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アディオス、そしてグラシアス!
(09/05/30) これまで経験したことのない強烈な5月。充実しすぎというか密集しすぎというか、正確にその雰囲気を表す言葉がみつからないほど歴史的な5月。今はただ、この強烈な5月と同時進行に生きられた幸運に感謝。 5月02日 ひと月に8試合というのは、今シーズンのペップバルサでは時たま見られた超過密スケジュール。だが、その中には消化試合も含まれていたので、単なる試合数よりも重要性の多い試合が多かったという意味で、非常にその内容が濃い月となった。ベルナベウクラシコ勝利でほぼリーグ優勝を決定したあと、チャンピオンズ決勝戦進出を劇的に決めた試合を経て、その後すぐに国王杯という最初のタイトルを奪取。そしてその週末にマドリが勝手にコケてしまったので、二つめとなるリーグタイトルを獲得。それから10日後、今シーズン最大のハイライトとなったローマでのチャンピオンズ決勝戦。付録というかデザートというか、市内でのバカ騒ぎが4回も楽しめた月ともなった。どこにも酔っぱらいと警官衝突騒ぎが好きな連中はいるもので、この4回のバカ騒ぎで逮捕された若者総数300人、彼らの犠牲者となった負傷者数も同じぐらいのもよう。もっとも、ローマ決戦後のフィエスタで、マンUインチャが4人のバルサインチャを殺害したという、ナイジェリアだったかどこかの国に比べれば、たかが知れた事件ではあります。 ついでに、このスペースを利用して、ラ・マシアサイト風の内容についても触れちまおう。ここ9年間のチャンピオンズ優勝チームの各クラブカンテラ選手起用人数。 最後だからやはり、レアル・マドリのことに触れておかなければ、このサイトらしくない。ローマ決戦がおこなわれた当日、カルデロン前会長時代の不正経理を捜索中の十数人の捜査官が、ベルナベウに突入し、6時間以上もガサ入れしてスッタモンダ。そしてローマ決戦翌日、新会長候補のフロレンティーノが理事会構成メンバーをメディアを前にして発表。バルサが繰り広げている風景と、何と対照的な景色でありましょうか。そして、その日の深夜ラジオ番組に出席した彼は、5人から6人のクラック選手を補強するために3億ユーロの資金を用意するつもりだとアドバルーンをドヒャー。これまで“出戻り”に良いためしがないことは再三触れてきたことでもあるし、個人的には是非とも早いところ会長席に陣取って欲しいと期待。カカ、ロナルド、セスク、ビージャ、シルバと、マドリよりはバルサに入団したいであろう何人かの選手の顔が見られるが、いやいや、ドンと大金を支払って彼らを獲得してくだされ。希望に燃える新しいサイクルをドカーンとスタートしたペップバルサには、たいした問題ともならないでしょう。 このサイトの更新が最後の年となった今シーズン、110年の長い歴史を持つバルサ史上初の三大タイトル獲得という偉業を達成できたことは、もちろん偶然とはいえ、最高のタイミング。そして、サンドニ後のことを総括すれば、間違っても過去2年間のような悲惨なことにはならないだろうし、ペップバルサの時代が一つのサイクルとして登場してくる。というわけで、まだまだ当分のあいだ楽しめるバルセロニスタ。 それでは最後に、これまで“...............”という落ち込み時期や、“フッフッフッフッフ、ワオー!”という楽しい時期を共有してくれたすべての人々に感謝しつつ、このサイトの更新を終了。グラシアス!ムーチャス・グラシアス! |
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各メディア
(09/05/29) 試合終了後、我がチキート部隊は完全武装しつつランブラス突入を図るものの、そこは完全燃焼中の若きバルセロニスタの人間バリケート状態となっており、我が年寄り組は完璧に粉砕され意気消沈。というのは嘘で、そこはそれ、同じ志を持つ同士が集まっている場所だから、彼らも我らが東洋人相手に適当に遊んでくれたのでありました。体はクタクタ疲労困憊ながらもバカ騒ぎしつつ、今度はカタルーニャ広場に進入。ここでも固い人間壁にぶち当たり、我ら粉砕の憂き目にあうものの、雰囲気だけを味わって更に疲労困憊状態。この信じられない熱狂状態の深夜と、そして試合翌日のパレードは、まさに盆と正月が一緒にやってきてクリスマスと誕生日を足したような日となるでありましょう。 夕方にエル・プラット空港に到着する我らがヒーローたちは、バルサバスに乗ってバルセロナの港まで行き、そこで2階建てバスに乗り換え街中を走りながらカンプノウまで向かう。前回のパレードの際には、我らを代表して柏蜂番がヒーローたちに同行してくれたが、今回は不在のため、しかたない付き合おうじゃないか。したがって、今日の夜のパレードに備え体をやすませねばならぬ年寄り組。今日は買いあさったメディアを紹介。ここでは一つだけザ・タイムスのコメントを以下に紹介しておこう。 「ファーガソンチームはスーパーバルサチームに、すべての意味において無効にされたと総括して良いだろう。あくまでもエレガントであり、素晴らしいスーパーテクニックを持ち、羨ましくなるようなインテリジェンスを持ち、つまるところプレミアリーグには存在しないタイプの選手たちと我々とは違うフィロソフィーで、フットボールを展開するペップバルサチームに完璧に粉砕されたと言える。優れたフィジカルと強烈なキャラクターが最優先されるプレミアリーグフットボールのフィロソフィーが、芸術的と言ってもおおげさではないバルサ選手の展開するフットボールのフィロソフィーに敗北したと総括するならば、我々には今後大いに論議しなければいけないことが残されたといえる。」 ※ペップ監督はこの勝利をパオロ・マルディーニに捧げると発言している。20年以上ミランの選手としてプレーしながらも、サヨナラ試合でウルトラスの連中からブーイングを受けた、あのマルディーニだ。長い現役選手の中で、ウルトラス連中の暴力沙汰を批判し続けてきたマルディーニにウルトラ共は容赦なくブーイングを送った。そして、クラブはもとよりイタリアメディアもこのことの重大さを大きく取りあげていない。対照的なのは、カンナバロがマドリディスタとしてのベルナベウ最後の試合で、彼の着ていたユニをウルトラ・スルの1人に手渡していたこと。ペップがマルディーニに賞賛のコールを送ったのは、もちろんこれだけの理由ではないだろう。だが、対照的な二人の選手ではある。
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FC BARCELONA 2 - 0 MANCHESTER U. 1-0(10M) ETO'O [出場選手] |
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●19時00分 ●18時30分 ●18時00分 ●17時30分 ●17時00分 ●16時00分 ●15時30分 ●15時00分 ●14時30分 ●14時00分 ●13時35分 ●12時30分 ●12時00分 ●11時00分 ●10時30分 |
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もしフットボールに何の興味も待っていないツーリストが今月中旬以降にバルセロナに訪れたとしたら、やたらとベランダに青と赤の布きれを干している、まったくもって変な人々が住んでいる街だと思うかも知れない。5月13日国王杯の決勝戦に勝利して以来、日増しに青と赤の布きれが各ベランダに飾られるようになったバルセロナの中心街。いや、赤と青の布きれだけではなく、赤と黄のものも見られるし、ほんのごく一部ながら青と白の切れっ端も見られるようだ。赤と青、それはバルサカラー、赤と黄、それはカタルーニャカラー、もちろんフットボールファンであるツーリストなら、なぬゆえそれらの色の布きれがベランダを飾っているか理解できるだろう。チャンピオンズローマ決戦に向かうバルサ御一行を勇気づけるためであり、そして木曜日に優勝カップを持って帰ってくるであろう彼らを迎えるためのものだ。 もっとも、青と白のペリーコカラーがなにゆえたなびいているのかは理解できないかも知れない。それはモンジュイク族だけが理解できることだからだ。一部カテゴリー残留が決定したことに大喜びしているペリーコだけが理解できることなのでありました。 決勝戦前日の26日火曜日午前、多くのベランダにたなびくバルサ旗をバスの窓から眺めながら、空港に向かったバルサ御一行。エル・プラット空港からは、3年前パリに飛ぶときに使ったものと同じドデカイ飛行機に乗って一路ローマへ。幸い、途中で落ちることもなくローマの空港に到着。まずは宿泊ホテルに向かい軽いシエスタをかましてから、夕方の練習に備えるバルサ選手たち。練習といっても、すでにやることはすべてやってローマまで来ているわけだから、決勝戦で使われるスタジアムがどのような状態なのか、それを観察するぐらいのことしかない。あとはひたすら時間をつぶして、本番を待つことになる。 午後7時から記者会見生中継。バルサからプジョー、バルデスという二人の選手が出てきているが、ここでも縁起をかついだのか、これもサンドニの時と同じメンバーだ。そして監督はライカーではなくてペップというのは当たり前。ここまでは縁起を担げない。ただ、ライカーと同じなのは、ペップもまた言語に強い監督であること。カタランの質問にはカタランで、カステジャーノの質問にはカステジャーノで、イタリア語の質問にはイタリア語で、そして英語の質問には英語で答えるペップ監督。こういうの、カッコいいのう。 1時間後の8時から練習風景の生中継。クーマンとウリストが見守る中、ドクター許可がすでに下りているアンリとイニエスタがごく普通に練習に参加している。アンリとイニエスタ、この二人が決勝戦に出場するのは彼らの当然の権利なのだ。 アンリに唯一欠けているタイトル、それはチャンピオンズ。バルサにやって来た理由の一つが、このタイトルを獲得することであることは彼自身認めていることだ。初のチャンピオンズ決勝戦出場でライカーバルサに敗北したアンリにとって、今回は2度目の挑戦であり、同時に最後となる可能性だって大いにあり得る年齢となっている。しかも、今シーズンここまでのドブレッテに貢献した選手でもあり、ひとりのバルセロニスタとしては彼の望みをぜひ叶えてあげたい。そしてイニエスタはスタンフォード・ブリッジでのヒーロー。彼の活躍なくしてローマ決戦はあり得なかった。 いやいや、スエルテを望むのは彼らだけではない。 スエルテ、バルサ! |
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現段階において、ヨーロッパフットボール界最強と言っていい2チームによって戦われるチャンピオンズ決勝戦。チャンピオンズ最多得点(30ゴール)を誇る攻撃的なバルサと、最少失点(6ゴール)を記録している守備の固いマンチェスターという、文字通り、旬のチーム同士が決勝戦で顔を合わせる。これまでチャンピオンズ決勝戦に(たった)3回しか進出したことがないのに、その3回とも勝利しているマンチェスター。決勝戦勝率100%を誇ることになるが、いつまでもそういう奇跡的なことが続くのを、フットボールの神様は許さないので、ここらへんが潮時ということだろうか。一方バルサの方といえば、これまで5回決勝進出を果たし、2回だけ優勝カップを手にしている。つまり、決勝戦勝率40%ということになるが、今回勝利すればキリのいい50%という数字になる。神様は公平が好きだと聞くから、この数字になる可能性は大きいだろう。 さて、この両チームの戦いを、メッシー対ロナルドの戦いに形容する人々もいる。バロン・デ・オロ獲得を狙う二人のクラック選手の正面衝突試合だから、そういう見方もないことはない。だが、ここでは違う風景をのぞいてみたいと思う。 クラブ単位で最も重要な試合と言えるチャンピオンズ決勝戦に、これほどの数のカンテラ選手を登場させられるクラブは、間違いなくバルサをのぞいて存在しない。マンチェスターというチームをどのように形容すればよいのか知らないが、少なくともバルサの場合は、カンテラ選手を中心としたチームと形容できる。もちろん、チャンピオンズリーグという名称になってからは、この大会の決勝戦に7人ものカンテラ選手が出場したことはない。コパ・デ・ヨーロッパというかつての名称の大会でも、1996年のボスマン判決以降は皆無と言える。これだけのカンテラ選手が出場した最後の決勝戦、それは1994−95シーズンまでさかのぼらなければならない。 1994−95シーズン、バンガール・アヤックスは7人のカンテラ選手をスタメンに起用し、ウイーンでおこなわれた決勝戦でミラン相手に戦っている。結果は1−0でアヤックスの勝利。決勝点を決めたのは我らがパトリック・クルイベルだった。 チャンピオンズ決勝戦に7人のカンテラ選手起用というのは、別にペップ監督が目立とうとしたり、少し気取ってみようかというわけでもない。他に選手がいないという陰口も聞かれるが、それだけの理由でもない。彼らが正しくもスタメン選手に相応しいと思われるからこそ、ペップ監督が選ぶだけの話だ。例えば、ベルナベウでのクラシコで6人のカンテラ選手がスタメンで出場し、途中交代で入ってきた選手を合計すると8人ものカンテラ選手が登場しているように、ペップバルサとしてはごく普通のことに過ぎないのだ。 だが、この現象をバルサらしいとすると、それは勘違いといえる。これまでのチャンピオンズ決勝戦でこれほどの数のカンテラ選手が登場したバルサチームは見つからないからだ。歴史書をひもといてみれば、例えばクライフバルサの最初のウエンブリー決勝戦ではチャッピーとペップしか出場していないし、思い出したくもないアテネの決勝戦ではチャッピー、ペップに加えてセルジとアモールの合計4人、そしてサンドニではバルデスとプジョー、そしてオラゲールの3人しか見つからない。あえて“らしい”とするならば、それはペップバルサらしいということになる。これまでのリーグ戦だけのカンテラ選手起用度を見てみると、11人スタメンの55%がカンテラ選手となっている。 監督就任1年目にしてチャンピオンズ制覇、クラブ史上初の三大カップ制覇と、注目されることが多いペップバルサだが、このカンテラ選手数の多さに関しても地味に注目してみよう。 |
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チャンピオンズ準決勝バルサ対チェルシー戦でのファーストラウンド前、そしてセカンドラウンド前とイングランドジャーナリストのジョン・カルリンさんのコメントを紹介したが、やはりマンチェスターというイングランドチーム相手の決勝戦だから、縁起を担いでここでも彼のコメントに登場してもらおう。 ライアン・ギグス、御存知マンチェスター・ユナイテッドのカピタン、そしてかつてのカピタンであったエリック・カントナ、このマンチェスターのシンボルと言っていい二人が決勝戦を前にしたつい最近、ファーガソンのフットボールスタイルを褒めちぎるコメントを発表している。 ギグスの語るマンチェスターらしさというのは、カントナの語る攻撃的な試合展開というのと同義語であることは間違いない。確かに、18年間に及ぶギグスのマンチェスター選手生活の大部分は、そういうチームであったことは誰にも否定できないことだ。非常に勇気あふれる攻撃的なチームであり、そこまでしなくても良いのではないかという批判さえ受けたチームでもある。すでに伝説となっているマッツ・バスビー監督率いるマンチェスターが、1968年にコパ・デ・ヨーロッパを初めて征した時の攻撃的なフィロソフィーが原点となっている。このスコットランド人監督が率いたチームのトリデンテはマンチェスターだけではなく、イングランドフットボール界において、伝説的なものとなっている。ジョージ・ベスト(現在の選手に例えればメッシーと比較できる選手だが、それはもちろんフットボール的なことであり、私生活のことではない)、ゴレアドールであったデニス・ロウ、そして御存知ボビー・チャールトン。彼らがイングランドフットボール界において、最も攻撃的で魅力的なトリデンテであったのは間違いない。 この三人がクラブを去ってから約20年間、マンチェスターというクラブはビッグクラブでもなんでもなく、そこらへんに転がっているクラブとなんら変わらないものとなってしまった。二部カテゴリーに落ち込んでしまうというシーズンまでやって来る。そして、1986年、アレックス・ファーガソンという若き人物が監督に就任し、1991年にライアン・ギグスという選手が加入し、その翌年にエリック・カントナが入団してきてから徐々にかつてのマンチェスターが復活してくる。 それでもマンチェスターの名声は、あくまでもイングランド内でのものに留まっていた。リーガを、カップを征するマンチェスターだが、ヨーロッパの大会で何かを勝ち取るところまでには到達していなかった。それがマンチェスターの唯一のフラストレーションだった。カントナ在籍中に一度足りとしてヨーロッパを征することができなかったが、それを可能とするには、ファーガソンが監督に就任してきてから13年後まで待たねばならなかった。1999年、カンプノウでの決勝戦で奇跡的な勝利を得て、クラブ史上2回目のヨーロッパチャンピオンとなった。だが、ファーガソンマンチェスターがヨーロッパフットボール界の頂点にたったかというと、そうはならなかった。再び9年間にわたるフラストレーションがやって来る。例えて見れば、現在のレアル・マドリと同じような状況を抱えてしまったマンチェスターだった。 ただ、現在のレアル・マドリとの違いは、フットボールそのものを消失してしまったわけではなかったことだ。例えば、そのレアル・マドリが2000年オールド・トラフォードにやって来て、チャンピオンズの試合を戦った時のことを覚えているだろうか。レアル・マドリファンには、フェルナンド・レドンドによってヒールキックされたボールをラウルがゴールし、2−3というスコアで勝利した試合として記憶されているだろう。そしてマンチェスターファンには、例え負けた試合とは言え、誇り高い試合としてファンには記憶されることになる。なぜなら、90分間総攻撃の姿勢を見せてくれた素晴らしい試合内容だったからだ。 それでもタイトルを獲得できないマンチェスターの歴史が続く。ファーガソンが指揮するチームは、見ている者にとってどこまでも楽しい攻撃的なフットボールを展開するものの、最終的な結果を得られるまではいかなかった。そして、それまでのフィロソフィーを捨てて、ファーガソン監督が現実的なフットボールのそれへと徐々に変更させる日がやって来る。もっと結果を優先させるフットボールへと、例えスペクタクルの消滅という批判が生まれようと、例え見ている者にとって魅力的ではないとしても、あくまでも結果を優先させるフットボールへと変貌していった。もちろん、彼のモデルとしたのはカルッチオだった。すべてとは言わないまでも、カルッチオフットボールの美味しいところをファーガソンは学んでいく。そのことを認めたくないのか、あるいは認める目をもっていないのか、はたまた前述したように現在という時代を生きていないからか、ギグスとカントナの二人はいまだにそのことを理解していないようだ。 新たなフィロソフィーをもって戦うファーガソンマンチェスターは、昨シーズンのヨーロッパチャンピオンの座を獲得している。現在のマンチェスターに似ているチェルシー(ここでもカントナは誤りを犯している。現在の段階で言えば、チェルシーとマンチェスターは同じフィロソフィーで戦っている兄弟チームと言える)相手に、120分間ひたすら相手のゴールを防ぐような戦いを挑み、幸運にもPK戦で勝利している。そして今シーズンのプレミアリーグも征することになるマンチェスター。バルサよりも37ゴールも少ないゴール数でリーグ優勝を遂げている。 つい先日、アーセナルの監督ベンゲルがチャンピオンズ決勝戦の予想をコメントしている。バルサと準決勝で対戦したチェルシーとまったく同じ戦いを、マンチェスターはしてくるだろうと予想している。つまり、ポルテロの前に大型バスを何台も並べた戦い方だ。ボールを支配しようとするアイデアもないし、その必要もない戦い方。ただ、チェルシーと違うのは、前線に二人の選手を配置することだ。ドログバ1人を前に置き、残りの10人を守備要員としたチェルシーとは違い、ロナルドとルニーの2人を前線に配置し、9人で守り続けようとすることだ。だが、もしマンチェスターが先制するようなことが起きれば、ルニーは前線から引き上げ守備要員のひとりに加わることになるだろう。つまり、チェルシーとまったく同じスタイルとなる。 したがって、もしあなたがマンチェスターファンでもバルサファンでもなく、スペクタクルな試合展開を観戦したいとする純粋なフットボールファンなら、少なくとも前半だけでもペップバルサを応援することをお奨めする。ペップバルサが1点、あるいは2点リードして前半を終了したとしたなら、スペクタクルな後半を期待することができるのだ。ギグスやカントナがいまだに“見続けて”いる、かつてのマンチェスターが戻ってくるかも知れない。あの、攻撃的でスペクタクルなマンチェスターが戻ってくるかも知れない。 |
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あくまでも個人的な趣味ながら、ビルバオというクラブはどうも好きになれない。バスク出身選手しかプレーできないという、あの時代遅れの閉鎖性が何ともはや気にくわないし、それを売り物にしていることろも嫌みったらしい。その点、同じバスクのクラブでありながら開放的に、スペイン人はもちろん外国人労働者をも受け入れるレアル・ソシエダとかオサスナというクラブにシンパ感を抱いている。そのオサスナファンが作る“BLOGSASUNA”というブログを通じ、バルサ戦を前にして“親愛なるバルセロニスタへ”と題した洒落たコラムを発表している。 一部リーグ生き残りをかけて我がオサスナチームは、スペイン最強チームと言って良い2つのチームとの戦いを控えている。そう、バルサとレアル・マドリ。この厳しい戦いを前にして、少なくとも我々オサスニスタには親近感のあるバルセロニスタに、ここは一つオサスナを応援してみてはどうかという呼びかけをしようと思う。以下に、6つのオサスナ応援理由を提案。 1)アンチ・ペリーコとして 2)お金のため 3)バルサにシンパ感を持っているオサスナシスタのため 4)サンフェルミンのお祭り 5)ウンスエのために 6)ゴイコとバケロのために ブログ主がデザインしたと思われるバルサエスクドはどこまでもお洒落だし、ブログの内容もウイットに富んで面白い。彼らの思いが通じたのか、バルサが“Bチーム”だったからか、カンプノウ最終戦はオサスナの勝利に終わった。それでもカテゴリー降格ラインから脱出できないという、おまけまでついていたが、この日の主役はシルビーニョとムニエッサの二人としたい。カンプノウでの最後の試合となることを自覚していたであろうシルビーニョが、胸のエスクードを叩きながらベンチに下がるカッチョ良いサヨナラ風景。そして彼の代わりに入ってきたのが、仲間からムニと呼ばれている17歳のムニエッサ。美しい世代交代劇じゃないか。数十分だけのプレーで、キッチリと明日のキラキラ星選手であることを示したあと、アホ審判のおかげであっけなく退場。ここからムニ劇場が始まる。ペップが、チャビが、バルデスが、オサスナ選手ながらバルサカンテラ出身のイダルゴが、今にも泣きそうな表情をしながら下がっていくムニを慰める。さらに、観客席からはこれまで経験したことのない長い間、白い花が咲き乱れた。ほとんどの人々が知らなかったであろうマーク・ムニエッサという少年を、理不尽にも退場処分とした審判に対する抗議が続く。バルセロニスタに対するムニのプレゼンテーション。彼にとって最高のプレゼンテーショとなった。 |
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■トゥレ・ヤヤ イエェー! ■セルヒオ・ブスケ イエェー! ■チャビ・エルナンデス イエェー! ■アンドレス・イニエスタ イエェー! ■セイドウ・ケイタ イエェー! ■ビクトル・サンチェス イエェー! ■エルドゥ・グジョンセン イエェー! ■ツーリスト・フレブ イエェー! ■ティエリ・アンリ イエェー! ■ペドロ・ロドリゲス イエェー! ■ボージャン・ケルキック イエェー! ■レオ・メッシー イエェー! ■サムエル・エトー イエェー! |
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リーグ優勝が決まったあとのペップ・グアルディオラ監督の記者会見第一声は次のようなものだった。 ■ビクトル・バルデス イエェー! ■マヌエル・ピント イエェー! ■ダニ・アルベス イエェー! ■ジェラール・ピケ イエェー! ■カルラス・プジョー イエェー! ■ラファ・マルケス イエェー! ■マルティン・カセレス イエェー! ■ガビ・ミリート イエェー! ■エリック・アビダル イエェー! ■シルビーニョ・メンデス イエェー! |
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「4日間の完全休養は必要ない。だが、2日間だけでは少し足りない。理想的には3日間の完全休養が欲しい。疲労した体に休息を与えるという意味以上に、精神的なリフレッシュを可能とするための完全休養が、大事な試合を前にしてどうしても必要だ。それは3日間あれば足りる。」 ペップバルサを構成するすべてのスタッフによってプランニングされたローマへの道作戦。それは三段階のプログラムに分かれているという。そのスタートとなる第一段階、それは“フットボールのことをすべて忘れる”3日間のミニバケーションだ。そして、水曜日から土曜日までの4日間がプログラム第二段階期間となる。第一段階がミニバケーションであったなら、この第二段階はすべてを練習に費やすミニステージとなる。 ミニステージ初日となる水曜日から最終日となる土曜日まで、練習内容のリズムは1日ごとにハードなものとなるように計算されている。その練習内容は、体調維持だけを目的としておこなわれた国王杯終了以降のものとはまったく異なるもので、ひたすらエネルギー補充を目的としたものだ。ペップバルサの練習だから、当然ながらボールを使った内容のものも含まれるが、基本となるものはあくまでもフィジカル面の強化だという。選手にとっては、最後の最後に辛いハードな練習が待っていることになる。そして最終目的は、練習最終日となる土曜日に100%のフィジカルに達することにある。基本的に、ローマ出撃部隊となる選手たちのオサスナ戦出場は回避されることになるが、もしこの4日間のミニステージでフィジカル的に遅れをとっている選手がいたとしたら、むち打ち刑としてオサスナ戦用メンバーの1人となり、最後の調節期間としてこき使う可能性も考慮中だという。 オサスナ戦の翌日日曜日は、基本的にすべての選手が完全休養日となる。自主トレーニングとして練習場にやって来るのも良し、彼女や家族と一緒に過ごすのも良し、いずれにしても選手にとっては完全に自由な1日となる。そして翌日の月曜とローマに向けて飛びだつ火曜日がプログラム第三段階の期間となる。 エネルギー補充が終わっているこの段階で、フィジカル面ではいまさら特別なことはする必要のない第三段階。練習内容は国王杯戦以降のものと同じとなり、ただ体の調整を兼ねながらのロンドを中心とした軽い練習風景となる。この第三段階のプログラム目的、それはひたすら選手の意識をローマ決戦へと集中させること。違う言い方をすれば、ひたすら洗脳をおこなうこと。この世の中で一番大事なものは貯金額でも家族のことでもなく、ローマでの勝利のみであるということ脳にすり込むこと、これに尽きる。アビダルやケイタからイスラムの教えをうかがうのも良し、ドデカイ音を出してVida la Vidaの曲を聞くのも良し、ピケのおふざけに付き合うのも良し、決勝戦出場に燃えるイニエスタの固い決意表明に耳を傾けるのも良し、あらゆる方法で意識をローマ決戦に向けること。人事を尽くして天命を待っちゃうペップバルサ。 ※マジョルカ戦に続いて消化試合となったオサスナ戦。こういう試合には普段起用されることのない若手選手にとってありがたいものとなる。その若手選手が多くいるルーチョバルサチームの選手を大量に出場させて欲しいものだが、リーグの規約で4人までしか同時に出場できない。つまりグランドにいる7人の選手はバルサAチーム登録となっている選手でなければならない。もっとも、若手選手をだすと言っても、将来を期待されている選手、例えば、ミーニョは負傷中だし、ガイはいまだにEUパスポートを取得していないから出場できないし、マジョルカ戦に出場したティアゴはスペインU19代表に招集されていて不在。したがって、ルーチョバルサチームから出場してくるのは、すでに来シーズンにはバルサのユニを着ていないであろうチャビとかアブランとか、あるいはジェフレンとなるのだろう。ちなみに、このオサスナ戦は、来シーズン用ユニフォームお披露目試合となる。 |
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イニエスタのリハビリ
(09/05/20) 5月27日、ローマでのチャンピオンズ決勝戦まで10日と迫った18日月曜日、アンドレス・イニエスタは午前中いっぱいかけて山登りをしている。テラッサにあるラ・モラ、1104mの高さを持つこの山を、物理療法士のエミリ・リカーと共に頂上まで登っている。この日は幸運なことに、この山に多く生息するイノシシに追いかけられることもなかったため、ゆっくりと徒歩で頂上まで上がることができたようだ。 2センチの筋肉亀裂。その亀裂をふさぐためのリハビリはすでにスタートしている。エミリー・リカーが担当する患者へのリハビリ方法は、必ずと言っていいほどこのラ・モラを征服することから始まる。1千メートルの高度を、決して急ぐこともなく、だが休むこともなく登り詰めることで、落ち込んでいる患者の気分をスッキリさせることが一つの目的であり、同時に自信を回復させることも目的の一つとなっている。幸いにも、この日の患者であるイニエスタは痛みをまったく感じないまま、下山することができたようだ。 そしてこの日の午後は、エコグラフィーをかけることから始まった。その結果、傷口は確実にふさがりつつあるという嬉しいニュースのご褒美が待っていた。ルンルン気分のイニエスタを待ち受けているのはカンプノウ内にあるジム。ここで2時間ほどの筋肉トレーニングを済ませることになる。そして21日の木曜日、このまま順調にリハビリが進めば、彼の大好きな芝生の上で走ったり、あるいはボールに触ったりするメニューが待っている。 一方、ティティ・アンリはすでに走り込みを開始している。ゆっくりとしたペースながら独自のペースで走り込みを開始している。彼についている物理療法士はフアンホ・ブラウ。 楽観的な読みをしているの物理療法士だけではなく、プルーナを代表とするクラブ医師もまた、慎重な発言内容ながら、それでも決勝戦への出場はほぼ間違いないだろうと言い切っている。プロである彼らの予想を否定する素材はシロウトには見つからない。つまり、アンリとイニエスタがローマでの決勝戦に出場することは、この試合ではメッシーがPKを担当することと同じぐらい間違いのないことのようだ。 今日のメディアより。 |
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気分を変えて
(09/05/19) やっぱり、1年間かけて戦った結果得られるリーグ優勝というのは、せめて試合に勝利してパーと決めて欲しいものだし、贅沢を言えば、カンプノウで決めて欲しいものだなぁ〜というのが実感。せめてもの救いはマドリが負けて優勝が決まったということぐらいで、それでもやはり少々ふぬけな感じのする優勝決定となってしまいました。こんな贅沢な不満が毎年言えるのであれば、毎年言ってみたいものであります。 今シーズンの最高のハイライトとなったチャンピオンズ決勝戦まで約10日。今からモチベーション豊かに盛り上げてしまうと、試合当日には疲労困憊ということにもなりかねないので、しばらくは冷却期間としましょう。そこで、ここ3、4日はカンテラ関係のニュースをラ・マシアの方に掲載していくつもりです。フベニルAチームは国王杯の戦いが始まったばかりですが、ルーチョバルサはすでにシーズンを終了しているので、ここらへんで来シーズンの構成メンバーについて独断的に決めつけていこうと思います。ここのところサボっていたキラキラ星選手についても触れるつもりです。 今日はラ・マシアHPの方にラ・マシア寮誕生から今シーズンに至るまでに、この寮に入寮したすべての選手名を拾い出したものを掲載しました。30年の歴史を持つ寮ですから、当然ながら凄い数の少年たちが入寮しています。どうしても実家からは出たくないということで、両親の住む自宅から毎日タクシー通いをしていた少年や、バルセロナ近郊に住む少年たちは入寮していないため、例えば、チャビやピケなどの名前は見られないし、ほんの数日、あるいは数週間だけ仮住まいしていたようなモッタやメッシーの名前も見つかりません。 快晴の日曜日、ミニエスタディでフベニルAチームの国王杯1/8の試合観戦。相手は因縁深いビジャレアル。このチーム相手の試合で勝利していれば、カンプノウでの優勝シーンが見られたのだ。ビジャレアルBが最終戦で勝利してくれれば、ルーチョバルサはプレーオフ参加できたのだ。ビジャレアルがマドリに勝たなければ、ひょっとしたらマジョルカ相手の試合で優勝が決まったのだ、と、いろいろ因縁深いビジャレアル相手の国王杯。観客数約300人、両クラブ関係者、両クラブ選手の家族や親戚や友人や彼女やお隣さん、バルサのカンテラ選手、この人たちだけでも優に200人ぐらいは集まって来ていただろうから、純粋に暇にまかせて来たファンは100人程度ということか。 座った席の周りにはルーチョバルサチームの選手や、この試合に招集漏れとなった選手、バルサカンテラ選手などで埋められていたが、試合が終わってからの別れの挨拶がこの時期ならではのもの。 ※“ダ・ヴィンチ・コード”という映画がバルセロナにやって来たのは2006年のこと。なにゆえそんなことを覚えているかというと、この年はバルサがチャンピオンズを征した年だから。それじゃあ、なにゆえチャンピオンズとこの映画が関係あるかというと、両方ともパリが舞台となっていたから。「バルサはこの街で決勝戦を戦うのだ!」だったか「この街で戦って勝利したのだ!」だったかという時間の前後は記憶にないが、いずれにしてもサンドニでバルサは優勝を飾ってくれた。そして先週、この映画の続編と言って良い“Angels and demons(スペイン語タイトルAngeles y demonios)というのがバルセロナにやって来た。 |
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サイクルの始まりと終焉
(09/05/18) 思えば、日本に住んでいるバルサファンの人たちがやっていたバルサ応援サイトを偶然見つけたのが2000年のこと。フムフム、日本にもバルサのことに興味ある人がいるのか、うんならバルセロナからバルサニュースを発進してみるべえか、と軽い気持ちでバルササイトを誕生させたのがその年の夏。気がついてみれば、もうかれこれ10年近くたっているではないかい。 当時では、まだ日本人バルセロニスタに知られていなかったエスポーツ紙やエル・ムンド・デポルティーボ紙に掲載されているニュースを今日の一面として発進したり、小さい画面で短い映像ながらもカナルチキートを発進したり、ゴシップネタ満載のNewsGranaを発進したり、ノンビリノンビリと3年近くもかけてバルサ百年史を発進したり、そしてラ・マシアの存在やそこから育った選手、あるいは将来を期待されるキラキラ星選手を発進したり、まあ、我ながら非常に充実したサイトであったと自負しております。 この10年間、世の中がそうであるように、バルサ周辺にも当然ながら色々な意味で多くの変化が生じています。セラフェレールバルサ誕生と共にスタートしたサイトですが、レシャック、バンガール、アンティック、ライカー、ペップと監督が交代し、クラブ会長もガスパーからラポルタへとバトンタッチされ、そして時の流れと共に、バルサニュースを日本語で紹介する多くのメディアやファンサイト、あるいはブログが誕生してきました。いつの間にか消えていってしまったものもあるようですが、同時に新しいサイトも誕生しているようで、日本人バルセロニスタの充実がうかがわれます。 そして今シーズンペップバルサの誕生と共に、すでに2つのタイトルをとるという偉業を達成し、バルサに新たなサイクルがスタートしようとしています。さて、常に一歩先を目指してきた当サイトですが、一足お先にサイクルを終了し、今シーズンをもって更新終了とする予定です。すでに今シーズンが始まる頃から考えていたことですが、何事にもサイクルの終焉というものがあるようで、ライカーバルサのようにその終焉時期を間違えてはいけません。やり残したことも見つからないし、これまで以上に面白いものを提供できるかどうかも怪しいし、そもそもこのサイトでなければ、というものがなくなってきたように感じています。惜しまれながらのサヨナラであるなら最高の形の終焉です。 そうは言っても、まだローマへの道までは同行します。残りわずかとなりましたが、みんなで楽しみましょう。とりあえず、このサイトを長生きさせてくれた心優しいバルセロニスタの人々に対して心から、グラシアス! ビスカ バルサ! |
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ジェラール・ピケ
(09/05/17) 土曜日におこなわれるビジャレアルとマドリの試合結果次第で、その日の深夜にもバルサのリーグ優勝が決定してしまう。リーグ戦3試合残したところでリーグが終わってしまうことになるが、その前にどうしてもジェラール・ピケの活躍を褒め称えておきたい。彼の入団が決まったときに、出番はそう簡単にはやって来ないだろうし、彼が一丁前の選手になるには、かなりの時間がかかるのではないか、そんな印象を持った記憶がある。だが、リーグ戦の試合が進んで行くに従い、与えられたチャンスを確実にものにして、セントラルのポジションを勝ち取っていった。はっきり言って、これは少々計算外のことだったと思っている。 しかし、考えてみれば、マンチェスター時代の彼も、サラゴサ時代の彼のプレーもそれほど見ているわけではなかった。ジェラール・ピケという選手の個人的な印象は、カデッテとフベニル時代に見続けたそれに止まってしまっていたのかも知れない。彼は他のカテゴリーの試合なども必ず見に来ていた熱心な“バルセロニスタ”の1人だったが、試合を見ながら何回か、あの選手はウンタラカンタラ、あっちの選手はウンタラカンタラと、解説してくれる変なヤツでもあった。カンテラ時代からポジションはセントラル。攻撃参加が多かった選手だったから、カデッテ時代だったか、あるいはフベニル時代だったか忘れたが、すでに観戦者の間からピケバウアーというあだ名がつけられている。 スタンフォード・ブリッジでのチェルシー戦を前にしての彼へのインタビューがおこなわれているが、それをとっておいたので賞味期限が切れる前に紹介。 少年の頃から学校成績は良く、しかもエリートスポーツ選手。さらに都会人であるうえに男前。おまけにマドリ戦ではゴールまで決めてしまった。これ以上なにか望むものがあるだろうか? もしあったとしたら、それは犯罪行為だろうね。でも、まあ、次のチェルシー戦には勝ちたい。確かに学校の成績は良かったんだけど、どうも学校というのは自分に向いていなかったな。それでも母親が教育者だったから、その息子がみっともない成績を残すことだけは許されなかった。だから、勉強はよくしたさ、テストの何日か前だけだけど。バルセロナ生まれのバルセロナ育ちではあるけれど、男前かどうかは知らん。でも知り合いの人たちは自分は母親似だと言うし、そうだとしたら男前かも知れない。うちの母親は超美人だからね。 そしてマドリ戦ではゴールまで決めてしまった。ところで、6点目のゴールだというのに、派手なゴールパフォーマンスをしたのは、マドリファンを侮辱する行為ではないかと、中央メディアが批判していたが? 6点目だろうが10点目だろうが、マドリ相手にゴールを決めたことで最高の気分になっているというのに、いったいどういうゴールパフォーマンスをすれば良いというのだろう?まさか、観客席に向かって両手でゴメンナサイをしろってか?そういう批判をする人は、試合の翌日にだされたブートラゲーニョのコメントを聞くべきだ。 バルサというあなたの家に戻ってきたときに、こんなにうまく物事が運ぶと予想できたか? それは不可能な予想さ。チーム状況が今のように快調にいくということは予想できたけれど、個人的な意味ではまったく予想不可能なことだった。もし、プレーの継続性が与えられれば、それなりに満足できる結果をだせる自信はあったし、自分が納得できるプレーをし続ければ、いずれ定位置を確保する自信はあった。だが、これほど継続性が与えられるとは予想できなかった。バルサに戻れることができたことさえ信じられないことなのに、これほど早く継続性が与えられるなんてまったく信じられないことさ。しかも、このチームはクラブ史上最高のチームの一つでもあるというのに。 しかも、あなたは1年目の選手。 いやいや、自分は1年目の選手なんて思ったこともないし、事実そうじゃないと思っている。新人ではあるけれど、バルサ1年目の選手ではない。なぜなら8年間もカンテラ組織にいたんだからね。自分の体にはバルサのフィロソフィーが染みこんでいる。その意味ではフレブやケイタのように、1年目だからということで苦労することはない。 バルサでのセントラルというポジションは難しいとよく聞くが? 決して簡単じゃないことは明らかさ。例えば、他のクラブであれば、セントラルの選手に要求されることは、ボールを奪うことと高さに強いこと。だが、バルサというクラブでセントラル選手に必要なことはそれだけじゃない。攻撃の起点となったり、攻撃参加することまで要求されるからさ。 カピタンからは他の選手以上に“監視”されているらしいが? プジと一緒にプレーしていると、それこそ息をする暇もないぐらいああだこうだと怒鳴られている。ある試合なんかは、相手の選手が負傷してタンカで運ばれようとしてる時に、俺の方を見ながら叫ぶんだ。 ペップとファーガソンの違いは? ペップは一日中フットボール漬けになっている監督。すべての選手たちに同じことを要求するわけじゃないけれど、自分に対してはフットボール漬けになれと要求してくる。自分はまだ若いし、生まれ故郷に住んでいるから友達も多いし、誘惑も多いからという理由だろうね。そういう意味ではプジや母親と同じさ。ファーガソンは、自分にとっては父親みたいなもので、一度として監督と感じたことはなかった。好きなようにクラブを動かす権力を持っているし、そういう意味ではクラブのオーナーのような感じだったな。練習はケイロスに任せていたから、自分にとっての監督はケイロスだった。いずれにしても、ローマの決勝戦に進出できて、しかも相手がマンチェスターだったら、自分にとっては超特別な試合となるだろうね。 |
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新しいサイクルの誕生
(09/05/16) クライフが監督に就任した最初のシーズン、つまり1988−89シーズン、クライフバルサはレコパ(カップ・ウイナーズ・カップ)を勝ち取っている。監督就任1年目にしてヨーロッパタイトルを獲得しているわけだから、快挙と言えばそうなる。だが、スペインリーグの方に目を向けてみれば、まさにレアル・マドリの全盛期で、彼らは4年連続リーグ優勝を達成しており、バルセロニスタにとって両手をあげて喜べるシーズンとはなっていない。そして翌シーズン、リーグ戦の方は相変わらずレアル・マドリがダントツに位置し続け、5年連続リーグ優勝を勝ち取り、多くのバルセロニスタにとって悲惨なシーズンとなった。2年目にして早くもクライフ監督の更迭がおこなわれるのではないか、そういう噂がメディアを賑わすシーズン終り近く、バレンシアはメスタジャでレアル・マドリ相手の国王杯決勝戦を戦うクライフバルサ。1990年4月5日のことだ。 「死体の臭いを嗅ぎつけた禿鷹どもが、大勢集まってるじゃないか。」 だが、この国王杯決勝戦、クライフバルサは“奇跡的”に勝利してしまう。ここぞという大事な試合では、特にレアル・マドリ戦となれば決して起用しなかった、3−4−3という危険なシステムをもって戦ったクライフバルサが勝利してしまう。 もしこの試合に勝利していなかったとしたら、クライフ更迭がおこなわれていただろう。もっとも、それは一つの可能性にしか過ぎない。大いなる可能性を持つことながら、想像の域をでることはない。それでも一つだけ確かなこと、それはこの勝利があって初めて、“ドリームチーム”誕生が可能となったことだ。まさに“ドリームチーム”の卵が誕生した瞬間だった。 リネッカーをエストレーモに(まるでエトーをエストレーモに)配置したり、セントラルのアレサンコをデランテロセントロに(まるでピケをデランテロセントロに)配置したりするクライフのアイデアを、多くのバルセロニスタは理解できなかった。だが、クライフのアイデアするフットボールがグラウンドで展開されていくに従い、カンプノウにもバルセロニスタが戻ってくるようになる。多くの時間ボールを奪われることなく確実に支配し、ボールを失った瞬間から中盤で絶え間ないプレッシャーをかけ、パスされるボールはスピード豊かに走り回る美しくもダイナミックなフットボールが展開されていくことになる。クライフ監督就任3年目にして初めてリーグ優勝を飾り、長い間続いたレアル・マドリのサイクルに終止符を打つことができた。 あれから19年後、やはりバレンシアのメスタジャでおこなわれるビルバオ相手の国王杯決勝戦を前にして、ペップ監督は次のように語っている。 |
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バルサカンピオン!
(09/05/15)
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国王杯獲得数最多クラブ対2位のクラブ
(09/05/14) 1902年からスタートしたスペイン国王杯の歴史にあって、バルサとビルバオは他のクラブを大きく引き離してカップを手にしてきたクラブだ。バルサが24回、ビルバオが23回、この両チームにレアル・マドリの17回というのが3番目に位置し、4番目以下のクラブとなると10回にも満たない優勝回数となっている。そして、この両クラブによる国王杯決勝戦はこれまで5回ほど戦われている。6回目となる今回の決勝戦は実に25年ぶりの対戦。さて、少し歴史書をひも解いてみよう。 ●1919−20シーズン ●1931−32シーズン ●1941−42シーズン ●1952−53シーズン ●1983−84シーズン ●2008−09シーズン |
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フィエスタ延期
(09/05/13) 副会長としてはバルサ歴代の逸材でありながら、会長としては史上最悪×100だったガスパーのように、コーチとしてはその才能を発揮しながらも、監督としてはお粗末だったカルラス・レシャックが語る。ビジャレアル戦が始まる前のことだ。 審判の笛が吹かれる前からイニエスタコール。こんなことはクーマンコール以来のことだろう。今でも忘れない1992年5月20日ウエンブリーでの決勝ゴールを決めたロナルド・クーマンに対し、あの試合のあとに、リーグ戦で戻ってきたバルサの試合で、相手チームなんぞはまったく覚えていないが、試合開始前からクーマンに対して観客席から大コールが生まれている。あの日がいつだかも覚えていないが、間違いなくあの日以来の出来事だ。 ロスタイムでの同点劇。試合開始前からフィエスタが始まりましたという雰囲気で始まった試合だから、最後の最後にしらけたと言えばしらける幕切れ。90分間美味しい料理に食いつき、デザートとなったら誰かにその皿を横取りされたような感じでもあるし、まあ、何ともはや、適切な言葉が見つからず、何ともはやだ。それでも、わずか3日前に同じような幕切れを体験したチェルシーファンのことを考えれば、比較の対象ともならないから良しとしよう。リーグ優勝はすでにベルナベウ決戦で決まっていることだし、フィエスタが延期となっただけの話。しかもイニエスタがローマに行ける可能性が大だというニュースが、多くのバルセロニスタにとって大いなる慰めとなった翌日。 カンプノウでのバルサ・ビジャレアル戦が始まる1時間前に、すでにビルバオ御一行はバレンシア入りしている。決勝戦3日前にすでに現地入りというのは異常な空気の入り方だ。日曜日午前中の公開練習に2万人のビルバオファンが結集したと言うし、このチーム相手の試合は目一杯入っている空気との戦い。ビルバオの1人1人の選手を見れば、誰1人としてバルサのスタメンとして出られる選手は見つからないが、モチベーションにかんしてだけは彼らの誰1人としてバルサの選手に負けていない。何たって、ビルバオというクラブが10年か20年に1回取れるかどうかのタイトルをかけての試合だ。バルサにとっては3冠タイトルの一つにしか過ぎず、しかも獲得希望順位をつけるとすれば最後に位置するタイトル。モチベーションで勝てるわけがない。 モチベーションが勝利するか、実力が勝利するかの90分一本勝負。カタルーニャ旗とバスク旗、そしてバルサ旗とビルバオ旗が観客席に花を咲かせるのは想像がつくが、スペイン国旗はまず見あたらないだろうと思われるスペイン国王杯。果たして国王はパルコ席で何を思うか・・・ってなことはどうでもいいか。 ※まだ当人の公式声明も一切おこなわれていないというのに、すでに何か月も前から次期会長と“公認”されているフロレンティーノ・ペレスがついに動き出したようだ。今週の木曜日11時30分にマドリにあるリッツホテルで公式声明をおこなうという。もっとも、バルサフィエスタ延期がメインニュースとなるような中央メディアだから、時期的には最適ではある。これでバルダーノやジダンの加入、ロナルド、カカ、セスク、リベリーなどの獲得話がドヤドヤと楽しくも押し寄せてくる風景が水晶玉に映りました。 |
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時間よ止まれ!
(09/05/10) もし、予定どおりバイエルンを退けることができたら、そしてそれはじゅうぶん可能なことだと思うが、ペップバルサは6週間で13試合を戦うことになる。単純計算で3.2日に1試合をこなすスケジュール。しかもすべてが重要な試合ときている。かつて、セビージャ、バレンシア、シャクター、マドリ、ビジャレアル相手に戦った昨年の11月の末から12月の中旬までの期間を、ツールドフランスの厳しい山越えに例えて“トゥールマレ”と呼ぶメディアがあったが、この4月から5月にかけての期間は、まさにエベレスト級のものと言える(こちらカピタン4月4日より)。 エベレストに登り始めて今日でちょうど5週間。この5週間の間に消化した試合数は10、そして試合結果は6勝4分け無敗(リーグ戦5勝1分け、チャンピオンズ1勝3分け)。まことにもって立派なもんです。 それでも、まだ何も勝ち取っていないペップバルサ、と言うだろう。確かに、国王杯もチャンピオンズも決勝戦がまだやって来ていないし、リーグ戦制覇も数字的に決まっていないから、そういう意味で言えば、まだ何も勝ち取っていないペップバルサとなるかも知れない。だが、今日に至るまで、まだ何の具体的なタイトルを獲得していないペップバルサとは言え、すでに多くの喜びをバルセロニスタに提供してくれている。 バイエルンやセビージャ相手の試合で見せてくれたスペクタクルなフットボール。何十年後かにも語られるであろう今シーズンのベルナベウクラシコ。テレビ画面に釘付けになっていたバルセロニスタに、最後の最後の瞬間に限りない喜びを与えてくれたチェルシー戦。ベルナベウクラシコ後にランブラス通りに10万人、エル・プラット空港に6千人、そしてそれからわずか4日後には再びランブラス通りに5万人、早朝の5時の空港に3千人というバルセロニスタが集合したというのは、まさに凄いことだ。そして、更に凄いことに、チェルシー戦終了後に大騒ぎしてから4日しかたっていない今日、つまり5月10日、今度はカンプノウを舞台としてグラン・フィエスタが開催されるかも知れない。どんなに長い間バルセロニスタをやっている人でも、これほどスケジュールがつまったフィエスタ週間は経験していないだろう。 何かもったいない。もっと時間をかけてゆっくりとペップバルサの成功の喜びを一つ一つ噛みしめたいと思うのに、そういう贅沢を許してくれない忙しいスケジュール。へたすりゃ、と言うか、幸運の女神がこれまでどおりに味方についてくれれば、今日の大騒ぎのあとに、来週水曜日にも大騒ぎの夜がやって来る。そして、そして、2週間後の水曜日にも、今シーズン総決算のグラン・フィエスタが待っているかも知れない。選手も忙しければ、バルセロニスタも忙しい。時間はなかなか止まってくれない。 5月9日土曜日23時50分、目的も何もなくなった落ち目のマドリにバレンシアが勝利した。その結果、今日のビジャレアル戦に勝利すれば、そう、そう、スペインリーグの優勝という一つめのタイトルを勝ち取ることになる。まだ何も勝ち取ってはいないペップバルサは過去のものとなり、最初のタイトルを獲得するのだ!ワオーワオー! 19時カンプノウ、バモス! |
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イングランドメディア
(09/05/09) 主審に対する不満や批判がニュースとなるのは、別にスタンフォード・ブリッジ後半90分の試合だけに限ったわけではなく、カンプノウでの前半90分の試合でもそうだった。アンリに対するペナルティエリア内でのファールを見逃し、バラックの友人でもある審判が、彼に対して二枚目のタルヘッタを出さなかったことも批判の対象となった。そういうことに触れていたカタランメディアに対し、イングランドメディアは“バルサのフラストレーションの象徴”とクールに表現。それでは、スタンフォード・ブリッジ後半90分の試合後のイングランドメディアの反応はどのようなものか、それを伝えてくれるメディアがあったので紹介。 ロンドンを拠点とするすべてのメディアが批判していることは、もちろん主審のとった誤った判断に関するものだ。ピケのハンド、アルベスがマロウダに対しておこなったファールは、ペナルティエリア内であったこと、この2つのPKになる可能性のあったファールと、アビダルに対する誤った退場処分には、すべてのメディアが共通して触れている。だが、他のファールに関しては、それぞれのメディアによって微妙に分析が違う。 “スタンフォード・ブリッジにおけるブルー殺人”というタイトルで始まるDaily Mail紙は、2ページにわたって“4つのペナルティー”が少なくともあったと分析。一方、The Times紙には色々な意見のコメントが掲載されている。イングランド同士の決勝戦を防ぐために陰謀があったのではないかというコメントがあれば、チェルシー側が不満を漏らすのは理解できることながら、それであるなら、カンプノウでの試合後のバルサ側の不満も認めるべきだったという意見。しかも、チェルシーは4年前のバルサ戦で、バルデスへのファールを見逃したコリーナ審判がテリーのゴールを認め、結果的に得していることも指摘。そして、いずれにしてもバルサというクラブの持つフィロソフィーの勝利ではなかったか、と結んでいる。 The Telegraph紙は、実力的には決勝戦に進出できるチームでありながら、審判のミスで大会から去ることを余儀なくされたことを嘆くと共に、ヒディング監督のとった選手交代作戦、例えば、なにゆえドログバを下げてベレッティを出したのか、そこらへんにも疑問を投げかけている。そしてバルサを褒め称えることも忘れていない。 The Sun紙の意見ははっきりしている。イングランド同士の決勝戦を避けるための陰謀があったというのは、まったく持って幼稚な発想であると批判し、10人となったハンディー戦でも最後まで諦めずに戦ったバルサの姿勢を高く評価するべきだと主張。 ※同じくThe Sun紙が伝えるに、チェルシーのカピタンの1人であるジョン・テリー選手が試合後にバルサ選手のいるローカールームを訪れ、1人1人と挨拶をしているという。やたらと倒れまくるドログバや、イニエスタの蹴ったボールから逃げた弱虫バラックなどが、まだ外で騒いでいる頃だ。そして彼の挨拶が終わりロッカールームから消えるなり、“テリー!テリー!テリー!”の合唱がバルサ選手から送られるという、まったくもって不思議なシーンについても触れている。偉大なりジョン・テリー。我らがカピタン・プジョーに不満はないものの、残念ながらこういうことができるカピタンではない。偉大なり、ジョン・テリー。 |
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まだ、疲労が・・・
(09/05/08) むかし、むかし、遙かむかし、東京は池袋に文芸座という汚らしい映画館があって、週末となると、夜の10時頃から朝の6時頃まで5本立ての深夜映画興行をやっておりました。だいたいがヤクザ映画で、最も人気のあったシリーズは何と言っても“緋牡丹のお竜”や“昭和残侠伝”シリーズ。徹夜で見る映画なので、ゴダールだとかフェデリコ・フェリーニなんてものはダメで、単純明快スッキリクッキリのものじゃなければいけない。しかも、子供でもわかるぐらいの、正義と悪がはっきりしているものじゃなければいけない。85分間ひたすらいじめられながらも我慢し続けた“正義派”が最後の最後に切れてしまい、最後の5分間程で“悪”をやっつけてしまう、というストーリーはすべてのシリーズで共通している。そして、昨日のチェルシー戦を見終わって、なにやらそんな昔の深夜映画のことを思い出してしもうた。 いやいや、もちろんチェルシーというクラブが悪というわけではない。ヌマンシアというクラブの年間予算分ぐらいの年俸を1人1人とっている11人の選手が、まるでヌマンシアのように亀の子作戦をとっていることが悪というわけでもない。カンプノウだけではなく地元でも同じように引きこもり作戦をとろうが、それが悪というわけでもない。バルサが10人となってからも特別攻めようとはせず、デランテロをベンチに下げてベレッティを投入するということも別に悪いことではない。ただ、こういうのは趣味ではないし、どうも気に入らない。そういうヨロシクないチームを最後の最後に粉砕したというのは、はあ、まったくもって気持ちよいものだ。 以前にも触れたように、チェルシー監督グース・ヒディングは、オランダPSVの監督時代にコパ・デ・ヨーロッパを制覇している。準々決勝、準決勝、決勝と、すべて引き分けという結果でありながら、ヨーロッパタイトルを手にしている。フエラの試合で少なくともゴールを決めての引き分け、そしてカサに戻ってからのゼロゼロの引き分け。ここまでは敵陣でのゴールが威力を見せ、決勝戦ではPK合戦に勝利し優勝を飾っている。それが、ヒディングの“勝ち抜き作戦”であったとすれば、皮肉にも今回はペップバルサヒディング相手にその作戦を実現させてしまった。 それにしてもと思うのは、チェルシーというチームには良い選手がそろっているのに、こんな戦いをしなければならないというのは、いや、本当にもったいない気がする。他人事ながら、こんなに才能ある選手たちが、こんな感じでプレーしていて楽しいんでしょうかと、他人の余裕の一言。ついでに余計なことをもう一つ言わせてもらえば、これで今のチェルシーのサイクルは終了したのでしょう。 イニエスタ、トゥレ・ヤヤ、ピケ、バルデスの大活躍に拍手。90分を通じてたった1回のゴール枠内へのショート。そしてそれが決勝戦進出を決めるゴール。たまりません。そして彼らに拍手しながらも、気がつけばすぐに週末がやって来る。リーグ優勝を決めてしまうだろう、今週末がやって来る。テレビで試合を見て劇的な試合に興奮し、そしてランブラスでのバカ騒ぎ。それも週1回ではなく週2回。疲労が、疲労が、気持ちよい疲労が・・・。 ※2016年のオリンピック開催地にマドリッド市が立候補。ロゴマークもすでに発表されているが、クラシコ後には新しいロゴマークが誕生している。 |
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再びチェルシー戦
(09/05/06) 再びチェルシー戦。カンプノウ前半90分の試合の時と同じように、今回もまたイングランド人ジャーナリスト、ジョン・カルリン(チェルシー戦09/04/28)さんにご登場願おう。 今シーズンのペップバルサの試合は、全部とはもちろん言えないまでも、数多くのスペクタクルな試合展開をみせて、私を含めて多くの観戦者を楽しませてくれている。だが、ペップバルサとはまったく異なった、例えば、戦闘的なスピリッツによる戦いとでも言えばいいと思うが、そういう意味での試合を2試合観戦し、個人的には大いに楽しむことができた。2つとも、多くの人々が形容する、いわゆる“アンチフットボール”的な試合だ。一つは9月にモンジュイクでおこなわれたアンドラ対イングランドの試合。そしてもう一つは、つい先日のバルサ対チェルシーの戦い。 イングランド代表を相手にアンドラ代表は、驚くことに前半を無失点で終了している。相手チームの圧倒的な強さと共に、己のチームの限界をしっかりと認識し、超守備的なスタイルで戦っている。ポルテロの前に大型バスを何台も配置し、あらゆる角度から放り込まれるボールを、これまたあらゆる角度で相手陣内に戻すことに成功している。この戦いのスタイルを“小さいチーム”のそれとしても良いし、ビッグチームには決してなれない宿命をもったチームのそれとしても良いだろう。だが、いずれにしても、ファビオ・カペロ監督率いる代表チームは前半45分間、一度もゴールを決めることができなかった。チェルシーの選手たちがカンプノウでの試合後に大喜びしたように、このアンドラの選手たちも両手をあげて成功を喜び合っていた。 だが、その喜びは、少なくともアンドラ代表の選手たちの喜びは、後半終了後には訪れることができなかった。イングランド代表は2ゴールを決めているからだ。それでも、アンドラ代表の選手たちは、まるでアラモの砦を守った戦士のように誇りだけは失っていない。相手との実力の差をはっきりと認識していた彼らは、そしてファンの人々は、戦いのスタイルがどうであれ、誇りを失うことはなかった。それは、先週カンプノウで戦ったチェルシーの選手たちやファンの人々にとっても同じだ。 「我々は非常に勇気のある戦いを展開し、そして目的を達成した。」 だが、それは違うのではないだろうか。5千万人の人口を持つイングランド代表に対し、8万人しか人口を持たないアンドラ国の代表チーム。もしカペロがアンドラ代表監督であったなら、イングランド代表相手にどのような戦いのスタイルを試したというのだろうか。もしペップがチェルシーというテクニック的に非常に限界のあるチームを率いて、歴史的に最強チームと賞賛されているバルサ相手のカンプノウの試合に、果たしてどのようなスタイルで戦おうとしただろうか。攻撃的?正面切っての堂々とした戦い?それが自殺行為であることは、誰の目にも明らかではないだろうか。 百歩譲って、アンドラ人の年間所得がイングランド人のそれと同じか少し上回っているとしよう。多くのチェルシーの選手の年俸がバルサ選手のそれより上回っているとしよう。だが、経済的に豊かであることと、フットボール的に優れていることとはまったく無関係なことだ。ヒディングや選手だけではなく、多くのチェルシーファンがバルサの優位さを、悔しいながらも認めている。しかもカンプノウという敵陣内での戦いだ。強敵を相手にしての撃ち合いなど問題外。守備的と言われようと、スタイルがどうであろうと、相手チームにゴールを奪われなかったことが最大の関心事だ。したがって、チェルシーファンにしてみれば、誇りはもちろん失われていないし、チャンピオンズ決勝戦進出に向けた希望も100%状態となっている。 ヒディングが“勇気ある戦いを展開した”と語るように、チェルシーファンもそのような思いを抱いている。そしてイングランド人にとって口癖となっている“幸運は勇気あるものに訪れる”というフレーズが現実のものとなり、負傷したマルケスとカード制裁のプジョーはロンドンでの試合には出場できない。メッシーやイニエスタにバラックの強烈なタックルが決まり、試合中に途中欠場という不幸な出来事さえ起きるかも知れない。主審のミスでチェルシーにPKが与えられるかも知れない。あるいはチェルシーが再び超守備的なスタイルで戦い、0−0という結果でPK合戦となり、チェルシーが幸運をつかむかも知れない。もしそうなったとしたら、フットボールを愛するファンにとっては残念な結果と終わるだろう。だが、いずれにしてもペップ監督には、これまでの完璧と言って良いジェントルマン監督の姿勢を貫き、試合後にはチェルシーのメリットを認める発言をして欲しいものだ。小さいものが大きいものに勝利するメリット、小さいチームがビッグチームに勝利するメリット、そのメリットは計り知れないものがあるのだから。 イングランド人の皮肉やジョークは、ときたま鋭すぎてマジなのかジョークなのか皮肉なのか、いまだによくわからない時がある。果たして、チェルシーを小さいチームとするのは、カンプノウであんな戦い方をしたことによる皮肉なのか、あるいは本気なのか、それは各自で答えをだすしかない。 El PAIS 紙から |
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グラシアス!
(09/05/05) 今から35年前のベルナベウクラシコ。敵地であるにもかかわらず、0−5というスコアでバルサが勝利している。この試合を何らかの方法で観戦したバルセロニスタは、10年後、20年後、そして30年後、彼の息子たちや孫たちにこの試合の様子を説明してきただろう。さも自慢げに説明してきただろう。この試合をリアルタイムで観戦していたことを自慢げに、バルセロニスタにとっていかに偉大な日であったかということを説明してきただろう。 その試合のことを耳にタコができるほど聞かされてきた若者たちは、幸運にも今回のベルナベウクラシコをリアルタイムで観戦することができた。モノクロのビデオの世界でしか見たことのない35年前の歴史的な試合、ひょっとしたらその試合を上回るほどの歴史的な試合ではなかったか。この歴史的な試合に幸運にもリアルタイムで遭遇できた若者たちは、これから10年後、20年後、30年後、あるいは40年後、彼らの息子や孫たちにこの試合のことを自慢げに話すことになるだろう。それが歴史というものだ。 生の声で後生の人々に伝えていく、それが歴史。そして2009年に生きるバルセロニスタは、この劇的な歴史を伝えていく役目を仰せつかった幸運な人々だ。 「バルセロナへの帰路につくときに、我々の持つフィロソフィーを曲げることなく戦った、その思いさえあれば結果がどうであれ満足することができる。」 そう、今週土曜日に開催されるバレンシア戦にマドリが勝利できず、日曜日開催のビジャレアル戦にバルサが勝利すれば、今シーズンは終了する。だが、我らがバルサは忙しい。その前にチェルシーとの試合が待っている。 選手たちが疲労なんかを感じているとは思わない。バルセロニスタが歴史的な時間を過ごしている今、彼らにとってもフットボール選手としての歴史的な瞬間を同じように過ごしていることになる。10年、あるいは15年程度のプロ生活の中で、1回訪れるかどうかという歴史的な瞬間を過ごしている。その彼らが目的を達成することを信じて、水曜日の夜を待とう。こんな楽しい時間を過ごすことを可能としてくれた彼らを信じて、ひたすら待っていればいいのだ。楽しいときには、ひたすら楽しまなくっちゃ。 グラシアス!ペップバルサ! |
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試合開始3分前
(09/05/02)
我々の将来を決めるであろう大試合を3分前にしている今、 この瞬間、今の我々は地獄にいると思って良い。 私はもうあまりにも歳をとって疲れてしまったから、 どんなに小さい誤りでも、例え、ミリメーターの世界の誤りでも、 我々のチームはそのミリメーターとの戦いをおこなわなければならない。 死すことさえ恐れぬ気持ちで戦えば、 自分の人生にまだ残っているものがあるとすれば、 1人1人が仲間の顔を見なければならない。 さあ、君たちはどうする? |
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歴史的シーズン
(09/05/02)
ここ10年のリーグ優勝チームのポイント数を見てみよう。 今シーズン残り5試合を残したところで首位を走るバルサが82ポイント、2位のマドリが78ポイントをすでに獲得している。今の段階でも、両チームがリーグ優勝を飾ってもおかしくない獲得ポイント数だ。残りのシーズンを、もしバルサが5連勝したとしたらシーズントータル97ポイント、マドリにしても93ポイントという、世に希なシーズンとなってしまう。そういう意味では、再び繰り返されることのない歴史的なシーズンを迎えていることにもなる。いかに醜い戦いを通してポイントを稼いでいるマドリとはいえ、それはそれなりに評価してあげないといけない。チャンピオンズ5年連続1/8段階で消えていき、国王杯は参加しなかったも同然のチームながら、週イチだけ戦えば良いという利を生かして、リーグ戦だけは根性を見せている。ペップバルサが歴史的なシーズンをおくっているとすれば、彼らもまた同じように歴史的な活躍を展開しているシーズンだ。 フアンデマドリが誕生してから最初のリーガの試合が、カンプノウクラシコだった。この試合に醜く敗北し、その後アトレティコとのダービー戦を引き分けとした以外、これまですべての試合に勝利。19試合戦って17勝1敗1分け、驚くべき数字であり、試合内容とは正反対のスペクタクルな首位追跡戦を演じている。このような数字を出しながらも、それでもを首位に立てないというのは、ひとえにペップバルサの躍進が障壁となっているからだ。シーズン残り5試合となったところで、その差はまだ4ポイント。ペップバルサは依然としてリーガ制覇の第一候補となっており、このベルナベウクラシコでは引き分けでもOKという、何とまあ、楽な展開となっている。 引き分けでも良いとしながらも、だがそれでもいつものように試合開始1分から勝利を狙っていくであろう我らがペップバルサ。歴史的な追跡劇を演じているフアンデマドリに、直接対決で引導を渡すことができる願ってもないチャンスでもある。 8か月間の総決算がやって来た。バルセロニスタにとって、これほどワクワクとする試合はない。ヘタフェやセビージャに期待するのではなく、自らライバルチームをぶち負かすことで、この素晴らしかった8か月間の総仕上げとするチャンスがやって来た。もちろん、必ずしも強いものが勝つとは限らないフットボールの世界ではある。90分間戦ってみないと結果はわからない。フアンデマドリが、どのような戦い方をしてくるのかもわからない。唯一わかっていることは、ペップバルサがペップバルサらしく戦っていくということだけだ。それは間違いない。ひらすた勝利を目指して、試合開始1分からカシージャスを狙っていくであろうペップバルサ。その彼らに幸運を! バモス、メッシー! |
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お互いにハッピー!
(09/05/01) 人は誰しもが幸せになる権利がある、と小学校の道徳の時間に教わった記憶があります。それが大人になるに従い、世の中の複雑な事情に身も心も染まっていき、いつの日か、その権利をまっとうできる人とできない人がいることに気がつきます。1人が幸せになれば、もう1人が不幸になることもある、そういうことは、特にライバルと名の付く関係となると顕著にあらわれてくることです。マドリディスタが幸せな時を過ごしているとすれば、同じ時期をバルセロニスタが不幸に過ごすことになる、そういう関係となるのは、これまでの歴史が証明しています。そしていま不思議なことに、永遠のライバルという関係にあるマドリディスタとバルセロニスタが、同じように幸せな時を過ごしているという、世にも希な瞬間を迎えているのでありました、と格調高くスタート。 中央メディアが命名する“奇跡のマドリ”は、ヘタフェ戦でトンマ・カスケロの協力もあり、文字通り奇跡の勝利を演じ、しかも誰しもが敗戦を予測(期待?)したセビージャ戦でも、恐竜ラウルのハットトリックという、現役生活最後の爆発を見て見事に勝利している。その結果、リーグ戦首位を突っ走る我らがバルサに4ポイントと迫り。クラシコの週となる今週に突入。たった週に1回だけの試合とはいえ、これまで長い間苦しみ続けてきたマドリディスタにとって、今シーズン初めて幸せを感じる瞬間がやってきた。例え彼らが奇跡的に勝利することがあっても、まだ1ポイント差で2位に甘んじなければならないという現実も、クラシコ後にはバレンシアとビジャレアル相手のフエラの試合が続くという厳しい現実にも、ルンルン気分の幸せ者の目には入らない。厳しい現実を見られないのも見ようとしないのも、幸せ者の特権ではある。まして、クラシコに負けるというような、超現実的な可能性なんぞは考えたくもない、ミザルキカザルイワザルの、少なくとも今だけは幸せでありたいマドリディスタ。 一方、我らがバルセロニスタも超幸せな今週。まず、ヨーロッパ最強4チームのみが参加できるチャンピオンズ準決勝の試合があり、その試合の3日後には、これまたヨーロッパの最強4チームのみが参加できるバスケファイナルフォーの試合がベルリンで開催。我らがバスケチームはクラブ史上2回目のヨーロッパチャンピオンを目指して戦うことになる。そしてその翌日、今シーズンのリーガの行方を決定づけるであろうクラシコがやってくる。4ポイント差となったといっても多くのバルセロニスタには悲壮感はなく、まして、クラシコでリーグ優勝を決めてしまおうなどという誰かさんのシナリオがオジャンとなった今でも、とてつもなく大きな希望にメラメラと燃えるクラシコの戦い。そして、もしバルサに幸運の女神がまとわりついてくれれば、クラシコの翌日はヨーロッパチャンピオンをかけたバスケの決勝戦となるのでありました。 リーガのマッチポイントとなったこのベルナベウクラシコ、バルサが勝利すればマドリにとって今シーズンの終了を意味し、引き分けともなれば、お互いのチームがそれぞれ良い意味に総括し合ってシーズンが続くことになり、そしてマドリが勝利すれば、まあ、それは非常に可能性が低いことであるとはいえ、マドリディスタの幸せ感が若干増すことになり、バルセロニスタのそれが若干減ることになる。だが例えそうなったとしても、マドリにとってリーガのマッチポイントは終わっていないうことに気がつくでありましょう。なぜなら、一つの負けも許されないという厳しい現実が彼らを待っているのでありますから。 中央メディアが必死になってマドリディスタに幸せな夢を売ろうとしているこの時期、ファンは夢を買うことはできても、現場の選手たちは、厳しい現実から目をそらすことはできない。例えば、カシージャスは次のように語っている。 ※殺人未遂罪で逮捕され、懲役5か月(10試合)の刑を言い渡された暴力的な選手もいれば、5万観衆の目の前でハレンチ罪を犯しながらも、官権の目を逃れたため、お咎めなしとなった選手もいるレアル・マドリ。国籍とは無関係に世界中の子供からお母さんに至るまで、幅広い人気のあるこのクラブから、“ジェントルマンクラブ”という肩書きはすでに外されてしまった。その証拠に、法律規定による最短の懲役期間が申し渡されたというのに、クラブ首脳陣は異議申し立てをしようとしている。もし、かつてのようなジェントルマンクラブであったなら、裁判所が判決を申し渡す前に、クラブ側からの処分が選手に対しておこなわれていただろう。 |
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