2005年
2006年
4月

フベニル・カデッテカテゴリー
(06/04/28)

■フベニルA(第30節)■
バダロナーバルサ
1−2

優勝を決めたこの試合で2人のキラキラ星が同じグランドに立つことになった。1人が16歳のジョバニ、そしてもう1人が15歳のボージャン。来シーズンがスタートする9月にはすでに17歳となっているジョバニはバルサBで、そして16際となっているボージャンはフベニルAでスタートするだろう。そして彼らの最終的なプレー場所は、もちろんカンプノウだ。

■フベニルB(第29節・第26節)■
リコー・プレミアーバルサB
3−1
バルサBーカンブリルス
4−0

シーズン終了に近づいてきたこともあり、これまで雨や雪のために中止延期となった未消化試合が各地でおこなわれている。バルサBの未消化試合は第26節のカンブリルスとの試合だったが、これを今週の火曜日におこない4−0で勝利している。だが先週末のアウエーでの試合では良いところなく敗北、この段階では4位にまで落ちてしまっていた。

未消化試合を消化し勝利したことでどうにか3位に戻れたバルサB。リーグ優勝は夢の夢となってしまっているので、唯一の目標は3位以内に入りカタルーニャカップ参加権を獲得することだ。調子が決して良いとは言えないチーム事情だが、それでも楽しみが一つある。それはカデッテAチームからヤゴとアンリックがこのカテゴリーに昇格しプレーしていることだ。ボージャンには少し差をつけられた感じだが、そんなことは気にすることはない。彼らには間違いなく才能があるし、焦らずマイペースでカテゴリーをあげていけばいい。ちなみにカンブリルスとの試合ではヤゴが4点目を決めている。

■カデッテA(第29節)
マタローバルサ
1−4

消化試合を消化中。

■カデッテB(第27節)■
マンレッサーバルサB
1−3

このカテゴリーでも中止延期となった未消化試合が何試合かおこなわれている。バルサBにとっては首位を争うことになっている注目のオソーナは先週2試合を済ませようやく同じ消化試合数となった。結果は1勝1分け、したがってバルサBに1ポイントの差をつけて首位にたつことに成功した。シーズン終了まで残り3試合、バルサBにとってはすべてが決勝戦であり1つも負けることは許されない。

ちなみにオソーナのアドリア・セラーレスという、個人的には見たこともない選手だが、その彼の獲得をめぐってエスパニョール、レアル・マドリ、そしてバルサが争っていたらしいが、どうやら来シーズンから我らがバルサにやって来ることが決まったようだ。

*順位表は「試合日程・順位」から


ボージャン、7シーズン889ゴール
(06/04/27)

ボージャン・ケルキック、ポジションはデランテロで身長169センチ体重62キロ、1990年8月28日生まれだから今のところ15歳。今シーズンはカデッテA所属選手としてスタートし、クリスマスあたりのシーズン途中でフベニルBでの試合に出場する機会が多くなり、そしてシーズンが終了する時点ではフベニルAチームでプレーしている。今シーズンが終了した段階で彼にとってバルサの選手としての7シーズン目が終了し、ベンジャミンカテゴリーから始まった彼のゴール記録数は何と889ゴールに達している。単純計算でいけば1シーズン127ゴールを決めていることになる。もちろんバルサインフェリオールカテゴリー史に残る数字だ。

彼にとっての889ゴール目、それはフベニルAチーム選手として初めて獲得したゴールであり、このリーグ最終戦での劇的なゴールによりフベニルAチームをリーグ優勝に導くことができた貴重なゴールでもあった。カデッテA選手からフベニルB,そしてフベニルAチームへと1シーズンで移っていった経験について次のように語るボージャン。
「正直言ってあまり違いを感じることもなかった。確かにカテゴリーが上に行くほど相手選手の当たりが強い感じがした。でも、自分のプレースタイルというのは相手選手との接触で勝つと言うよりは、接触する前に抜き去ることだからあまり気にならなかった。来シーズンはどこのカテゴリーでプレーしたいかって?自分としてはどこでも良いんだ、本当に。バルサのユニを着てプレーできればどこでも良いんだ。だって、そのことが自分にとって一番好きなことであり大事なことなんだから。」

さてフベニルAチームが最終戦で勝利し優勝が決まった翌日、さっそくコパ・デ・チャンピオンズの抽選会がおこなわれている。コパ・デ・チャンピオンズ、つまりフベニルカテゴリーのスペインチャンピオンを決める大会だ。このカテゴリーはスペイン全国を6つの地域に分け、それぞれ1年間にわたってリーグ戦を戦い地域チャンピオンを決めている。地域別チャンピオンは次のようになっている。
■グループ1 バジャドリ
■グループ2 サラゴサ
■グループ3 バルサ
■グループ4 ベティス
■グループ5 レアル・マドリ
■グループ6 ラス・パルマス
この6つの優勝チームを2つのグループに分け、それぞれ総当たり戦をおこないグループ優勝チーム通しで決勝戦をおこなう。5月1日から7日までレオンという町ですべての試合がおこなわれる。

そして抽選の結果、それぞれのグループは次のようになった。
■グループA
レアル・マドリ、バルサ、ラス・パルマス
■グループB
サラゴサ、ベティス、バジャドリ

優勝候補の名が高いバルサとレアル・マドリが同グループに入っている。まず5月1日にマドリ対ラス・パルマス戦がおこなわれ、バルサの初戦はその敗者チームとの試合だ。そして5日にレアル・マドリとラス・パルマス勝者との試合をバルサがおこなう。グループBも同じようなスタイルで試合をおこない、それぞれのグループ首位チームが7日に決勝戦を戦うことになる。だが、残念ながらボージャンはこの大会に参加できない。なぜなら彼はスペインアンダー17代表に招集されてしまっているからだ。弱冠15歳という、代表チーム選手の中にあって最年少で参加が決まったボージャン。この大会については開催が近づいてきたら触れてみよう。


第33節 予想外の勝利
(06/04/26)

バダロナーバルサB
0−4

これはまさに予想外の勝利と言える。バルサBにとってはアウエーでの試合、しかも彼らを待ち受ける相手は首位を走るバダロナという強豪チーム。そもそもチームの勢いという観点から見てもバダロナは4連勝という勢いでバルサBを迎え、一方のバルサBと言えば地元ミニエスタディで敗戦をした次の試合となっていた。したがってどう考えてもバダロナが有利な試合と予想された・・・だが、試合はやってみないとわからない。90分の間には色々なことが起きるものだ。

首位を走るバダロナは地元での試合なのでボール支配を試みようとしていた。だが、そこはバルサB、いつものように圧倒的なボール支配率を持って戦いに挑んでいる。必然的にカウンタアタック狙いとなるバダロナだが、実力的にはバルサBの方が優っている感じで、決して首位のチームとのアウエーでの試合という雰囲気を感じさせない。前半終了間際、シト・リエラのゴールによって先制したバルサBは後半に入っても更にボール支配率を高めていく。そして再びシトのゴールが決まり試合そのものを決定づけた瞬間、相手チームに1人退場選手がでてバルサBの勝利が間違いないもとのなった。クリスティアン、ジョルディのゴールも決まり0−4というアッと驚くスコアーでバルサB圧勝の巻き。

今週末おこなわれるガスパー元会長が会長を務めておられるサンタンドレウ戦を含めて地元での試合が2つ、そしてアウエーの試合が3つで合計5試合でシーズンが終了する。そして現段階で首位に1ポイント差で4位と近づき、しかも5位のチームとは4ポイントも離れている状況となった。このままならじゅうぶんカテゴリー昇格戦に参加できるぞい。

■FC BARCELONA
Ruben/ D.Fernandez/ Valiente(Pitu 76')/ Olmo/ Pen~a/ Fragozo/ Verdu/ Jordi/ Cristian(Javito 76')/ Sito(Arnau 86')/ Orlandi


第33節 これまた予想外の勝利

カステルデフェルスーバルサC
0−2

10位につけるカステルデフェルスはバルサCより11ポイントも多く獲得しているチームであり、そこの本拠地へ行っての試合だから、この試合も当然ながらバルサCにはあまり勝ち目のないものと思われていた。だが、そう、やはり試合はやってみないとわからない。バルサAチームも圧倒的に優位な立場にあるけれども、ミラン相手にはやはり注意して90分戦わなければならない。

この試合はニュースでも見ていないので具体的なことはわからないものの、ペドロとサストレがゴールを決めているようだ。いずれにしてもこの勝利でカテゴリー落ちラインからはだいぶ遠のいてきた感じ。

■FC BARCELONA
Montero/ Casado/ Martos/ Borrego/ Ismael/ Alberto/ Ramon(Marc 81')/ Sastrel/ Riera(Alex 90')/ Pedro/ Toni(Llamas 86')

*順位表は「試合日程・順位」から

※ちなみに大雨で中止延期となったセビージャ戦をいつおこなうのか、それは次の3つの可能性がある。

●バルサの決勝戦進出に関係なく、セビージャがUEFAカップ決勝戦に進めなかった場合→5月10日決行。

●セビージャが決勝戦に進みバルサが決勝戦に進めなかった場合→5月3日決行、そして36節、37節、38節はそれぞれ5月7日(日)、13日(土)、16日(火)にずれ込む。

●両クラブが決勝戦に進んだ場合→5月3日決行、そして36節、37節、38節はそれぞれ5月7日(日)、14日(日)、20日(土)にずれ込む。


フベニルA劇的な勝利、そして優勝!
(06/04/25)

■最終節■
バダロナーバルサ
1−2

いったい何と形容すればいいのだろう。ボージャン・ケルキック15歳、スペインアンダー17代表に選出されることが決まったこの少年が、95分に勝利を決定させるゴールを、そしてそれは同時にリーグ優勝を決定させる重要なゴールを決めたのだ。バルサカンテラ期待の星であり同僚でもあるジョバニの存在さえも小さくしてしまったボージャンの大活躍を形容する言葉が見つからない。

この試合が始まる前からなにやら怪しげな噂が流れていた。エスパニョールがバダロナに対して報奨金を用意しているという噂だ。それは当事者であるエスパニョール側から流れるという奇妙な噂だった。ある選手の両親がメディアに流した噂だが、いつもの事ながらこの手の噂に物的証拠は見つからない。したがってこの噂も単なる噂として処理されていく。もしエスパニョールが勝利しバルサが引き分けあるいは敗北でもしようものなら、最終節にしてエスパニョールのリーグ優勝が決まる。だがもしバルサが勝利さえすれば、エスパニョールの結果に関係なくリーグ優勝が手に入る最終節でもあった。

前半27分、バダロナが先制。カウンタアタックが見事に決まったゴールだった。まるでチャンピオンズの決勝戦のようにピリピリとした緊張感だけが伝わってくる前半、だがバルサにはゴールが訪れずそのまま終了。一方、エスパニョールの試合は0−0で前半を終了し、ポイント的にはバルサと同じながら得失点差の関係でエスパニョールがリーグ優勝の権利を保持している。もちろんバルサは後半で巻き返さないと優勝できない。そして後半13分、右インテリオールのピトゥに代わりボージャンが登場。それまでプンタをやっていたビクトルが右インテリオールに下がり、ボージャンが9番となる。そして結果的にはこの瞬間からバルサの優勝に向けた総攻撃が開始されることになる。ボージャンがグランドに登場してきてから7分後、彼からのパスを受けたジョバニがゴール前に走る。そしてセントラルの1人が彼に足を引っかけペナルティー。これをジェフレンがしっかりと決めて1−1の同点。この時点ではエスパニョールの方はまだゴールなし、したがって試合終了まで25分というところでバルサが再び首位にたった。だが、その首位の地位が保てたのはわずか5分。なぜならエスパニョールがゴールを決め1−0でリードしたというニュースが伝わってくる。残り20分でどうしてもゴールを決めて勝利しなければならないバルサ。

だが、ゴールはおろかゴールチャンスさえなかなかやって来ない。時間はすでに90分、審判は5分のロスタイムを告げている。91分、92分、93分、94分、そして95分、ポルテロのパウから出されたボールをジョバニが軽く弾いてゴール前に走っているボージャンに。セントラルの1人を抜き去りゴール右寄りに走り込んだボージャンから強烈なシュートが相手ポルテロの右に放たれた。
ゴール!ゴール!ゴール!ゴール!ゴール!
リーグ優勝を決める劇的なゴールが95分にボージャンの右足から放たれた!

「このカテゴリーで初めてのゴールが勝利につながるものとなったのは嬉しいし、この勝利がリーグ優勝となったのも嬉しいし、そして9番としての仕事ができたことが嬉しい。本当に良い経験をしたと思う。」
試合後に興奮しながらそう語るボージャンはこの月曜日からマドリッドでおこなわれるスペインアンダー17代表合宿に参加する。5月1日から14日までルクセンブルグで開催される“ユーロアンダー17カップ”の準備だ。
スエルテ!ボージャン!

■FC BARCELONA
Pau/ Robert/ Jose/ Xavi(David 62')/ Jaime/ Crosas/ Giovani/ Pitu(Bojan 58')/ Busque/ Jeffren/ Victor(Juanjo 84')


正念場です
(06/04/23)

まさに文字通り正念場を迎えているのがフベニルAチーム。日曜日に戦われるバダロナとの試合はリーグ最終戦。そしてこれに勝利さえすればリーグ優勝が決定することになる。同じ時間に試合をするエスパニョールが勝とうが負けようが関係なくバルサの優勝が決まることになる超大事な試合だ。

2位のエスパニョールとの差はわずか1ポイント。彼らは地元にコルネヤを迎えての試合だ。コルネヤは現在11位に控えており、カテゴリー落ちとなってしまう13位のチームとの差は2ポイントしかなく、したがって彼らにとっても大事な試合となっている。だがここはやはりエスパニョールが勝利してしまうことがじゅうぶん予想されるだろう。何と言っても彼らには首位がかかっている試合だし、シーズンを通じて常に保っていた首位の地位を、シーズン終了数試合前にバルサに奪われてしまった悔しさもあるだろう。いずれにしてもエスパニョール勝利と考えるのが常識的だ。と言うわけで、バルサはどうしても勝利しなければならない。

そのバルサはアウエーでの試合となり相手は4位のバダロナ。リーグ順位3位以内に入ったチームだけに与えられる国王杯参加権を得るのは、すでに数字的に不可能となっているチームだ。したがってモチベーション的には優勝を狙うバルサの方が圧倒的に高いのは明らか。それでも難しいアウエーの試合ということには変わりがない。スペインアンダー17代表選手として招集されることが正式に決まったボージャンも招集して最強の攻撃態勢を作るべきだろう。
ちなみに、ボージャンも加わったフベニルBチームはセマーナサンタの期間を利用してイタリアの“ベルガモ杯”に参加している。ユベントス、インテル、サンドリア、フィオレンティーナ、スパルタ・デ・モスクーなどのクラブチームが参加。そしてバルサは決勝戦でルーマニアアンダー19代表チームに1−0というスコアーで敗北し、準優勝チームとなっている。そしてこの大会で得点王となった我らがボージャンは大会最優秀選手に選ばれている。

そしてキケ・コスタス監督率いるバルサBにとっても大事な試合が待っている。相手はフベニルAチームと同じ対戦相手のバダロナ。違うところはこのカテゴリーではバダロナチームは首位をいっていることだ。4位のバルサBとは4ポイント差で首位を保っている。しかも彼らにとって地元での試合。バダロナにしてみれば直接対決となるバルサB戦に勝利し、首位の地位を確保できる大事な試合だ。そしてバルサBにとっては逆の意味で重要な試合となっている。首位のチーム相手の試合に勝利し、少しでもポイント的に近づくことができれば最高。さあ、みんな頑張ってみよう!

バルサAチームは正念場でも何でもないセビージャ戦。下手すりゃ(?)優勝が決まってしまうかも知れない試合だ。だが、ライカー1年目のセビージャ戦はまさに正念場という雰囲気に包まれながらの試合だった。もしバルサが負ければ彼のクビが飛ぶことを多くの人々が予想していたし、ルセーの本を読んでも確かにそれは既成の事実だったようだ。そしてクルービーのゴールで勝利しどうにかこうにかクビがつながったライカーだが、バルセロニスタにとってはとても幸運だったと言えるだろう。バルサ首脳陣たちが自ら名付けた“プランB作戦”、つまりライカー更迭以降のプランのことだが、ラポルタの希望がエスコラリー、ルセーの希望が当時バルサB監督のグラタコスだったっていうんだから、果たして今頃バルサはどうなっていたのか想像もつかない。そしてブラジルコネで名が知られていたルセーだから、エスコラリーの名がメディアに登場したときは誰しもがルセーの希望だと思ったし、ライカーもそう思いこみルセーに対し不快感を抱くことになったようだ。事実は小説より奇なりであります。


号外 リーグ優勝決定を延期要求
(06/04/22)

このサイトではもうかれこれ1か月以上前から、サンジョルディの日のリーグ優勝決定を予想してきた。そして予想どおり4月23日のサンジョルディの日にその可能性が出てきており、バレンシアが引き分けか負けという結果でバルサが勝利すると、リーグ優勝が決定してしまうという事態になっている。だが、それはどうしても避けたい。大事なミラン戦を前にしてリーグ優勝を決めてしまうというのは雰囲気的にヨロシクない。優勝祝賀会もおこなえず、しかも優勝の喜びをゆっくり味わう暇もなく3日後のミラン戦に突入してしまうというのは、健康的にもヨロシクない。バレンシアが勝利してくれれば何の問題もないのだが、ここは一つどうにかして来週のカディス戦で優勝を決定する方向でいきたいものだ。

4月29日22時から始まる地元カンプノウでのカディス戦で優勝を決定し大フィエスタの夜を過ごした翌日、バルサバスケチームがプラハでおこなわれるユーロリーガ決勝戦で勝利するだろう。そして月曜日には昨年のように二階建てバスに乗ったフットボールチーム選手とバスケチーム選手がバルセロナの街を回っての大フィエスタが展開される、これがやはり理想的というものだ。

ミラン戦も考慮したところで、セビージャ戦は下のようなチーム編成で戦うことを提案。本来であるならばバルサBから山のように選手を繰り出したいところだが、彼らも大事な試合が控えているのでロドリだけいただこう。

そして水曜日のミラン戦には次のような感じで戦ってみよう。

さらにアーセナルとの決勝戦は次のようなものが良い。

リーグ戦残り試合が少なくなってきたこの時期、例えばセラ・フェレール時代にはどうにかして4位以内に入ることを必死になってもくろみ、例えばレシャック時代には最終戦でリバルド・チレーナでギリギリ4位に入ることができ、そして例えばバンバン・アンチック時代には“奇跡の4連勝”をしてUEFAカップ参加権を獲得したことを考えれば、今シーズンの悩みは何とまあ贅沢なものでありましょうか。


号外 ミラン・バルサ戦 一夜明けて
(06/04/21)

今シーズンこれまで“バルサ台風”が過ぎ去った翌日に各地で起こった悲惨な状況に見られるように、ミランも多くの被害を被っている。この1シーズンの間に“バルサ台風”によって被害にあったクラブ、それが始まったのはまず“世界最高額のクラブ収入を誇る”レアル・マドリからだ。サンティアゴ・ベルナベウでの0−3という歴史的なバルサの勝利により、メレンゲ軍団は果てしなく沈没していくことになったし、それは最終的にクラブ会長の辞任という事態にまで及ぶことになった。そして“世界最高の金持ちクラブ”であるチェルシー、スタンフォード・ビーチでの勝利、それまで高慢モウリーニョ監督の指揮下、一切の敗北の味を知らなかったスタディアムでのバルサの勝利は、彼らに想像外の被害をもたらすことになった。イングランド内だけではなくヨーロッパにおける成功を今シーズン唯一最大の目標としていたモウリーニョ・チェルシーは“バルサ台風”によって完璧に沈められることになった。そしてミランもまたこれら過去の被害者の例外とはなり得なかった。

「バルサは春を迎えたクラブであり、ミランは秋の終わりという季節に入っているクラブだ」
エル・パイス紙の1人のジャーナリストが表現したこの言葉が、的確にバルサとミランの現状を示している。まだ若い選手で構成されているチームながら大事な試合ごとに熟成度を高め、しかもこれからまだまだ完成度を高められるバルサ、一方のミランはと言えばすでに“旬”は確実に過ぎようとしており、この先彼らを待つのはひたすら厳しい寒さを伴う冬の到来だ。サイクルの変化が具体的に見られたサン・シロでの戦い。そしてその翌日にはミランに対しての厳しい批判がカルッチオメディアからわき上がっている。スタンは来シーズンからアヤックスに移籍することがすでに決まっている。40歳近い年齢を迎えることになるマルディーニ、カフー、コスタクルタの将来はフットボールシューズを脱ぐことから始まるかも知れない。シェブチェンコはチェルシーに、ピッポ・インザギやアンチェロッティの働き場所もミランから遠い場所となる可能性は大だ。スペインの首都にあるクラブと同じようにチーム編成の誤りが高いツケとなってクラブを襲ってきている。

「現在の段階においてバルサはヨーロッパ最強のクラブと言える」
そうベッケンバウアーが語るように、そして多くのフットボール関係者も同じようにバルサを讃えているように、プレー内容を見る限りバルサはヨーロッパ最強のチームを誇るかも知れない。だがこの春を迎えたばかりのチームが“歴史的なチーム”として後世に語られようになるためにはまだいくつかのことを成し遂げなければならないだろう。“歴史的なチーム”になるためには次の三つの要素が必要だからだ。

1.チーム独自のフィロソフィーに沿った戦い方を展開すること。
2.国内において何年か続けてタイトルを獲得すること。
3.ヨーロッパタイトルを獲得すること。

ヨハン・クライフ・バルサ、つまり今で言う“ドリームチーム”が、もし歴史に残るチームだとすれば、それはこの三つの要素を満たしていたからだろう。だが春を迎えたばかりのライカー・バルサが戦いの内容においてヨハン・バルサを超えているとしても、まだそれでも2つの要素が欠けていることになる。つまり国内連続制覇とヨーロッパタイトルの獲得という2つの要素だ。そして今、これらの要素を着実に満たしていく可能性が現在のバルサにあることは間違いない。サン・シロでの戦いで一つのサイクルの終焉をかいま見た多くのフットボールファンが、同時に歴史に残るライカー・バルサの目撃者となるだろう。サン・シロでの戦いからたった一夜明けただけで、新たな歴史が始まろうとしている。


号外 ミラン・バルサ戦 ロンドの夜
(06/04/20)

90分の戦いを通して、多くの興味あるイメージが頭の中に残る試合となったミラン・バルサ戦。だがその中でも、バルサの勝利につながるジュリーのゴラッソを別にすれば、バルサファンだけではなく多くのフットボールファンにとって脳裏に焼きつくことになるシーンは、審判の試合終了の笛が鳴るまでの最後の72秒間だろう。10人の選手によって繰り広げられた22回のボールタッチ、それはベレッティに始まりエトー→モッタ→イニエスタ→ジオ→エドゥミルソン→ジオ→プジョー→マルケス→ボメル→ベレッティ→エドゥミルソン→モッタ→イニエスタ→ジオ→モッタ→イニエスタ→マクシ→エドゥミルソン→モッタ→イニエスタ、そして最終的にマクシにわたって終了した偉大なロンドだった。

サッキ・ミランとヨハン・バルサのそれぞれの良さを取りそろえたライカー・バルサは、攻めることだけではなく守ることも知っているチームと変貌しつつある。相手デランテロのミスがあったものの確実に失点を防いだビクトル・バルデス、最終ラインを強固に固めたカルラス・プジョーとラファ・マルケス、すべての“穴”をふさぐことに成功したエドゥミルソン、そして“偉大な色白チビ”アンドレス・イニエスタが、攻撃だけではなく守備も含めてのチームそのもののリズムを作りだした。同じような仕事を任されたミランのピルロにとって“偉大な色白チビ”の存在はこれまでになく良い勉強となっただろう。どこでスピードを落とし、どこでスピードを上げるか、そしてどのようにボールを回していくか、それがリズムというものだということを“偉大な色白チビ”から教わっただろう。エトー、ジュリ、ロナルディーニョ、という攻撃の拠点を作り出すデランテロたちの存在が“メディア的なバルサ”とするなら、バルサというチームの核となるのがバルデス、プジョー、マルケス、エドゥミルソン、そして“偉大な色白チビ”の5人だった。

アテネの悲劇がいまだに脳裏から離れなかった多くのバルセロニスタにとって、すでにミランに対する恐怖感は消えた。ミラニスタにとって3年間にわたりチャンピオンズの試合で敗戦という言葉を知らなかったサン・シロでの試合。だが、彼らにとって屈辱的とも言える偉大なロンドを目の前にし、バルサに対する恐怖感が生まれた日となったと言っていいだろう。ヨハン・バルサがサッキ・ミランによって一つのサイクルの終わりを告げられたように、今またライカー・バルサがアンチェロッティ・ミランの終焉の鐘を鳴らすことになった。それは後半に入ってベンチから登場したカフーとマルディーニの2人の選手の合計年齢が74歳ということを見るだけで明らかだ。そしてサン・シロに結集した2千人のバルセロニスタにとっては、いつまでも続くことを願って止まないロンドの夜でもあった。


2001年、メッシーとその仲間
(06/04/19)

レオ・メッシーがバルサに入団し、2000−01シーズンにインファンティルAカテゴリーでデビューした映像が最近見つかっている。まだ身長150センチにも満たない小さい少年が大人のようにボールを扱い、そしてこのデビュー戦でゴールまで決めている。2000−01シーズンのインファンティルAチーム監督はロドルフ・ボレル、現在ヤゴなどがいるカデッテAチームの監督をしている人物だ。そしてこのチームは20人の選手によって構成され、共通しているところはすべて1987年生まれというものだった。2005−06シーズン現在まだバルサに在籍する幸運をつかんでいるのはちょうど半数の10人の選手たちとなる。

●ダニエル・プランチェリア(フベニルA・ポルテロ)
●オリオル・パレンシア(バルサC・デフェンサ)
●エロイ・ロブレス(フベニルA・デフェンサ)
●マーク・バリエンテ(バルサB・デフェンサ)
●ルジェー・ジルベルト(バルサC・セントロカンピスタ)
●ホセ・フアンホ(フベニルA・デランテロ)
●トニー・カルボ(バルサC・デランテロ)
●ビクトル・バスケス(バルサC・デランテロ)
●シト・リエラ(バルサB・デランテロ)
●レオ・メッシー(バルサA・デランテロ)

ポルテロが1人、デフェンサが3人、セントロカンピスタが1人、そしてデランテロが5人。カテゴリー分けをすると、フベニルA選手が3人、バルサC選手が4人、バルサB選手が2人、そしてバルサA選手が1人となる。1987生まれとなると今年中に19歳となるからフベニルカテゴリーでプレーできる最後のシーズンとなる。

そしてバルサから消えていった10人の選手のほとんどは「他のクラブで試してみなさい!」という感じで追い出された選手だが、少なくても2人だけは「他のクラブで幸運をつかんでみます」と自らクラブを去っていた選手。セスク・ファブレガス(アーセナル)とジェラール・ピケ(マンチェスター)の2人だ。現在バルサBでプレーしているマーク・バリエンテがかなりの確率で将来バルサAチームに抜擢されるのが個人的な予想、そしてジェラール・ピケがいつかバルサに戻ってくるというのが個人的な願望。セスクは・・・アーセナルで頑張っていればいいだろう。

ちなみにセスクに関しては“スペインのクラブに移籍する際にはバルサに優先権がある”ということを以前に触れている。だが、バルサ側はその事実を認めた上で、つまり優先権を所持することを認めた上で、その権利は行使しないだろうと語っている。そしてそれは非常に正しい判断だと思う。

まず経済的な観点から見てもバルサにとって良い商売とはならない。イングランドから伝わってくるニュースによればセスクの移籍額は2千万ユーロから2千5百万ユーロとされている。試合を決める“クラック選手”やゴールを奪いまくるゴレアドールならいざ知らず、セントロカンピスタにこれだけのユーロを準備するのは愚かなことだ。しかもバルセロニスタにとって、ジェラール獲得失敗劇は未だ昨日の出来事のように脳裏に残っている。一度何らかの理由でクラブを去っていった選手を再び獲得するのは、余程のメリットがない限りおこなうべきではないだろう。そして彼の獲得を高額な資金を出してまで遂行しないフットボール的な理由、それは彼のプレーするポジションは、すでに二人のカンテラ育ち選手によって十分すぎるほどカバーされていることがあげられる。チャビとイニエスタ、この二人がいる限り大金をはたいてまでセスクを獲得する意味がない。そして彼らがいたからこそ、将来を急いだセスクがバルサを出て行ったのではなかったか。いずれにしてもバルサがセスク獲得ブームに便乗するということは愚かなことだ。高額な移籍料が予想される今の段階でその優先権を放棄するということは、少なくとも今のところ非常に正しい判断だと思う。


ビックリ箱エトー
(06/04/18)

バルサBは先週木曜日に試合を済ませ、その結果はすでにニュースとして出しているし、バルサCは試合がなかったので今週はいつものような“試合結果ニュース’がない。そこで“ビックリ箱エトー”について触れてみよう。

去年の11月の初め、エトーに関してのまるで冗談のようでありながら実は本当だったニュースが流れた。サウジアラビアのクラブが12月の1週間だけエトーにレンタルのオファーをだしたというニュースだ。クラブ・チャンピオンズカップに出場するための1週間のレンタル料金が500万ユーロ、このレンタル料金はミランのカカへのオファーと同じものだった。だがエトーやカカの“持ち主”はもちろんそれぞれのクラブだから、当然ながらこのほとんどの資金はクラブ金庫に入ることになっていた。言ってみればこのようなケースにおける選手たちの立場は“派遣社員”に過ぎない。いずれにしてもバルサ、ミランとも最終的にこのオファーを断ることになる。そりゃそうだ、この忙しい時期に大事な選手をレンタルするわけにはいかない。いかに金庫内を豊かにしたくても、メディアやファンが黙ってはいない。

そして今回また同じような感じのニュースが流れている。ニュース元は“アラブ・ニュース・エージェンシー”。ニュースそのものには確かに信憑性があるのだろうが、それが現実化することには個人的に疑いを持っているから、細かいことを説明する気はないものの、おおざっぱに表現するとこうなる。
●レンタルのオファーを出したのはサウジアラビアのクラブであるアル・イティハー(このクラブのオーナーはエトーと“親交が厚い”ことを自慢しているマンソウル・アルバラウイ氏で、2004年の1月に5か月間300万ドルという条件でリバルドの獲得を発表したものの最後の最後でリバルドがヒヨッテしまった)。
●レンタル期間は9月から11月の間の何週間かということになるらしいが、具体的な期間やレンタル料金に関しては今月の27日に当地にやって来るラポルタ会長との最終的な交渉によって決定される。
●“イティハー・アンド・エトー・サッカーアカデミー”というフットボールスクールをカメルーンに設立し、そこで育て上げられた将来性のある選手をアル・イティハーのクラブでプレーさせる。
と、まあ、だいたいこういうことになる。

このニュースに興味を抱いた1人のジャーナリストがこの交渉をおこなうためにサウジに行ったと言われているエトーの動向を追跡している。
“日曜日のサンタンデール戦を終えその日のうちにバルセロナに戻ってきたエトーは、翌日の月曜日の午後にクラブ副会長と共にロンドン・ヒースロー空港に向かっている。そして20時45分、サウジアラビア航空SV116便に搭乗し6時間後にサウジアラビアに到着。すでに日付的には火曜日の早朝となっており、彼はそのままホテルにチェックインし午前中は睡眠をとることができた。そして午後にはクラブ施設を回り、クラブ会長と交渉し、その後記者会見を開くことになる。水曜日の01時50分、サウジアラビア航空SV113便に乗った彼らは06時20分にヒースロー空港に到着、そしてすぐにバルセロナ行きの飛行機に乗り帰国している。火曜日の練習に不参加となった彼に関して「エトーの個人的な理由で休みを与えてある」とクラブは説明している。”

エトーの“派遣社員”案がほんとうにあるのかどうかはそのうちわかるとして、この“追跡レポ”がもし真実をついたものであったとしたら、エトーというのは実にタフな選手だ。なぜならバルセロナに到着した水曜日の昼にはミニエスタディでおこなわれた公開練習に顔を出しているし、それをミニエスタディに集まった6千人のファンが目撃している。しかもその週末におこなわれたビジャレアル戦ではバルサ唯一のゴールまで決めている。エトー、まさに驚きの人だ。いつだったか、どこかとの試合前にホテルにいる彼に対して、ある少女がジェラールを介して一通の手紙を渡しているという“暖かいニュース”として話題になったことがある。手紙の内容に関して細かいことは忘れたが「あなたのような肌色をもった人間に生まれたかった」とか言うものだった。だが後日、ジェラールはこの事実を否定することになる。そしてついこの間のベンフィカ戦では試合中に負傷し、まるでラグビーボールのように足首が腫れてしまいながら90分間プレーしたという“暖かいニュース”が流れたが、そのことを聞かれたデコが「エトーが負傷していたって?そんなことはないだろう。彼は普通にプレーしていたし、試合後も普通だったよ。」と語っている。

何が飛び出すかわからない“ビックリ箱エトー”だが、まあ、そういうエピソードはどうでも良い。ひたすらゴールを決めてくれればそれで良いのだ。ミラン戦もよろしくお願いしますのだ。


第32節 連勝ストップ
(06/04/15)

バルサBーアルファロ
0−1

バルサAチームが金曜日に試合をするなら我々はその前日の木曜日に、というわけではないだろうがセマーナサンタという特別な週ということもあり、平日の木曜日18時30分からミニエスタディで試合がおこなわれている。これまで地元ミニエスタディの試合では6連勝中であり15得点3失点という素晴らしい結果を出しているバルサB。シーズン終了までの残り7試合がすべて決勝戦という感じで戦わなければならない状況にあって、チームの調子はシーズン最高のものとなっている。そしてこの日の対戦相手はすでにカテゴリー昇格とも降格とも縁のない順位に落ち着いているアルファロ。したがって、常識的に考えれば、ギンギンのモチベーションで戦うであろうバルサBの勝利となるところだが・・・残念ながらそうはならなかった。最初の決勝戦に負けてしまった。

この試合にロドリがスタメン出場している。試合開始5時間前までは招集さえされていなかった彼だが、プジョーが金曜日のビジャレアル戦に出場できることがわかった段階でバルサBに戻されている。メンバー的にはほぼベストと言っていいバルサBながら、そして試合開始から相手を圧倒するバルサBながら、どうもゴールが入らない。前半だけでも3回、あるいは4回あった決定的なゴールチャンスをものにできず、そうこうしているうちに相手チームのカウンターにやられてしまう。前半終了して0−1。嫌な雰囲気のまま後半に突入し、そして嫌な雰囲気のまま試合終了。いかにも木曜日開催などという平日っぽい試合ではありました。

ところで、ミニエスタディから5秒歩いたところにあるパラウ・ブラウグラーナでは、このバルサBの試合がおこなわれた日にレアル・マドリ相手のバスケの試合がおこなわれている。この試合に勝利すればユーロバスケのチャンピオンを決める“ファイナル・フォー”への進出が決定する。20時45分から開始されたこのクラシコ観戦に7500人のバルセロニスタが駆けつけた。7500人、つまりパラウ・ブラウグラーナの最大収容人員となる数字だ。ミニエスタディには500人程度しか来ていなかったから、実に15倍のバルセロニスタが来ていることになる。そして試合前、カンプノウ並みの7500枚のモザイクの花が観客席に咲く。雰囲気実に良し、ミニエスタディより圧倒的に良し。そして40分間もつれ合いの試合展開が続きながらもバルサ勝利。これでヨーロッパバスケクラブのベストフォーがプラハに集まりユーロチャンピオンを決めることになる。バルサは4月28日にCSKAモスクーと準決勝を戦い、これに勝利すればマカビ・テレアビブとタウ・セラミカの勝者と30日に決勝戦をおこなう。

■FC BARCELONA
Ruben/ D.Fernandez/ Valiente(Pitu 76')/ Rodri/ Pen~a/ Fragozo/ Verdu/ Jordi(Arnau 55')/ Cristian/ Sito(Javito 61')/ Orlandi

*順位表は「試合日程・順位」から


セラーデスとイバン
(06/04/14)

つい最近“ラ・マシアから”に登場してきた二人だが、奇しくもこの二人の選手たちが今シーズンの国王杯決勝戦を戦っている。セラーデスはサラゴサの選手として、そしてイバンはエスパニョールの選手として、つまりチームこそ異なるものの“キンタ・デ・ミニ”の再会だ。その彼らが最初に国王杯のカップを一緒に手にしたのは1993−94シーズン、まだフベニルカテゴリーでプレーしていた彼らがそのカテゴリーでの国王杯をバルサの選手として獲得している。そしてバルサAチームの選手として国王杯を手にしたのは、バルサにとって今のところ最後の国王杯カップとなっている1998年バンガール時代のこととなる。

セラーデスにとってはこれが5回目の国王杯決勝戦。そして最も痛々しい敗戦はレアル・マドリ時代に経験したコルーニャ相手の決勝戦だ。クラブ百周年を祝い地元ベルナベウでの開催となった国王杯決勝戦。そしてこの敗戦をきっかけとして“ガラクティコ”の果てしない下降が始まった歴史に残る試合だった。
「これまで何回も決勝戦に出場してきたが、それぞれの試合に違う思い入れがあるとはいえ、やはりマドリ時代の敗戦が強烈に印象に残っている。あの敗戦で何かが崩れ始めた感じだった。」

イバン・デ・ラ・ペーニャにとってはこれが3回目の国王杯決勝戦となる。バルサの選手としてロブソン時代に、そしてバンガール時代にそれぞれ決勝戦を戦い両方とも勝利し優勝カップを手にしている。
「まさかエスパニョールの選手として国王杯の決勝戦に出場できるとは想像もしていなかった。」
試合を前にしてそう語るイバン。

二人ともバルサを去って以来、バルサにとって強烈なライバルクラブに在籍する経験を持つことになる。セラーデスはクラシコ戦相手のクラブに、そしてイバンはダービー戦相手のクラブに。だが、それでもいまだに多くのバルセロニスタにとっては愛着を感じる選手でもある。その理由として、例えば、かつてのミージャやジェラール、そして最近ではセスクやピケなどという自らクラブを去っていった選手ではなく、多くのバルセロニスタに期待を持たれながらも当時監督の構想外選手としてクラブの裏口から追い出されるようにして去った経緯を持つからだろう。

二人合わせて8回目の決勝戦となったこの試合、これまで決勝戦勝利100%のイバンが在籍するチームの勝利に終わった。そして、まだ日程が決まっていないものの必ず今シーズン中におこなわれるカタルーニャカップの決勝戦はスペインリーグ優勝チームとスペイン国王杯優勝チームによって戦われることになる。

※発売前からすでに話題になっているサンドロ・ルセーの本“現実の世界にようこそ”のプレゼンテーションが4月19日におこなわれる。だがバルセロナの書店にはそれより少し早く、14日の金曜日午後には並べられるのではないかという噂が出ている。そしてその内容を一部紹介しているメディアも登場してきた。それによると次のような箇所があるそうだ。11月の末になっても調子のでないバルサを心配したラポルタ、サンドロ、チキがライカーをクライフの自宅に呼び、夕食がてらチーム事情を分析したという部分だ。

“クライフ家に集まっての夕食は関係者でチーム事情を分析することにあった。だが私が驚いたことは、話の焦点がロナルディーニョ1人に煮詰まっていたことだ。クライフはまったくと言っていいほどロナルディーニョを評価していないようだった。ライカーといえばロナルディーニョの実力を認めながらも、どこに配置すればいいのか皆目検討がつかないという。チキはいつものように自分の意見をださず聞き役に回っている。だがロナルディーニョにとって、そしてバルサにとって幸運なことにラポルタは彼のことを非常に高く評価していたことだ。バルサの将来はロナルディーニョ次第という雰囲気がラポルタの発言から伝わってきていた。私にしてみてもそれは明らかなことだった。そして時間は過ぎていく。最終的な結論、それはチーム不振の解決はロナルディーニョのポジションそのものを解決することから始まる、そういうことだった。チキは納得しているのかしていないのか、いつものようにはっきりしなかったが、クライフはそれなりに納得していたようだ。”

そして2004年の1月末、セビージャ戦を前にしてラポルタ、ライカー、テン・カテ、チキ、そしてサンドロも一緒になってラ・マシアで夕食をしている。そしてその席で、もしセビージャ戦を含めて2試合結果がでないようなら監督の交代も有り得るとライカーに伝えている。
“ラポルタと私、そしてチキの意見により、もし結果がでないようならライカー更迭も有り得るということを伝えた。試合内容も結果もでない状況を抱えていたライカーは我々の立場を理解してくれた。だが驚きがやって来たのは、夕食後にラポルタと二人きりになって話し合いをしたときだ。
「エスコラリーを連れて来られるか?サンドロ?」
クラブのために一緒に働くようになってまだ間もない頃だから、ラポルタという人物をじゅうぶん理解しているとはいえなかった。だから彼の発言に驚いたのだろう。だが、時の経過と共にラポルタという人物をより知ることになり、このような驚きには慣れていくようになっていった。”


フベニル・カデッテカテゴリー
(06/04/13)

今週は“セマーナサンタ”につき、スペイン全国が大型連休中。多くの会社、学校は1週間前後休みとなっている。三部リーグでプレーしている選手たちは普段会社員という人が多いし、フベニルやカデッテカテゴリーでプレーする少年たちは家族旅行につきあうことになるので今週末にはリーグ戦はお休みとなっている。だが実際はエリート少年たちにとって忙しい週ともなる。なぜならこの休みを利用して各地でいろいろな大会が催されるからだ。

■フベニルA(第29節)■
バルサークラックス
3−0

エスパニョールはアウエーのレバンテ戦、そしてバルサは地元にクラックスというチームを迎えてそれぞれ同時刻に試合開始。エスパニョールは試合開始早々に先制点をとっているというニュースが第四スタディアムに伝わってくる。首位を行くバルサはエスパニョールとはわずか1ポイント差。したがって、もちろんこの試合には負けられない状況だ。

ここのところ昨シーズンのような調子に戻ってきているジョバニが活躍する。彼のセンターリングをデフェンサのハイメが頭で合わせてバルサも先行。そして2点目はジョバニのゴラッソが決まり、どうにかこうにか落ち着いた試合となってくる。最終的にエスパニョールは0−4というスコアーで圧勝し、バルサも3−0として勝利。いよいよ最終戦を待つだけとなった。4月23日サン・ジョルディの日におこなわれる最終戦。バルサは4位のバダロナに行って、そしてエスパニョールは地元に11位ながらカテゴリー落ちを避ける戦いをするであろうコルネヤを迎える。もしエスパニョールが勝利すればバルサも勝利しなければならないし、彼らが引き分けという結果ならバルサも引き分けでリーグ優勝となる。

インフェリオールカテゴリーのチームは確かに優勝することを最大目的としているわけではない。選手1人1人の成長を助けるためのカテゴリーであり、勝負そのものより試合内容が重要な意味を持つことになる。だが、そうは言っても、ここまで来たらやはり優勝シーンを見たい。

■フベニルB(第28節)
バルサBーマタロ
0−2

まだリーグ戦6試合残されているとはいえ、首位のエスパニョールには15ポイントも離されているから、優勝狙いなどということは贅沢な望みとなっている。昨シーズンはカデッテAチームでタイトルを獲得した選手によって構成されているフベニルBチームながら、この順位はどうしたことか。この試合でもボージャンの働きぶりが一番目立つようでは困ったものだ。もっと“ベテラン“選手が発奮しないといけません。

■カデッテA(第28節)
バルサーダム
1−0

消化試合を消化中。

■カデッテB(第26節)■
バルサBーアンゲラ
2−0

地元での試合で勝利し、これでシーズン終了まで残り4試合となった。カデッテBはオソーナとは同ポイントながら直接対決で勝利しているので1位になっている。だが問題はオソーナはまだ消化していない試合が1試合残っていること。そして3位、4位に首位のバルサとは1ポイント差でフィゲーラスとエスパニョールがくっついてきていること。したがってこの4チームで優勝争いが戦われることになる。バルサ59ポイント、オソーナ59ポイント、フィゲーラス58ポイント、エスパニョール58ポイント、そして5位のチームが38ポイント。恐ろしいほどの差があります。

*順位表は「試合日程・順位」から


ダミア、レンタル作戦成功中
(06/04/12)

バルサB在籍の選手ならともかく、バルサAチーム選手として認められたばかりであり、しかも監督お気に入りの選手であることを知りながらも、更なる出場機会を求めて他のクラブに修行に行くとことを選んだダミア・アベラ。彼は冬のマーケットを利用してラーシング・サンタンデールへとレンタル移籍していった。そしてそれから4か月、彼の出場機会は思惑どおり増え、一部チームでの経験を着々と積み重ねて行っている。
「もちろん簡単に結論がでることではなかったさ。もしあのままバルサに残っていたら、もしかしたら出場する機会もあったかも知れないし、あるいはまったくなかったかも知れない。それでも少なくとも毎日の練習で多くの人々からテクニックを学べただろうし、優勝などを仲間と一緒に祝えたかも知れない。でもあの時の自分に必要なことは一部リーグの試合に継続的に出場することで一丁前のプロ選手に成長することが何より最優先のことだと思った。自分に才能があればバルサに戻れることも可能となるだろうし、才能がないのならバルサに残っていてもいつか干されることになるだろう。だから、サンタンデールに来たことはもちろん後悔などしていないし、それどころか大正解だと思っている。」

ビッグクラブから他のチームへとレンタル移籍していった選手が、いつか再び戻ってくることはとてつもなく難しいことだ。バルサというクラブでもここ20年の歴史を見るだけでもそれは一目瞭然だ。スッキリクッキリと戻ってきたのは今から約15年前のチャッピー・フェレールのみだ。もちろんダミアもそのことは知っていただろう。
「試合にでるチャンスが少なくても、ここに残っていれば毎日学ぶことが多くあるから」
という理由で、いくつかのクラブからのオファーを断りバルサに残っているマクシの例もあるが、ダミアは違う道を選んだ。そしてそれを喜ぶチキ・ベギリスタイン。
「我々はもちろん彼の成長ぶりを毎試合観察している。残念ながらラテラルではなくインテリオールというポジションで起用されているが、まあ、それはしょうがないだろう。あくまでも我々としてはラテラル選手として考えているが、他のポジションでプレーすることも良い経験となるだろうし、選手としての幅も出てくるだろう。いずれにしても我々は現在のダミアに満足している。」

決して“バルサカンテラ”育ちと言えない彼だが、バルサBでは1年弱の経験を積んでいる。フィジカル的に強い“大型ラテラル”という雰囲気がフラン・ライカーのお気に入りなところかも知れない。テクニック的にはまあまあだし、スピードも決してないわけではないし、2006年4月現在のバルサAチームにいればベレッティに代わってラテラルとしても起用されていたかも知れない。だが、そんなことより今のダミアに大事なことはサンタンデールでキッチリと経験を積むこと。そして来シーズンも成長し続ければバルサに戻ってくることも決して夢物語とはならないだろう。スエルテ!


第31節 イケイケバルサB、今週は2位
(06/04/11)

ペラルターバルサB
0−3

バルサAチームのリーグ戦に関する唯一の話題は“いつ優勝が決定するか”という、他のチーム関係者やファンにしてみればとてつもなく贅沢なものだ。「アウエーでの試合であろうが早ければ早いほど良い」とするライカーの意見に対し「優勝決定は是非カンプノウで」と語るラポルタ。サンタンデール戦での引き分けという結果により今週末には数字的に優勝が決まる可能性はなくなったが、来週末のサン・ジョルディの日に街中大フィエスタとなる可能性はじゅうぶんある。まあ、いずれにしても今月中には決定することは間違いないだろう。一方、バルサBが属する二部B第三グループの順位は混沌状態にある。毎週のように順位がクルクルと変わり、先々週は5位だったバルサBは先週末には2位になっている。首位から5位までのチームのポイント差がわずか3ポイントときているから、この壮絶な順位争いは当分続くことになりそうだ。

幸運にもこの大事な時期に来て、バルサBの調子はイケイケ状態だ。しかもアウエーの試合とはいえ、相手はカテゴリー落ちに両足突っ込んでいるペラルタ。前半にクリスティアンのゴラッソで先制した段階ですでにバルサBの勝利が感じられたし、後半に入ってジョルディ・ゴメスのロングシュートがバシッと決まったことにより試合そのものも勝負がついた。最後にベルドゥがゴールを決めカピタンの存在を示して試合終了。リーグ戦残り7試合、この調子が続けば4位以内はもちろん首位も夢ではない。

■FC BARCELONA
Ruben/ D.Fernandez/ Valiente/ Fragozo/ Pen~a/ Arnau(Olmo 60')/ Verdu/ Jordi/ Cristian(Ludovic 85')/ Sito(Javito 75')/ Orlandi


第32節 2連勝したと思ったら2連敗

バルサCーペララダ
0−1

このチームは相手に先制点を許してしまうと、余程のことがない限り追いつくことはできないようになっている。もうシーズンが終わり近くなっている今にして振り返ると、シーズンを通して逆転するようなシーンにお目にかかったことがない。したがって相手チームのペララダが先制点をとった段階でこの試合はほぼ終わっていた。今のところカテゴリー落ちの心配はないものの、連敗が続くようだと少し心配しなくてはいけないようになる。

今シーズンはバルサBからの応援はあまり期待できない。シーズン終了間際に大事な試合が続くからだ。それでも“計算外”となっているリエラやモンタニェスなどの、このクラスにしては経験豊かな選手がこのチームに駆けつけてきている。もう少し頑張ってみよう。

■FC BARCELONA
Montero/ Llamas/ Martos(Alex 75')/ Borrego/ Ismael(Pedro 46')/ Crosas(Marc 41')/ Casado/ Sastrel/ Riera/ Montan~es/ Toni

*順位表は「試合日程・順位」から


MIC(地中海国際カップ)
(06/04/07)

カタルーニャ州の地中海側に面する各地域で開催される地中海国際カップという大会がある。正式名称は"Mediterranean Internacional Cup"といい、国際的にはMICという名で知られている大会でもある。毎年春先に開催されるこの大会は今年で6回目を迎え、今回は4月12日から16日にわたっておこなわれることが決まっている。この大会は世界各国のフットボールクラブや各国ナショナルチームが参加して開催されるが、今回はこれまでの最高数のチームが参加予定されている。21か国から140チームが参加する予定で、カテゴリーは5つに分かれてそれぞれカップ戦が戦われることになる。フベニルカテゴリー、カデッテカテゴリー、インファンティルカテゴリー、アレビンカテゴリー、そして女子フットボールの5つのカテゴリーだ。したがって来週末にはこのカテゴリーのスペインリーグ戦はおこなわれない。

異常な数の参加チーム数とは別に、今回の大会の特徴の一つはブラジルチームが3つ参加することだ。
「これまでは2チームのブラジル代表が参加してきていたが今回は3チームとなっている。カテゴリー別に言うとフベニル、カデッテ、そしてインファンティルのそれぞれのブラジル代表が参加してくる。昨年の大会では彼らは1つもタイトルをとれなかったこともあり、かなりの意気込みで来るようだ。」
そう語る大会ディレクターのフアンホ・ロビーラ。今回やって来るブラジルU-17チームは昨年の南アメリカU15大会で優勝した選手で構成されているし、U-20チームはフラメンゴやクルゼイロなどのブラジル一部チームでプレーしている選手によって構成されている。したがって質的には非常に高いものとなっていると言える。だが、もちろんブラジル代表だけがこの大会のメインではない。バルサ、レアル・マドリ、エスパニョール、インテル、アーセナル、マンチェスター、アヤックスなどの強豪クラブも参加してくる。

ポルトガルのオポルトでプレーしているブラジル人選手アンデルソンや、我らがメッシー、ジョバニなどがこの大会で活躍したのは記憶に新しい。もちろん昨年のこの大会でのバルサの活躍は更に記憶に新しいだろう。カデッテのカテゴリーでブラジル代表を相手に戦った決勝戦では1−0というスコアーで勝利していたし、インファンティルカテゴリーでもレアル・マドリを決勝戦で破って優勝している。さあ、今回の大会ではどんな“スター選手”が登場するか、とっても楽しみだ。


フベニル・カデッテカテゴリー
(06/04/06)

■フベニルA(第28節)■
ダムーバルサ
0−2

首位のバルサに1ポイント差で2位に付けているエスパニョールは土曜日の試合で4−0というスコアーでレイダを負かしている。したがって翌日の日曜日に戦われたこのダム戦は絶対に負けられない試合となっていたバルサだ。この大事な試合のためにバルサC常連選手となっているマーク・クロッサス、ここ2試合ばかりバルサCでプレーしていた左エストレーモのジェフレンがそれぞれ応援にかけつけスタメン出場している。

前半の半ばにピトゥのゴールで先制するバルサ。それ以降、この貴重なゴールを守るかのように守備を固めカウンタアタック狙いという感じ。そして後半、その作戦が見事に成功、ジョバニのゴラッソが決まって0−2。こうなるとバルサペースで普段どおりのボール回しのチームとなる。シーズンが終了するまで残り2試合、エスパニョール、バルサともそれぞれ地元・アウエー1試合づつ残すことになった。

■フベニルB(第27節)■
エウロッパーバルサB
2−2

フベニルAチームに招集されていたボージャンがBチームに戻ってきてスタメン出場している。そのボージャンのゴールで先制したバルサBだが、最終的には追いつかれ2−2のドローゲームとなった。ちなみにボージャンはアンダー17のミニ合宿に参加することが発表されている。そしてバルサBからはシトとバリエンテがアンダー19の代表として呼ばれている。

■カデッテA(第27節)
マルトレルーバルサ
0−0

リーグ優勝が決まってからの初の試合で当然ながら消化試合。今シーズン初の引き分け試合となった。

■カデッテB(第25節)■
グラマネBーバルサB
1−3

フベニルAチームと同じようにエスパニョールと首位争いをしているカデッテBチーム。そして同じようにエスパニョールBが先に試合を消化していた。アウエーでの試合で2−2という結果での引き分け試合、つまりカデッテBチームはこの試合に勝利すれば再び首位に戻れることになる。そして見事に勝利しエスパニョールBには1ポイントの差を付けて首位にたつことできた。

だが、どうやら優勝を争う相手はエスパニョールだけではないようだ。順位表を見てみるとオソーナというチームが同ポイントでバルサに追いついてきている。しかも1試合消化していない試合があるチームだ。残り5試合、もう負け試合は許されない。

*順位表は「試合日程・順位」から


ドス・サントス兄弟
(06/04/05)

ドス・サントス家には二人の息子がいる。そして多くの人々が知っているように二人ともバルサカンテラ組織に属している選手だ。兄のジョバニ・ドス・サントスが16歳、弟のジョナタン・ドス・サントスが15歳、それぞれフベニルAカテゴリーとカデッテAカテゴリーでプレーしている。

バルサカンテラチームを見続けているファンにはすでに何年も前からジョバニの存在は知られていた。だがカタルーニャの地だけではなくスペイン全国や多くのフットボールファンにその名が知られることになったのが、昨年ペルーで開催されたアンダー17世界大会での活躍だ。メキシコ代表にとって初の優勝をとげた大会でもある。そして今、弟のジョナタンもまたメキシコアンダー17代表のメンバーの1人となりつつある。4月の12日から16日にわたって開催される“MIC2006”の大会にメキシコアンダー17代表の選手の1人として選出されたことがつい最近発表されている。
「ここ何年かで最高のニュースを受け取ったばかり。メキシコ代表のユニフォームに袖を通すことは小さい子供の頃からの夢だったので本当に嬉しい。これで兄のように活躍ができれば最高だ。」
弟のジョナタンにとってアイドルは兄のジョバニだという。そして彼の夢はもちろん兄ジョバニと一緒にプレーすること。
「メキシコ生活時代もこちらに来てからも常に兄とは一緒の生活をしてきている。そして二人で話し合うことはいつも将来の夢についてさ。将来の夢、それは二人で一緒にプレーすること。メキシコ代表チームだけではなくバルサでも一緒にプレーすること。まだ両方とも実現していないけれど、いつか現実となる日がやって来ればいい。」

すでに弟のジョナタンよりも一足早くメキシコ代表のユニフォームを着てプレーしているジョバニにも素晴らしいニュースがメキシコから届いている。それはペルーでの大会とバルサでの活躍が認められて“2005年メキシコ人最優秀スポーツ選手”として選出されたニュースだ。残念ながら授賞式には参加できなかったジョバニ。なぜならフベニルAチームは優勝を決める大事な試合が残っているからだ。彼の代わりに母親が授賞式に参加し賞を受けている。そしてバルサの関係者は彼ら二人のスペイン国籍取得手続きを急いでいる。決してメッシーの二の舞をさせないために。


第30節 今シーズン最高の試合
(06/04/04)

バルサBーオサスナB
3−1

ここのところ地元ミニエスタディでは負けを知らないバルサBの相手はオサスナB、そのベンチの中をのぞいてみると監督らしき人物が懐かしのシガンダがおり、コーチらしき人にはゴイコがいる。このクラブもカンテラ上がりの人々を大事にしていることがよくわかる。そしてバルサとオサスナは昔から仲良しクラブとして知られている。試合開始されてから90分後の感想としては、たぶんミニエスタディで戦われたバルサBの試合としては最高の内容を持ったものであり、相手チームのオサスナBは6人のデフェンサを置く最も守備的なチームという感じがした。その守備的なチームに先制点を奪われたバルサBは当然ながら厳しい試合となった。

だが少なくとも地元では絶好調のバルサB。ボール回しだけ見れば前日観戦したカンプノウでの兄貴分たちのそれより早い感じがする。ワンタッチでボールをグルグル走らせるバルサBにゴールチャンスが多くやってくる。そして同点に追いつくゴールを決めたのがベルドゥ。逆転のゴールはデフェンサ期待の星バリエンテのゴラッソ。そしてシトに代わって入ったハビートがペナルティーを誘い、それをベルドゥが決めて試合そのものを決定づけた。ロドリが2枚のイエローカードをもらい退場するというハプニングがありながらバルサB快心の勝利と言える。これで2位に上昇。1位のバダロナが52ポイント、2位のバルサBが51ポイント、3位のレバンテBが50ポイント、4位のグラマネが49ポイント、そしてその下に4位と同ポイントのアルコイア、48ポイントのアリカンテとベニドルムが続くというように、上位は非常に込み入った状態だ。

■FC BARCELONA
Ruben/ D.Fernandez/ Valiente/ Rodri/ Pen~a/ Fragozo/ Verdu/ Jordi(Arnau 50')/ Cristian(Olmo 87')/ Sito(Javito 81')/ Orlandi


第31節 バルサBと同じスコアーながら敗戦

ジローナーバルサC
3−1

ここ3、4年、この時期ともなるとカテゴリー落ちが危ぶまれる順位となっていることが多いのでバルサBやフベニルカテゴリーから助っ人がやってくることが多い。だが今シーズンは今のところその危険性も少ない感じなので、例年とは別に他のカテゴリーに助っ人を出す立場となっている。これまで絶対スタメンだったマーク・クロッサスやここのところ起用されていたジェフレンなどがフベニルAチームに助っ人として戻っている。そう、フベニルAは首位をかけた大事な3試合を控えているからだ。

マーク・クロッサスという頭脳を欠いたバルサCはフニャフニャ状態となってしまった。シーズン開始当初はバルサB選手だったリエラもまったく冴えず、すぐに交代させられている。負傷から戻ってきたトニー・カルボもリズムをつかむのに苦労しているようだ。

■FC BARCELONA
Montero/ Llamas/ Martos(Marc 68')/ Borrego/ Alonso(Ismael 32')/ Alberto/ Casado/ Sastrel/ Riera(Pedro 56')/ Gilberto/ Toni

*順位表は「試合日程・順位」から


タダ同然のものを有価商品とするために
(06/04/02)

スペインの各クラブに見られるようなカンテラ組織を持たぬイングランドのクラブなどが、カデッテカテゴリーあたりでプレーする少年に目を向け、彼らに“明るい将来”を提供しようと自らのクラブに招くという傾向が増えてきている。それはセスク、ピケ、フランなどのバルサカンテラだけではなく、他のクラブにも同じような例が出始めているし、更に言えばスペインのクラブだけの話でもない。10歳前後から大事に育ててきた少年たちを他のクラブに持って行かれるのは悔しい話だし、しかもタダ同然のように持ち去られてしまうとなるとその悔しさはいっそう募る。なにゆえタダ同然のように連れ去られてしまうのか、それは“16歳未満の者には雇用契約をしてはならない”というスペイン労働基準法があるからだ。多くのクラブはそれを知りながらも選手の両親との“個人契約’をしている。それは他のクラブへの移籍の際にはこれだけの移籍料が必要だとか、あるいは契約期間さえ定めるのが普通だ。だが、もしあるクラブがその少年を欲しいと思ったなら、そんな“個人契約’や契約期間など無視してほぼタダ同然で持って行けるのが現実。なぜなら法廷に持ち込まれれば在籍クラブ側の敗北となるのは目に見えているからだ。

「スペイン労働基準法を変えることまでは要求しないが、せめてフットボールの世界に例外というものを定めて欲しい。映画や演劇の世界、あるいはエンターテイメントの世界ではそういう例外を認めているのだから、フットボール界でも同じような扱いをして欲しい。」
そう訴え始めたのがラ・リーガ・プロフェッショナル組織。つまり16歳未満であろうと所属するクラブと雇用契約を結べるようにして欲しいという要求だ。この要求は3月の中旬にすでにスペイン労働大臣に提出されている。そして近いうちに両者間で話し合いがもたれることになったようだ。

カンテラ組織で育てた選手を将来はAチームで起用できればそれにこしたことはない。だが、もし他のクラブがある選手の獲得に興味を示してきたら、少なくても価値ある商品として販売したいと思うのがクラブ経営陣だ。16歳未満の選手でもプロ契約が成立するなら、当然ながらその選手に移籍料も設定することが可能となる。したがってこれまでのようにタダ同然で持って行かれるのではなく、少なからずともビジネスとなる移籍だ。寂しい話だが、まあそういうことだ。ビジネス抜きにフットボールは生き続けられない。

クラブカラーに身を染めるカンテラ選手が少なくなったとか、明日に向かって必要以上に先を急ぐ少年たちが増えたとか、あるいは少年たちやその両親を操り小太りしていく選手代理人が増えたとか、労働法規とはまったく関係ない部分での問題はもちろんある。だがそれでも今までのようにタダ同然で大事に育て上げた少年たちを海外のクラブに持って行かれることを防ぐことの第一歩となるかも知れない。もっとも、フットボール界に“特例’が、認められればの話だが・・・。