないのか、図々しくできているのか、そのどちらかだ。かつてエレファン・ブラウというヌニェス政権の野党として吠えまくっていた頃、ラポルタらが最も強く批判したことは“多数のオランダ人選手入団によるチームのアイデンティティーの欠如”だった。それからわずか数年もたたないうちにこの変わり様だ、まいっちゃう。

でもそうなんだ、今のラポルタが言うとおり国籍なんか問題じゃない。オランダ人だろうが中国人だろうが、そんなことはどうでもいい。問題は、フェレールを決して越えることができなかったオランダ人レイジゲルや、ナダールを決して越えることができなかったオランダ人ボガルデや、ルイス・エンリケの足下にも及ばなかったフィンランド人リトゥマネンや、年俸の十分の一の仕事もしていないオランダ人オーベルや、いまだにセルジを決して越えることができていないオランダ人ジオなんかを連れてきたことにある。

ダビッツが誰の代わりに、誰を乗り越えるために来たのか、それをはっきりと言わないところがフッシギ監督らしいところだけれど、それにしてもと思うのは、初めてバルサのユニに袖を通したばかりの選手であるにも関わらず違和感がまったくない選手だこと。今度は当たりでありますように。
(04/01/13)


バルサC

バルサ・インフェリオール・カテゴリー、それは下は最年少の選手がプレーするベンジャミン・カテゴリーから上はバルサBカテゴリーまであるわけだけれど、いわゆるカンテラ選手がそのインフェリオール・カテゴリーの中でとりあえず目指すのはバルサB所属の選手になること。そこで初めてバルサ一部選手への道が開けるというか、その道にたどり着ける可能性が得られることになるからだ。

そしてバルサBの下にはバルサCという、現在は三部リーグに属しているチームがある。かつてバルサBが二部Aカテゴリーに上がれるかどうかというときに、このバルサCチームも二部Bカテゴリーへ昇進可能という時期があったのだけれど、バルサBが結局上のカテゴリーに上がれず二部Bカテゴリーに残ってしまったため、せっかく三部リーグ優勝という快挙を遂げながらもバルサCはそのままカテゴリー上がれずじまいとなったことがあった。

まあ、それはどうでも良いとして、このバルサCというチームは何となく中途半端な感じ。なぜならこのカテゴリーのすぐ下にあるフベニールの優秀な選手はこのバルサCを通り越して直接バルサBに行っちゃうことが多いからだ。つまり将来性があると思われる選手はここを飛び越してバルサBに行っちゃう。じゃあ、将来性が感じられない普通の選手のハキダマリかというとそうでもない。

このバルサCに今レオ・メッシーとリエラがフベニールAから、そしてバルサBからアルフィーがそれぞれ助っ人として駆けつけている。今シーズンは最低の出来のバルサCは彼らが助っ人に行くまで最下位街道をばく進中でカテゴリー維持がヤバイ感じとなっていた。そこで彼ら助っ人参上となった。そして彼らが来てから3試合経過、何と3連勝で順位もだいぶ上がってきている。中でも、レオ・メッシーの活躍は恐ろしいものがあり、昨年の最後の試合ではハットトリックを決めて逆転勝利の原動力となった。彼は今シーズンこのままバルサCで助っ人として残り、来シーズンはいよいよバルサBだ。
(04/01/10)


クライフって何者?

バレンシア三人衆(バラッハ、アルベルダ、アイマール)の獲得を“助言”したのはヨハン・クライフ。ベッカムよりもロナルディーニョよりも誰よりもこの三人衆の獲得を優先するべきだとジョアン・ラポルタとチキに“助言”したものの、クラブ理事会は天文学的な数字の前にギブアップ。そして最終的にやって来たのがロナルディーニョだ。サンドロ・ルセー一人の力で彼を連れてきたと言っても大げさではないし、もちろんクライフとは何の関係もないヒット商品だ。ちなみにこれまでクライフがロナルディーニョのことに関して褒め称えた発言を聞いたことがない。まあ、それはいい。

直接クラブに何らかの形で入ることを拒否し、外部からの個人的な“助言”をラポルタやチキに授け、それから出された結論には責任はとらない。もちろん結果にも責任は持たない。“助言”はあくまでも“助言”に過ぎず、その“助言”を生かすも殺すも現場にいる人々の責任だというのがクライフの考えだ。成功すれば「前からいつも言っているように」で始まるいつものコメントが出されるし、不成功に終われば、そう、もちろんコメントなんぞ出やしない。それは、彼とは関係なかったことなんだから。そういうクライフをラポルタは“クラブの重要な財産”と持ち上げ、チキは“貴重な経験、貴重な意見の持ち主”とし、“我々の師”としてフラン・ライカーは両手をあげて歓迎する。まあ、これもいい。

セルタ戦の後にクライフが選手控え室に下りていったことが話題になった。メディアにすっぱ抜かれたその行為が問題になったとき、チキは「我々に挨拶に来ただけ」と言い「クライフはいつでも選手控え室に入れる権利がある」とまで語っている。フラン・ライカーにしても同じようなことを語っていた。だが待てよ、選手控え室というのは選手だけの特別な空間だったんじゃあないかい、そう語ったのはかつて監督をしていた頃のクライフだったんじゃなかったか。これは、どうでもよくない。

そのクライフがダビッツを獲得すべきだと語る。それも大勢のメディアの前で語る。ダビッツが来るかどうか、それでクライフとラポルタ理事会・チキ・ライカーの関係の“密度”がわかるってもんだ。
(04/01/06)


奥の深い監督です

しかしそれにしてもフッシギ・ライカーさんってのは、その名の示す通りよくわからない監督だ。これほど毎日のように記者会見に顔を出してくるようなサービス精神旺盛な監督もいなかったし、おまけに言うことがこれほど一貫していない監督もいない。

「マルケスは足が遅いからセントラルではなく守備的なピボッテとして起用していきたい」って言ったかと思うと、「彼を守備陣のリーダーとして期待している」と言ってみたり、それじゃあ彼を起用してきたかというといつも控えだったりする。「ビクトルをかえるつもりはない」とメチャクチャ点を入れられてしまったマラガ戦の後に言ったかと思うと、それからしばらくして「ツキのあるルストゥを起用する」と、まるで雀師みたいなことを言ったりする。

アンダー20代表で活躍したイニエスタやセルヒオは「将来性あふれる選手だから大事に起用していきたい」と言いながら、試合に招集さえしないで平気な顔をしてみたり、これまでまったく計算外だったオラゲールを「アンデルソンの代わりとして考えている」として他のクラブからのレンタルオファーを断ったりしている。でもよく考えてみると、アンデルソンっていう選手はこれまで招集さえされていなかった選手だったりして。

そして昨日の試合は意外性の固まりのフッシギ・ライカーここにあり、そういう感じの試合になってしまった。セビージャ戦以来試合に出ることもなくまして招集さえされていなかったセルヒオがスタメン、そして同じく招集外選手だったイニエスタもおまけにスタメン。セントラルにはマルケスを置き、ツキのあるルストゥはそのままだからサビオラが外国人枠でスタメン出場しない試合となった。そしてさらに驚くことにエストレーモさえ起用することなく、システムそのものもかえてしまった。これまで干されていたルイス・エンリケもスタメンだ。

これで結果がでればメデタシメデタシ、でも結果がでなければ???の監督となってしまう。勝てば“状況判断に優れた思い切りのいい監督”となったところだろうが、負ければ“いまだにシステムも11人のスタメン選手固定もできていないチームの監督”となるんだから。だが、せめてもの救いはイニエスタとセルヒオが他の誰よりも目立ったこと。不思議な監督のことだから、次のリーグ戦では彼らの出番がまたなくなるんだろうけれど。

そしてこの監督の何よりも奥の深い謎じみたとことは、もうシーズンが半分を終わろうとしているのに、次の試合のポルテロはおろかセントラルやピボッテやデランテロが誰で、しかもシステムがどのようなものになるかいまだに予想できないことだな。
(04/01/05)


フットボール7

今回で13回目を迎えるカナル+主催の“トロフェオ・インテルナショナル・フットボール7”の大会。インファンティル・カテゴリーのチームが参加しているから大体12〜14際ぐらいの子供たちによる7人フットボール大会だ。10チームが参加しAとBの2つのグループに分かれて総当たり戦をおこない、それぞれのグループの1位チームが他のグループの2位と戦い、勝利した方が決勝戦に出場することになる。

Aグループにはレアル・マドリ、マンチェスター、レバクーゼン、レアル・ソシエダ、ラス・パルマス、Bグループにはバルサ、インテル、アヤックス、PSG、At.マドリのそれぞれ5チーム。Aグループはレバクーゼンが全勝でダントツ1位、2位にはレアル・マドリを抑えてレアル・ソシエダが入った。そしてBグループはバルサが2勝1敗1分けという結果ながらインテルを上まわって1位、そしてインテルが2位。準決勝ではバルサがレアル・ソシエダに楽勝し、インテルが予想に反してレバクーゼンを敗って決勝進出。というわけで、バルサとインテルという決勝戦になった。

くーまん04が掲示板に詳しく書いてくれているように、バルサはこれまで4回も決勝戦で負けている。それもすべてレアル・マドリに負けるという、胸くそが悪くなるようなタチの悪い敗戦。だが、今回は幸か不幸か彼らは決勝戦に出場できなかった。バルサにいよいよチャンス到来、そういう感じで初優勝を期待。そして決勝にしては接戦と言うよりかなり実力差が見られての楽な勝利に終わった。

この大会を見ていつも思うのは、このくらいの年齢のチームにしてすでにチームカラーができあがっていることだ。アヤックスは大人のアヤックスのようにボールを回して攻撃を組み立て、インテルは大人のインテルのようにカウンターアタックを狙い、そしてバルサはバルサらしくディフェンスからボールを出しての攻撃が多くなる。

クラブカラーというか、チームカラーというか、とにかくそういうものを知りたかったらこういう大会を見るのが良い。今のカンプノウで試合するバルサなど見ても“カラー”が何色なのかぜんぜんわからないことが多いから困っちゃう。
(04/01/02)